今度は純白の街ではなく、家に帰ろうと歌っています。

日が暮れる頃、暗くなり始めた帰り道で二人のシルエットはまるで影絵のように見えます。

本来であれば多少の色は見えるのかもしれませんが、灰色の彼女は灰色の影のまま。

余計な色がない灰色の影のほうが、影絵としては美しいかもしれませんね。

夕食の匂いは、人に安心感を与える匂いです。愛する人が待つ家の匂いとも言えます。

そこに向かって手を繋いで帰る二人。しかしその足跡は二人揃って前を向くのではなく、なぜか向かい合っているのです。

つまり、夕食の匂いがするのは彼であり、彼女。お互いを「帰る場所」と位置づけているのでしょう。

不安な夜を過ごさずに済む、安心できる場所。それが彼にとっては彼女、彼女にとっては彼ということです。

暖かな冬は君がくれたもの

SEKAI NO OWARI【イルミネーション】歌詞の意味を解釈!灰色は汚い…?グレーを贈る理由とはの画像

彼が彼女に贈った色。

そのままでは味気ないから、ちょっと素敵なラッピング。

同じ色でも美しく見えるように

強いようで弱い
でも弱いようで強い君へ贈る色 グレー

出典: イルミネーション/作詞:Saori,Fukase 作曲:Saori,Nakajin

彼女は、炎に焼かれても耐えられる強さを持っています。

でもあまりの苦しさに、人目を忍んで泣いてしまうこともあるのです。

犠牲を払うことになっても、その先の明るい未来を信じる強さを持っています。

でも払う犠牲が大きすぎて、本当に結果が訪れるのかと不安に苛まれて眠れない夜もあるのです。

強くも弱くもある彼女を簡単に言い表わせば「何があっても諦めない人」

どんなに焼かれても、彼女はその場から決して逃げ出しません。

だから焼かれて灰色になってしまうことがあります。それでも最後は笑って幸せを掴む人なのでしょう。

ここで彼は彼女に、色を贈ります。灰色でも鼠色でもありません。

彼女に喜んで欲しいけれど、灰色も鼠色も女性に伝えるには気が引ける色名

ですから、彼はできる限り美しい包装紙でその色名を包んで、彼女に贈ったのでしょう。

灰色でも鼠色でもなく、美しくラッピングした「グレー」を贈りました。

今年の冬は暖かいね
少し前に君が言ってたけど
世界はこんなに一瞬で
真っ白になっていく

出典: イルミネーション/作詞:Saori,Fukase 作曲:Saori,Nakajin

もし気象の面で言う「暖冬」だとすれば、一瞬で真っ白になるような雪が降るとは考えられません。

幸せな彼女には、彼と過ごす今年の冬が格別に暖かく感じられるということでしょう。

世界を白く染める雪は、彼女の優しいグレーをより一層美しく引き立てています。

君が輝ける場所へ連れて行く

純白の街へ連れてくよ
緑や赤の綺麗な光
濡れた袖が暖まるまで
雪道を彩る
二人だけの足跡
続いていく足跡

出典: イルミネーション/作詞:Saori,Fukase 作曲:Saori,Nakajin

クリスマスまでどれぐらいの時間があるのかは分かりません。

雪と緑と赤の街が「クリスマスの街」を指しているのではない、とも考えられます。

彼女が誰よりも幸せで誰よりも輝ける世界に連れて行く、という意味かもしれません。

袖口の涙が乾き、彼女の優しさで暖かくなるまでにどれほどの時間がかかるでしょうか。

いくら時間がかかろうと、彼は彼女の側にいます。

雪の上には二人分の四つの足跡。色はグレー。

涙が乾いた彼女に幸せが訪れるまで、グレーの足跡はどこまでも続いていきます。

終着地の純白の街こそが、彼女の幸せなのかもしれません。

ひたむきに努力し続ける人に聴いて欲しい「イルミネーション」

SEKAI NO OWARI【イルミネーション】歌詞の意味を解釈!灰色は汚い…?グレーを贈る理由とはの画像

「イルミネーション」のイメージ画像には教会や街灯、それが落とす暖かな灯を映す雪景色が広がっています。

その画像とイントロのオルゴーの音色が相まって「クリスマス」を想像していました。

しかし「クリスマス」に限った歌詞ではないようですね。

誰にも見えない場所でひたむきに努力を続けている人、きっと誰かが見ています。

懸命な姿を見て陰ながら応援しています。そんな人だけが輝ける場所に、いつか辿り着くでしょう。

また、日のあたらない場所で頑張っている人の存在に気づいたとき。

その人の強さを認めて、そっと寄り添って同じ歩幅で歩き、見守ってあげたいですね。

今苦しい人、頑張っている人にこそ聴いて欲しい、SEKAI NO OWARI「イルミネーション」をご紹介しました。

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