サンボマスター6thアルバム表題曲
サンボマスターの「ロックンロール イズ ノットデッド」は6thアルバムの表題曲です。
直訳すると「ロックンロールは死なない」という、インパクトのあるタイトルが印象に残ります。
ロックンロールといえば、ひたすら大きな音で激しく演奏するイメージがある人も多いでしょう。
しかしながら、この曲が語る「ロックンロール」は一般的なイメージと一味違うようです。
歌詞は好きな人を想う、ラブソングのような言葉が並んでいます。
そこに「ロックンロール」がどう繋がるのでしょうか。
なかなか謎が深そうな曲ですね。
メロディがサンボマスターらしくからっとした明るさがあるので、さらにギャップを感じさせます。
サンボマスターが描くロックンロールの世界を覗いてみることにしましょう。
好きな人が悲しんでいる
「ロックンロール イズ ノットデッド」の1番は、主人公が大切に想っている相手を中心に展開します。
大切な人が悲しんでいる時、自分まで悲しくなってきませんか?
どうしたのだろうとか怖い目に遭ったのかとか、気になって仕方ない筈です。
「ロックンロール イズ ノットデッド」の主人公もまた同じ気持ちでいます。
話してほしいこと
どれだけの悲しみがあったのか 今僕に話してくれないか
心の中にかくれた本当の君に逢いたい
出典: ロックンロール イズ ノットデッド/作詞:山口隆 作曲:山口隆
大切な人が悲しんでいるところに、主人公が語り掛けます。
何があったのか、どうしてそんなに悲しんでいるのか知りたいのです。
悲しいことや辛いことは、誰かに話すことで気持ちが楽になることもあります。
大切な人には笑っていて欲しいものですから、悲しんでいると自分まで悲しくなってしまうでしょう。
同時に、相手の本音を聞くことで「本当の君」を見たいという思いもあるようです。
繕わず、本心を言ってくれることが「本当」なのだと考えられます。
逆にいうと、見た目は変わらなくても繕ったことばかり言う相手は「本当」ではないのでしょう。
話させることで相手を悲しみから救い出したいというのと、本心の相手に逢いたいという思い。
どちらにしろ自分の欲望と同じくらい、相手のために何かしたいという気持ちです。
そう思えるのは、主人公は「君」が好きだからだと考えられます。
一番眩い存在は誰?
震えるほどの夜をこえて 昨日のさびしさにさよならを
本当の君が今世界で 一番の光を放つんだよ
出典: ロックンロール イズ ノットデッド/作詞:山口隆 作曲:山口隆
夜は気温が下がり、だんだんと寒くなっていく時間です。
この気温の低さと悲しみが、「君」の体を震わせているのかもしれません。
しかしこの夜を越えれば、朝と共に次の日がやってきます。
夜が明けていくその様は、新たな希望が生まれるように見えてくるでしょう。
そう思えれば、冒頭の悲しみとはさよならできるようになるのです。
再び希望を抱いた「君」は、主人公にとっては世界で一番輝いている人に見えていました。
「君」に希望を
何度だって立ち上がるんだよ 君よもう悲しまないでくれ
強く願って明日を変えたい ロックンロール イズ ノットデッド
出典: ロックンロール イズ ノットデッド/作詞:山口隆 作曲:山口隆
好きな人の悲しい顔は見たくないものです。
たとえ人生の途中で転んだとしても、その都度立ち上がれるチャンスは必ず来ます。
「君」が悲しまないことと、またすぐに希望を抱いてくれることが主人公の願いです。
とはいえ、他人をどうこうするのは決して容易ではありません。
自分にできることはもっと間接的なことなのです。
この歌詞の場合は「明日を変える」ことにした様子。
「君」のために未来を変えるのですね。
これぞまさしく愛の力のように思えます。