眩しい君の姿
気の抜けてぬるくなった
ラムネ越しでも 眩しく見えるもんだから
なんでもないラジオの会話で
誤魔化すけれど 恥じらう僕に
微笑みかける君
出典: 初恋/作詞:柳田周作 作曲:n-buna from ヨルシカ
ラムネの気が抜けてぬるくなるほど時間を過ごしたのでしょうか。
それとも夏の暑い陽射しで早くぬるくなったのか。
そのような時間を過ごしてもなお、君を眩しく感じている僕。
またここでも恥じらいを感じています。
君を魅力的に感じていることを悟られたくないのでしょう。
ここでは誤魔化そうとしている様子に彼女が微笑みかけています。
なんとも微笑ましい2人の関係性が見えてくるようです。
悔やんでも戻らない過去
あの夏まで
もう一度だけ戻れるのならきっと
照れ隠しも躊躇うことも忘れて
夕凪の中 時間を止める魔法を
出典: 初恋/作詞:柳田周作 作曲:n-buna from ヨルシカ
あの夏まで、もう1度だけ戻る。
なんとも不思議な歌詞です。
本来であれば“もう1度あの夏に戻る“という表現になります。
ここではあえて過去の夏を未来のように表現しているのではないでしょうか。
照れ隠しや躊躇い(ためらい)を忘れて時間を止める魔法をかけたい。
未熟だったころの照れた感情を後悔しているのでしょう。
そして、時をとめるということはもっと前に戻るよりもその瞬間が大切だったということです。
時間が戻せるのであれば何か起こる前まで戻るのが普通です。
あえて過去に戻ってさらに時間を止める。
この後に君と僕の運命を変える大きな出来事を感じさせてくれます。
同じ世界で出会えたら
流れる雲になにをみているのか
行方も知らされず
風に流されてゆく雲のようで
何処かで見てるかなあ
出典: 初恋/作詞:柳田周作 作曲:n-buna from ヨルシカ
行方も知らされないまま流れていく雲とはどのようなことでしょうか。
雲は自身で方向を決めることはありません。
ある意味行方が知らされていないのは当然のことです。
また“雲のよう”という文脈と“何処かで見ている”のは誰なのでしょうか。
これはおそらく2回とも“君”のことだと予想できます。
つまり(君は)雲のよう、何処かで(君は)見てるかなぁという文脈になるのです。
では一体何処で何を見ているのでしょうか。
ここまでくると1つの仮説が立てられます。
君は恐らく僕の手の届かないところにいるのではないでしょうか。
君は雲のように自分で身動きが取れない状態になっているともとれます。
流される雲の上から君が見ている、という内容にとることもできます。
つまりあの夏まで戻って時を止めたいということは、この後に逢えなくなる。
君との別れを示唆する出来事を暗示しているようです。
もちろん地理的に遠くにいってしまったことも考えられます。
しかし君はもう届かないところに旅立ってしまったともとれるのです。
様々な想いを残して曲は最後のメロディーへと入ります。
花火の下で待ち合わせ
今年打ち上がれば 花火の下で 待ち合わせよう
同じ世界でまた 出逢えた時は 伝えるさ
初恋の人
出典: 初恋/作詞:柳田周作 作曲:n-buna from ヨルシカ
本来花火の下で待ち合わせの約束をするべきですが、そうしていません。
打ち上ればと仮の話をしています。
花火が打ち上らない可能性があるということでしょうか。
もしかしたら君と最後に見る予定の花火は何かの事情で打ち上らなかったのではないか。
そんな予感がする歌詞です。
同じ世界でまた出会えた時ということは、今君は違う世界にいるのでしょう。
そして同じ世界にいるときには、君が僕の初恋の人であると伝えられなかった。
そんな悔しい思いをずっと胸に抱いていたのでしょう。
過去の思い出を巡りながら夏の空を見上げる僕。
かつて夏霞がたなびいていた空に今日は雲が流されている。
隣で笑顔をみせていた君との約束を思い出し、いつか逢える日を夢見ている僕。
そんな切なさがつまったラブソングなのではないでしょうか。
まとめ|あの夏の意味とは
あの夏とはやはり君と過ごした夏の日々のこと。
もしかしたら夏にずっと海にいきたかったのにいけなかったのではないか。
病気やケガ、家庭の事情など様々な原因が考えられます。
しかしそんなことは関係ありません。
僕は初恋の相手である君に自分の想いを伝えられなかった。
幼さ故に自分の気持ちを照れて隠してしまったという後悔。
そうした気持ちの揺れを、過去と現在の時間の表現としてうまくつかっています。
完全に過去の話だけで不幸な話にしていないところが素晴らしい歌詞です。
最終的に未来で君と逢えるかもしれないという希望を残しています。
かなわない未来と取る人もいるかもしれません。
しかし、私には何かの形で再び出会えるという希望が垣間見えました。
人は悲しみだけでは生きていくことはできません。
辛くても少しの希望を持ってさえいれば前を向いて進んでいくことが出来ます。
そんなメッセージを感じる素敵な楽曲でした。
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