等身大の姿
当時の富田京子が失恋の悔しさをぶつけるために泣きながら書いたという詞には、ごく普通の女性の姿が描かれています。
作られた綺麗さではなく、どんなひとにもあり得る失恋の悔しさ・苦しさ・悲しさが満ちている「M」。
歌に込められた執念にも似た思いはかわいい綺麗かっこいいというものではなく、歌を聴くひとのごく近くにある感情だったからこそ多くのひとの共感を得て、今日まで歌われ愛されてきたのでしょうね。
どんな時に聞きたくなる曲なのか
誰しも経験があるほろ苦い恋の思い出。
忘れるためには好きだった時間と同じ長さが必要です。
傷ついた心は自然治癒するしか方法は無いでしょう。
そう考えるとこの楽曲は「失恋した直後」には向かないのかもしれません。
楽しかった時間を「あの頃は楽しかった」と素直に思えるようになって初めて心に沁みるのではないでしょうか。
色が変わったアドレスのツメ
最近ではアドレス帳を使っている人は少ないかもしれません。
しかし、この曲が流行っていた頃にはマイスケジュール帳とアドレス帳は必須アイテムだったのです。
スケジュール帳は毎年買い替えてもアドレス帳はずっと使うという人が多かったように思います。
紙で作られているアドレス帳はいつの間にかよく使うページのツメの色が変わります。
少し黒ずんだところが出てくるのはそのせいです。
ツメが黒ずんできた頃には覚えてしまいアドレス帳を使わなくても電話できるようになっているかもしれません。
それほど好きだった彼の連絡先を覚えていないとは考えにくいですから、彼女がMのページをなぞるのは他の理由です。
彼の背中に触れるような気持ち
彼のイニシャルであるMは彼女にとって特別です。
使い込んだアドレス帳の少し色が変わったMのページを開くことは思い出を開くことなのでしょう。
彼の名前が書かれたページを指先でなぞるという行為は彼に優しく触れることと同じです。
手を繋いで歩いたときの指の感触や、触れた肌の暖かさが鮮明に蘇るスイッチかもしれません。
自分の心の中から彼の面影が消えて楽しかったという記憶だけが残るまでまだまだ時間はかかりそうです。
忘れられるまでもう少しなのに、忘れ切ってしまうにはあまりにも惜しいほどの素敵な恋。
だんだんMのページに触れることが少なくなれば、気持ちも楽になれるのに。
この切なさを知っている女性ならきっとこう思うでしょう。
「忘れられるまで、どうか他の人と仲良く歩く姿を見ることがありませんように」と。
荒療治ではありますが、無理やりにでも新しい恋をみつけることも1つの方法なのです。
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