「陽は西から昇る」ミュージックビデオ

飾らない街並み

「陽は西から昇る」のMVはNaotaroMoriyamaVEVOにより投稿され、YouTube上で視聴することができます。

このMVの特徴は「陽は西から昇る」というタイトルに合わせて、夜明け前から夜明け直後の街並みが舞台になっています。

曲の進行に合わせてMV内の時間も進んでいるようで、冒頭はまだ誰も活動していないような夜明け前、曲の終わりには電車も動き出し、仕事を始める人が出てくる夜明け直後の様子が描き出されています。

日常の一場面ですので、特別な目新しさは感じないかもしれません。しかし、夜明け独特の雰囲気が出ている映像だと思います。

「陽は西から昇る」歌詞紹介

夜明け前

暗闇にぶらさがった 星が流れる夜
窓を開けて 風を舐めて 月明かり浴びて

出典: http://j-lyric.net/artist/a0006b5/l002100.html

面白いのは「暗闇」です。流れ星も見えていますし、月明かりも浴びています。星も月も出ているわけです。それでも「僕」は夜空を「暗闇」だと言っています。「僕」の心情の中で、「暗闇」と星や月は別のものだと考えているのかもしれません。

徒(いたずら)に解き放った コトバ達の群れが
後に引けず あてもなく 泣く泣く彷徨ってる

出典: http://j-lyric.net/artist/a0006b5/l002100.html

「コトバ」とわざわざ片仮名表記されているところに、何かしら意図を感じます。

ただ、「僕」の意識は夜空や星、月ではなく、「コトバ」の方に傾いているのでしょう。夜空を「暗闇」だと感じた理由も、「コトバ」のせいで星や月を明確に認識できていなかったのかもしれません。

また「コトバ」が、「泣く泣く彷徨ってる」とまで言っています。誰が誰に対して言った言葉なのかはわかりませんが、「僕」は後悔しているのでしょう。

音も立てず 影も見せず 何も残さず

出典: http://j-lyric.net/artist/a0006b5/l002100.html

「僕」は自殺を考えているわけではありません。ですが自分の痕跡を残したいとも考えていないようです。

誰にも認識されることなく、迷惑もかけずに、ただただ生きる。今の「僕」は漠然とながら、そんなことを考えているのでしょう。

とても前向きな姿勢とはいえません。「僕」が前向きになれない理由は、やはり「コトバ」にあると思われます。

街の夜明け

揺らめく街の光は まるでさざ波のように

出典: http://j-lyric.net/artist/a0006b5/l002100.html

ここでいう「光」は太陽光ではなく、月の光や星の光、あるいは街灯などの電気の光も含まれているのかもしれません。

それらの光も朝が来れば、太陽光の前に全て吸収されるように霞んでいきます。

「僕」はこの夜明けの光の移り変わりを、実際に目撃しているのではないでしょうか。

そして、「僕」も街の光と同様に、朝の中に誰にも認識されないまま、光の中に溶け込んでいきたいと考えているような気がします。

僕はただ呟くだけ あの日の愛を…

出典: http://j-lyric.net/artist/a0006b5/l002100.html