人混み すり抜ける 揺れる髪に ふと振り返る
君はいない まばゆい思い出の その影に 僕だけがまだ縛られたままで

ah いつか 僕ら 夏の光の中 きっと 同じ夢を見ていた
君の声が聴きたくなるから 思わず まぶた 閉じてしまうよ

サヨナラのかわりに その手が あの日 選んだ未来
追いかけて 抱きとめる勇気もない僕が 今さら 何を言うつもりだろう

ah いつか 君が夢見てる光に 届くようにと 願っている
だけど 今は 綺麗事のようで ため息 ひとつ 空を仰いだ

出典: デイドリーマー/作詞:秦基博 作曲:秦基博

去っていってしまった”君”の姿を、ふとしたことで蘇らせてしまう”僕”。

街中の人ごみの中でも、満員電車の中でも、少しでも彼女を思い起こさせるものがあったら、彼女の面影を追ってしまいます。

揺れる髪、同じ香水、よく似た笑い声……。

思い出の中に生きてるような気分にさえなるけれど、そこにいるのは、もう”僕”だけ。

同じ夢を見ていたあの頃は、もう二度と帰ってはきません。

目を閉じれば、こんなにも鮮やかに”君”の声が蘇ってくるのに、もうそばにはいない。

目を閉じさえすれば、”君”がそばにいるように感じるから、つい、いつでも目を閉じてしまいます。

隣に”君”がいないことを実感したくないから、そうやって思い出の中に逃げ込みます。

夢を掴むために、去っていった”君”。

”僕”は、”君”の夢についていくことができなかったのです。

そして、ひとり残された。

”君”の夢についていくことは、途方もない犠牲を払うようなことだったり、これまでの人生を全て捨ててしまうようなものだったのかもしれません。

逆に、そうする覚悟さえあれば、”君”と一緒に今もいられたのかもしれません。

それでも、できなかった。そして”君”は、夢を手放すことはなかった。

”僕”と一緒にいる為に、夢を簡単に手放すような”君”なら、それはもう”僕”の好きな”君”ではないのでしょう。

その夢についていくことができないのなら、別れは必然ということは明らかです。

理屈ではわかっているけれど、心がついていかない。

 ”君”の夢が叶うことを、心底願っている。その気持ちに、僅かの嘘もありません。

それでも、明るく、そう言い放つことはできない。”君”を失って、空虚さが心を支配しているからです。

醒めない白昼夢

会えない 醒めない 巡る 白昼夢の中
とうに終わっているのに 進めなくて 戻れなくて

ah いつか 触れた 夏の日の光に 目覚めたまま 夢を見ている
君の声が 聴きたくなるから 思わず まぶた 閉じてしまうよ
思わず まぶた 閉じてしまうよ

出典: デイドリーマー/作詞:秦基博 作曲:秦基博

”君”は夢に向かって進んでいるのに、”僕”はあの瞬間で凍り付いたまま。

白昼夢のようにあの頃を思い出しては、その中で彷徨います。

目を閉じて、懐かしい”君”の声を聴きながら。

白昼夢の中を彷徨い続けて……

アルバムの世界観を表現した曲

デイドリーマー=daydremerは、英語で白昼夢を見る人のことを指します。

目を開けたまま、いつもと変わらない日常生活を送りながらも心は常に”君”のいたあの頃を彷徨い続ける。

”君”の夢が叶うことを心のそこから願いながらも、未だうつろな心を抱えて生きている。

そんな切ない想いに、思わず涙ぐんでしまいそうになりますね。

この曲は、収録アルバムのタイトル『青の光景』のテーマとなっている”青”を、まさに表したものだと秦基博は語っています。

”青”の持つどこか哀しい、”悲哀”というものを等身大の言葉で表現しているからこそ、聴き手の心に響く、そういった美しい曲ではないでしょうか。

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