「JET」に乗って
2019年11月15日発表、BAD HOPの配信EP「Lift Off」。
Apple MusicとiTunes Storeだけの独占リリースになっています。
収録されたどの曲もクールな雰囲気で最高なBAD HOPが聴けるEPになっているのです。
その中でもオープニングナンバーになっている「JET (feat.G-k.i.d,YellowPato&TijiJojo)」。
この曲をご紹介しましょう。
今作「Lift Off」は全編アメリカ合衆国のロサンゼルスでの録音制作になっています。
そのため「JET」には日本とアメリカ合衆国を行き交いするメンバーの姿が描かれました。
タイトルの「JET」とは説明不要かもしれませんがジェット飛行機のことを指します。
その他にも歌詞にはアメリカ合衆国西海岸の情景がたくさん詰まっているのです。
海外でのレコーディングに臨む際のメンバーのテンションが上がる様子を描いた歌詞になります。
サウンドはクールなのですが歌詞には高揚感があるので不思議な浮遊感があるのです。
真面目にレコーディングもしたいけれどアメリカ合衆国で羽を伸ばしたい気もする。
この曲の歌詞に込められたメンバーの思いを紐解いてみましょう。
それでは実際の歌詞をご覧ください。
憧れのロサンゼルス
テンション上がりまくり
[Chorus: G-k.i.d]
乗り込むJET 空の果て
すぐに雲の上 遠くを目指している
Uberで向かって 俺らHighになって
毎日雲の上 場所も分からねえ
出典: JET(feat. G-k.i.d,Yellow Pato&Tiji Jojo)/作詞:G-k.i.d,Yellow Pato&Tiji Jojo 作曲:Murda Beatz
歌い出しでありサビとしても機能して楽曲の要になっているラインです。
羽田空港からロサンゼルスの空港まで向かうジェット飛行機に乗ります。
飛行機というものに乗る。
それも海外へゆくために乗るとなるとテンションは上がります。
BAD HOPはメンバー全員で一緒にゆこうとするのですから仲間内の気持ちは最高潮でしょう。
搭乗・離陸までの空港での準備は非常に煩わしいものです。
しかしいざ離陸するとあっという間に上昇してしまいます。
気付いたらもう空の上というのは不思議な感覚でしょう。
空の上ではいつまでも違和感を覚えるという人もいらっしゃるはずです。
しかしBAD HOPのメンバーは楽しくて仕方がないというはしゃぎ方でしょう。
まるで修学旅行で海外へゆくようなテンションの高さが可愛いです。
Uberって何だろう
乗り込むJET 空の果て
すぐに雲の上 遠くを目指している
Uberで向かって 俺らHighになって
毎日雲の上 場所も分からねえ
出典: JET(feat. G-k.i.d,Yellow Pato&Tiji Jojo)/作詞:G-k.i.d,Yellow Pato&Tiji Jojo 作曲:Murda Beatz
このラインは繰り返しになります。
実際にジェット飛行機に乗っているという高揚感が基軸になっているでしょう。
しかしただジェット飛行機に乗れて楽しかったというだけの解釈では寂しすぎます。
BAD HOPがこれから浮上しながら雲の上の存在になることを目指す気持ちも歌われるのです。
彼らの目標は非常に高いものでしょう。
実際にこの曲「JET」ではトラックメイカー/プロデューサーにMurda Beatzを迎えます。
グラミー賞にノミネートされた経験も持つ実力派のアーティストです。
こうした共作はどこまでも遠くまで目標を高いところに設定するBAD HOPの姿勢を示しています。
歌詞にもそうした思いと高い志が表現されているのです。
空港に降り立つとUberでホテルやスタジオに向かいます。
Uberは最近、日本でもUber Eatsでご存じの方も多いでしょう。
個人事業主との契約を手配してくれるアプリを開発した会社です。
基幹となるUberは配車アプリ。
日本では既存のタクシー業界の利益のために参入できていません。
しかし海外では当たり前に利用されているアプリになります。
タクシーをユーザーがアプリで手配するためのビジネスだと思ってください。
BAD HOPはアメリカ合衆国ではこのアプリを利用してどこまでも行ったようです。
日本で引きこもっていたら絶対に書けない歌詞になります。
G-k.i.dとロス
紙に巻いてみたものは
生き急いでる 俺ら羽田から乗り込むJET
小さくなっていく 街を雲の上から眺める
ポッケに丸める Bandsも¥から$へと変えて
長いFlight降りてすぐに巻いてまた雲の上
出典: JET(feat. G-k.i.d,Yellow Pato&Tiji Jojo)/作詞:G-k.i.d,Yellow Pato&Tiji Jojo 作曲:Murda Beatz
「JET」の曲調はクールですが刹那な気持ちが歌われています。
どんなスタイルのヒップホップが顕れてもいいでしょう。
しかしラッパーにはどこか刹那な思いを抱えて生きていて欲しいものです。
何ごとにものんびりと構えていて健康と長寿を祈るようなヒップホップは興奮しないでしょう。
BAD HOPはあくまでも刹那な思いに賭けています。
羽田空港からロサンゼルスへの空路がどのようなものであったかは明示されません。
直行便で向かったはずです。
キャッシュレス社会ですが現金を円からドルへと両替をしたよう。
フライト中はタバコが吸えません。
空港に降り立つとすぐに紙巻タバコを吸ったようです。
本当にタバコだったかどうかは分かりません。
カリフォルニア州は大麻が合法ですからひょっとしたらという可能性もあります。
紙に巻いて雲の上まで飛んでいったという表現ですからまずは皆さんの判断に委ねましょう。
「Mary Jane」とは何か
迎えのSuburbanはChevrolet
砕き巻いたMary Jane
練り歩いたMelrose
強い日差しを浴びて
眺めるSunset
太く巻いて深く吸い込み
宙に浮かんでる
気づきゃ深い夢の中にいる
出典: JET(feat. G-k.i.d,Yellow Pato&Tiji Jojo)/作詞:G-k.i.d,Yellow Pato&Tiji Jojo 作曲:Murda Beatz