この曲から「edge」へ作詞の面で大きく進化したと考えます。
Aメロのイディオムに込められた意味とは
語呂合わせから始まる英語の並び
「edge」も基本は「JUMPER」と同じですが、日本語の歌詞に対応させているため意味ありげな英語の並びになっているのがくせ者です。
そして、この曲にも「clips」「drops」「trap」と「p」を含む単語があります。
それでは日本語に訳してみましょう。
頭の「Down Down」は日本語の歌詞にある「だんだん」の語呂合わせだとすぐに分かります。空耳アワーですね。
「Down Down」を最初に決めて後を付け足したのでしょう。
他のイディオムに合わせたイメージで「Down」を訳すと「落ち込む」「打ちのめされる」「憂鬱」になります。
次にポイントになるのが「a clip round you」です。
clipはペーパークリップや切り抜きの意味ですが、「a clip on the head(頭を殴る)」とか「clip someone round the ear(頬を殴る)」というイディオムがあります。
ここは「あなたを殴る」としましょう。
英語パートの仕掛け
少し自分なりの解釈を加えた全文の意訳です。
「落ち込む」「貴方を叩く」「(涙の)滴が垂れる」「罠を仕掛ける」
「落ち込む」「貴方を叩く」「(涙の)滴が垂れる」「落とし穴」
「落ち込む」「貴方を叩く」「(涙の)滴が垂れる」「罠を仕掛ける」
「落ち込む」「貴方を叩く」「コツをつかんで」「1234」
このAメロは1度リフレインして間奏に移りますが、歌詞の最後にある「1234」は「4」だけキーを下げています。
このカウントは「フォー」とだけ浮いて聴こえるようにして、ボーカルに終止符の役割を持たせているんですね。
なお「set」には「歌詞に曲を付ける」「作曲する」という意味もあり、「setting」 は「作曲」になります。
そうすると「set a trap」は「罠を仕掛けて作曲する」という解釈も可能です。
これは深読みしすぎかもしれません。
中田ヤスタカがここまで考えて歌詞を書いていたら天才です。
核心になるBメロの歌詞
ここにも言葉遊びが
誰だっていつかは死んでしまうでしょ
だったらその前にわたしの
一番硬くてとがった部分を
ぶつけてsee new world
say yeh!
出典: edge/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
Bメロの歌詞はこの曲のイメージを象徴するダークな内容です。
1行目は人生を冷めた目で見たような諦めの感じが伝わってきます。
中田ヤスタカのドライな本性を垣間見るようです。
3行目の「硬くてとがった部分」は何かと聞かれても困ります。
男なら良からぬものをイメージしてしまいそうですが、ここでは攻撃的な内面を相手に向けるという意味としておきます。
加えて「とがった部分」はタイトルの「edge」にも通じます。
一番ユニークなのが4行目です。 歌詞を読まなければ「ぶつけて死ぬわ」と聴こえます。
「see new world(新世界で会おう)」は、ここでもAメロの「Down Down」と同じ語呂合わせです。
ところで不思議なことに、曲の前半はAメロ→Cメロの順になっており、後半のAメロに続いてやっとBメロ→Cメロという流れになります。
まったく型にはまっていないんですね。
サビでサビで盛り上げるCメロ
日本語と英語で一つの文章になっている
そうなんだね それはそんなかんじで
you say! oh yeh! I loveing you yeh!
ああそっかで 話きいてないのね
I know. oh yeh! say loveing you yeh!
出典: edge/作詞:中田ヤスタカ 作曲:中田ヤスタカ
Cメロは日本語と英語の歌詞を交互に配置しています。
ここでは日本語の「そう」「それ」「そんな」「そっか」と「そ」の繰り返になっています。
英語はこれまでの曲にありがちな掛け声のパターンで、歌詞に深い意味はありません。
ただし、英語が前の日本語を受ける形になっています。
そして「loveing you」にサビをもってきて盛り上げます。
日本語のパートを踏まえて英語を訳してみましょう。
日本語と英語がどのようにつながって一つの文章になっているか、日本語の歌詞に続けて読んでください。
you say! oh yeh! I loveing you yeh!(言うのね!オーイエー!愛してるイエー!)
I know. oh yeh! say loveing you yeh!(分かったわ、オーイエー!好きって言いなさいよ、イエー!)
「say loveing you」は「say, I loveing you」が正しいです。
わざと「I」を抜いているんですね。
そしてここでも最後の「yeh!」は曲調を変えて終止符にしています。
英語として正しい文章かどうかよりも、サウンド的にマッチしなかったので外したのかもしれません。