BUMP OF CHICKEN「K」とは?
BUMP OF CHICKENの「K」はインディーズ時代に出した「THE LIVING DEAD」というアルバムの6曲目に収録された曲で、シングルとしては未発売の楽曲です。
それなのにどうしてこんなに人気なのでしょうか。
人気になった理由は歌詞の持つ物語とファンによる動画サイトでの拡散
どんなにバンプを知らない人でも、この歌詞の意味を知ったらハマってしまうと言われているほどの圧倒的な世界観とストーリー性を持っていることが人気の大きな理由でしょう。
そして、そのストーリーを誰が見ても理解できるようなフラッシュ動画にし、ファンが動画サイトで拡散したこともその人気の一因となりました。
BUMP OF CHICKEN「K」の動画ランキング
インディーズ時代の曲の上、シングルカットもされていない「K」には、まずMVというものが存在しません。
そのため動画ランキングでの人気を発表することができないのですが、代わりにその人気を象徴するランキング結果が、レコチョクが初のベストアルバムの配信を記念して2013年に行った、ユーザー投票による“BUMP OF CHICKEN名曲ランキング”の結果です。
まさかのBUMP OF CHICKENの代表曲「天体観測」に次いで2位
伊藤英明主演の同タイトルのドラマ主題歌として、BUMP OF CHICKENの名前を全国に知らしめた「天体観測」に次ぐ2位を記録したのは、シングル曲として発売すらされていない「K」でした。
「K」がどれだけファンに愛されているかわかったところで、涙なしには語れない、歌詞のストーリーを歌詞の一部を抜粋しながらなぜこの曲が「K」というタイトルなのか、その理由も紹介したいと思います。
記事の最後で、ストーリーをわかりやすくイラストで表現した動画も掲載するので、ぜひ記事を読んでから見てみてくださいね。
黒猫と絵描きの物語
日本において、黒猫は招き猫などにもされ、商売繁盛や厄除けの幸運の象徴として親しまれていますが、欧米では魔女狩りの際に黒猫が殺されたくらい、不吉の象徴として扱われていました。
「K」の主人公はそんなかつての欧米のように黒猫を忌み嫌う文化を持つ土地に生まれた孤独な黒猫で、そんな猫を愛した売れない絵描きとの絆を描いたのがこの曲となっています。
物語の冒頭はこんな歌詞から始まります。
黒猫というだけで忌み嫌われて石を投げられる孤独な主人公
週末の大通りを黒猫が歩く
ご自慢の鍵尻尾を水平に威風堂々と
その姿から猫は忌み嫌われていた
闇に解けるその姿目掛けて石を投げられた
出典: K/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
石を投げられても堂々と通りを闊歩する姿は、世間から拒絶される苦しみが日常となってしまっている黒猫の孤独を象徴しています。
そんな黒猫を、「今晩は素敵なおチビさん」と呼び、「僕らよく似てる」と抱き上げたのは若い絵描きでした。
生まれて初めて人から優しくされた黒猫は絵描きを信じることができず、最初は逃げ出すのですが、それでも追ってきた絵描きに「変わり者」と驚きながらも、一緒に生活することになります。
黒猫がもらった大切な名前「黒き幸」「ホーリーナイト」
それから猫は絵描きと 二度目の冬を過ごす
絵描きは 友達に名前をやった 「黒き幸」ホーリーナイト
彼のスケッチブックは ほとんど黒尽くめ
黒猫も 初めての友達に くっついて甘えたが ある日
出典: K/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
生まれてからずっと、不幸の象徴として忌み嫌われ、人々から理不尽な暴力を受け続けてきた黒猫に絵描きは「黒き幸」“Holly Night”という名前をつけました。
絵描きは、黒いだけで不幸の象徴である理由にはならず、クリスマスの聖なる夜の空の色のように黒い幸せの象徴があってもいいじゃないかというようなメッセージから「黒き幸」「ホーリーナイト」とつけ、黒猫の絵を書き続けたのでしょう。
ずっとひどい扱いを受けてきた黒猫にとってそれはどれだけ嬉しかったことでしょう。
黒猫も絵描きを「初めての友達」と認め、甘えるまでに心を開きます。
しかしその幸せは長くは続きませんでした。