生まれて初めてできた親友は自分のせいで死んでしまった
貧しい生活に 倒れる名付け親
最後の手紙を書くと
彼は こう言った
「走って 走って
こいつを届けてくれ
夢を見て 飛び出した僕の
帰りを待つ恋人へ」
出典: K/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
この歌詞に「不吉な黒猫の絵など売れないがそれでもあんたは俺だけ描いた」「それゆえあんたは冷たくなった」という歌詞が続くことから、絵描きは売れないとわかっていながら黒猫の絵ばかりを描き続けたせいで貧しくなり、死んでしまったことがわかります。
黒猫にとって初めてできた親友が、黒猫の存在を肯定するために黒猫の絵を描き続けたせいで死んでしまったことはどれだけ悲しかったでしょう。
黒猫はそんな親友のために、親友の最期の願いである恋人への手紙を届ける決意をします。
親友の最期の願いのためだけに満身創痍になっても走り続けた命がけの旅
走った 転んだ すでに満身創痍だ
立ち上がる間もなく 襲い来る 罵声と暴力
負けるか俺はホーリーナイト 千切れそうな手足を
引き摺り なお走った 見つけた!この家だ!
出典: K/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
雪の降る山道を親友の恋人の元へ走り続ける黒猫。
黒猫は、忌み嫌われた自分に生まれた意味があるのなら、「優しさも温もりも全て詰め込んで」「ホーリーナイト」と自分を呼んでくれた親友の願いを叶えるこの日のために生まれてきたのだろうと考えながら。
長い距離を走り続けもう傷だらけであるにも関わらず、罵声と暴力は止みません。
それでも黒猫は親友がくれた「ホーリーナイト」という名前を支えに走り続け、恋人の家をついに発見するのです。
自分の命をかけて主人の願いを叶えた猫は「聖なる騎士」になった
手紙を読んだ恋人は もう動かない猫の名に
アルファベット1つ 加えて庭に埋めてやった
聖なる騎士を埋めてやった
出典: K/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
絵描きの恋人の元へ手紙を届け、力尽きた黒猫。
手紙を読んだ恋人は猫の名前にアルファベットを一文字だけ加えて「聖なる騎士」として埋葬したのでした。
たった一人の親友との約束を守るため、自分の命も顧みず、どんなに傷だらけになって限界を超えても走り続けた勇敢な黒猫には、自分の身を呈して主人を守る「騎士」という名前がよく似合います。
「K」という曲のタイトルの意味
最後の歌詞の説明でわかった方もいると思いますが、「K」は手紙を読んだ恋人が力尽きた猫を埋める時に名前に加えたアルファベット一文字です。
つまり、もともとの名前である、聖なる夜「Holy night」に「K」を足すと、「Holy Knight」つまり、「聖なる騎士」となるのです。
黒猫が送った生涯は確かに過酷なものでしたが、黒猫は人から愛される幸せも、守るべきものも知っていました。
そんな幸せをくれた亡き親友の絵描きのために黒猫は命を燃やして走ったのでした。
おわりに
最後まで歌詞の意味を知ったところで曲のタイトルを知るとさらに感動してしまいますね。
これだけの物語を詰め込んでも、まるで走り抜ける黒猫の姿が浮かぶような疾走感で楽曲としての完成度を崩していないというのはすごいですよね。
また、「K」という一文字をタイトルにつけたそのセンスにもBUMP OF CHICKENらしさが表れていますね。
聴いたことがなかったという人は他の曲も名曲ぞろいのアルバム「THE LIVING DEAD」に収録されているので聴いてみてください。
最初にお伝えした通り、この曲には公式のMVがないのですが、動画サイトにはこの物語をわかりやすくアニメーション化した動画がありました。
載せておきますのでよかったら見てみてください。
曲の意味を知っていても涙してしまうこと間違いなしですよ。
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