カラオケで歌いやすいのは細川たかしのほうだけれども、細かいニュアンスまで伝えたいならちあきなおみを真似しなさい。
船村徹はそう言いたかったようです。ここは船村先生の言いつけにしたがい、ちあきなおみの歌い方を研究することに致しましょう。
ちあきなおみを真似てみましょう
百聞は一見に如かず。ちあきなおみのお歌はこちら。

歌詞を読みます。1番から。
「つれて逃げてよ…」
「ついておいでよ…」
夕ぐれの雨が降る 矢切の渡し
親のこころに そむいてまでも
恋に生きたい 二人です
出典: 矢切の渡し/作詞:石本美由起 作曲:船村徹
3つの視点を使い分けよう!
ポイントは登場人物になりきることです。駆け落ちする男女を歌うのですから、使い分けるべき視点は3つ。
- 女の心情
- 男の心情
- 語り手の心情
「つれて逃げてよ…」は女のセリフ。「ついておいでよ…」は男のセリフ。ちあきなおみは女の声色と男の声色を演じ分けています。細川たかしとの大きな違いです。
「見すてないでね…」
「捨てはしないよ…」
北風が泣いて吹く 矢切の渡し
噂かなしい 柴又すてて
舟にまかせる さだめです
出典: 矢切の渡し/作詞:石本美由起 作曲:船村徹
2番に移りました。語り手の心情も重要です。
語り手は第三者なのですから、冷静に見つめる視点が必要です。
それと同時に一方で、「恋に生きたい」男女に寄り添い、陰ながらそっとエールを送らなくてはいけません。
しかもあたりは夕暮れ時で、北風が吹く寒々しい季節。これらを伝える情景描写も求められます。
うーん!こいつはレベルが高いぞ!
「どこへ行くのよ…」
「知らぬ土地だよ…」
揺れながら艪が咽ぶ 矢切の渡し
息を殺して 身を寄せながら
明日へ漕ぎだす 別れです
出典: 矢切の渡し/作詞:石本美由起 作曲:船村徹
最後に3番。技術的には、こぶしが回るに越したことはありませんが、あまり技巧に凝りすぎるのも何なので。
2点心がければいいでしょう。
- 抑揚をつけること
- 声を張りすぎないこと
人間の心に強弱があるように、人間の声にも強弱があります。心のひだを表現するには、声にもひだをつけることです。
そして声を張りすぎないこと。「息を殺して 身を寄せながら」と書いてあります。人目を忍んで希望を求める恋の道行きを歌いましょう。
どうせ目指すなら高みを目指そう!
いかがでしたか?
あきれるぐらい歌が上手いちあきなおみ。演歌はもちろん、ポップスにジャズにシャンソンに、ポルトガル民謡のファドまで歌いこなす幅の広さは、美空ひばりに並び称されるほど。
表現力も一級品で、音程がブレることもありません。真似るなら上手な人を真似ましょう。目指せ名人!
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