(※)ヒールの高さの分だけ 大人にはなったけど
手の届かない何かがあるよ
あの空の真っ白な雲はもうどんな形にも見えないよ
出典: ヒールの高さ/作詞:秋元康 作曲:鶴﨑輝一
学校を卒業して、社会人として働くようになった主人公。
学生気分が抜けてないとはいえ、もう十分立派な大人です。
子供の頃は「大人って何でも出来るし羨ましい」と感じてしまいがち。
でも実際大人になってみると、様々な制限や責任の中で生活しないといけないことが分かります。
子供の頃にしか出来ないことも、実はたくさんあるのです。
「手の届かない何か」というのは「社会人になってから出来なくなったこと」を指しているのでしょう。
「あの空の~」という歌詞にも注目してみましょう。
子供の頃はイマジネーションが豊かだった主人公。
白い雲を見て「○○に見えるなぁ」といった妄想を繰り広げていたことが分かります。
しかし、大人になってからは、雲を見て妄想することはなくなりました。
「妄想する時間があったら仕事しなきゃ」
「もっと建設的なことを考えなきゃ」
そんな考え方をするようになったのでしょう。
毎日仕事に追われていて、心に余裕がないからこのような考え方になったのかもしれません。
2番~ラストの歌詞
社会に出て痛みや辛さを感じるようになった
アスファルトは歩きにくいって 今になって気づいたけれど
靴擦れなんてやがて慣れるのかな
言われたこと ただ言われたまま 意見なんかは聞かれてないと
ようやくわかったら一人前だ
出典: ヒールの高さ/作詞:秋元康 作曲:鶴﨑輝一
社会人になるまでは、毎日のようにヒールで歩き回ることなんてなかった主人公。
しかし、会社のルールでヒールを履くようになってから、靴擦れの痛みと戦うことになったのです。
ここでいう「靴擦れ」は、恐らく「社会に出て経験した痛みや辛さ」を象徴しているのでしょう。
つまり「痛くて辛い経験さえも、そのうち慣れていくのかな」といった気持ちが綴られています。
今の現状に満足はしていないけど、なんとか慣れようとしている主人公。
しかし、今の職場に慣れよう!という前向きな気持ちをへし折るような出来事が次々と起こります。
新人社員である主人公の意見なんか聞いてもらえず、嫌な仕事を押し付けられる毎日。
正直うんざりしちゃいますよね。
それでもこの主人公は、理不尽な現状を受け入れようとしています。
大人になった後も人間関係を気にしてばかり
人間関係 何歳になっても同じさ
微妙なバランスをとって 誰とも揉めないように…
出典: ヒールの高さ/作詞:秋元康 作曲:鶴﨑輝一
子供の頃は、どうでもいい下らないことで喧嘩や仲間外れが起きてしまいがち。
でも、大人になればそんな下らない争いや揉め事はなくなると主人公は思っていたのでしょう。
しかし、現実はそうではありませんでした。
下らないことで相手の顔色をうかがったり、仲間外れにならないように必死に振る舞ったり…。
大人になってもみんな根本的な部分は変わりません。
人間関係で疲れ切っている主人公の気持ちが、ここで描かれていますね。
「ヒール」は何を表しているの?
ヒールを脱いでしまったら きっと楽になるのに
ちゃんと我慢をするのが大人
つま先が痛くなって来て もう遠い場所には行けないよ
出典: ヒールの高さ/作詞:秋元康 作曲:鶴﨑輝一
「ヒールを脱ぐ」とは「会社を辞める」ということを表しているのでしょう。
つまり、ヒールとは「職場」のことを指しています。
会社なんて辞めてしまって、子供の頃のように自由に生きられたらいいのに…。
そんな気持ちを主人公は抱えています。
しかし、社会人になって責任が伴うようになったので、そう簡単に仕事を投げ出せません。
我慢をしながら働かないと、この世の中で生きていくことはできないのです。
そして「遠い場所」とは「子供の頃に描いていた夢」を意味しているのだと思います。
今さら夢を追いかけるなんてもう無理だと思っているのでしょう。
なぜ主人公は後輩に会いたくなったの?
嫌いだった学校に寄って
何もわかっていない後輩に
人生とは?
偉そうなことを言ってみたくなった
(※ くりかえし)
大人だし…
出典: ヒールの高さ/作詞:秋元康 作曲:鶴﨑輝一
社会人として生きることの大変さを実感した主人公。
一方、吞気に学生生活を送っている学校の後輩は、これから訪れる"社会の洗礼"をまるで分かっていません。
なので、そんな後輩に活を入れたくなったのでしょう。
それに新社会人とはいえ、学校の後輩たちからしてみたら主人公の立場は上。
いつも会社で上司や先輩を立てているのだから、たまには自分も立てられる側になってみたい。
そんな気持ちが芽生えているのだと思います。