さて肝心のサビですが、ここから主人公は唯物論的な考え方の持ち主であることがわかります。

唯物論とはWikipediaで以下のように説明されています。

唯物論(ゆいぶつろん、英: Materialism、独: Materialismus)とは、 観念や精神、心などの根底には物質があると考え、それを重視する考え方。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/唯物論

つまり、どんな性格であっても、それは全て物質によって支えられているという考え方です。

例えば穏やかで優しい性格の人がいたとします。

しかし、それはただ単に心がもともと豊かなのではなく、その背景にはお金など確かな物質が存在すると考えるのです。

少し論理的すぎて悲しい考え方のような気もしますが、どこか分かるような気がしてしまいます。

主人公は今まで信頼していた相手に裏切られた…そんな過去があるのかもしれません。

不確かで変わるかもしれない性格よりも、笑ったり怒ったりする恋人の表情や顔が安心できるのです。

どうせ不確かな性格ならば、むしろ自分の理想である性格を当てはめればいいという徹底的な唯物論者なのかもしれません。

好きすぎて悩む主人公

恋い焦がれる

むずかしい事はよくわからない
でも君がいないとさみしい
まぶたを閉じても君だけは映る
君が君であるために
僕はいったい何をしてやれるだろう
僕を深く悩ませる君のために…

出典: 君の顔が好きだ/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義

1番では色々と頭を捻らせ、論理的なことを考えていた主人公。

しかし2番からは、ただ単に恋人への想いを募らせている様子が分かります。

言葉は不確かだと知っている主人公だからこそ、その好意を無理に言葉で表そうとしません。

でも、何をしていても眠っていたとしても恋人のことが頭から離れないくらいには好きでたまらないのです。

1番Bメロで言っていたように、主人公は恋人の胸でなら本当の自分でいることができます。

そんな自分らしくいさせてくれる恋人は、無理をしていないだろうか?

今度は自分が恋人を安心させてあげたいのです。

「外見が好み」と恋人に言われたら、不安になる人も多いでしょう。

しかし、主人公のように外見が好きでも一生懸命相手のことを想える人もいるのです。

恋人が好きな自分も好き

君の顔が好きだ 君の髪が好きだ
朝も昼も夜も切なさに酔って
胸痛めてる自分もいい
君の声が好きだ 君の顔が好きだ
この瞬間が続く事を祈る

出典: 君の顔が好きだ/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義

最後に、2番のサビです。

ここでも主人公は恋人への想いをつらつらと綴ります。

もちろん恋人のことも好きですが、それと同時に恋人を想う自分自身も好きなのです。

普通恋をしている時は急に切なくなり、感情の起伏が激しくなるので、恋をしている自分が嫌いという人が多いでしょう。

そんな中、自信を持って「こんな自分も好き」と言える主人公のことを羨ましくも思えます。

そして楽曲の最後、主人公はある願いを口にしています。

それは、自分自身の気持ちと恋人との時間が永遠に続きますようにという祈り。

先ほど主人公は徹底的な唯物論者かもしれないと思いましたが、それは違ったようです。

何故なら、気持ちも時間も不確かで実体がないから。

あんなにも確かなものしか信じられない主人公が唯一、不確かでも信じたいと思えるものなのです。

何だか主人公が可愛く思えてきませんか?

おわりに

【君の顔が好きだ/斉藤和義】歌詞の意味を解説!見た目に惚れたといいつつ、実は内面も深く愛してる!?の画像

今回は、斉藤和義の3rdシングル【君の顔が好きだ】をご紹介しました。

タイトルだけ聞くと、ただ面食いだと発表しているだけなのでは?と思ってしまいそうな楽曲

しかし、そうではありませんでした。

主人公はただ確かなものが恋しいだけだったのです。

別に相手が絶世の美女であろうがそうでなかろうが、その人の人生を表している確かな「顔」

そう思うと自分自身の顔も愛せそうな気がします。

世間に呑み込まれ、疲れた時。

誰も信じられなくなった時。

そんな時に聴いてほしい、元気が出るラブソングでした。

斉藤和義のラブソング

1997年リリース【歌うたいのバラッド】

【君の顔が好きだ/斉藤和義】歌詞の意味を解説!見た目に惚れたといいつつ、実は内面も深く愛してる!?の画像

もし、斉藤和義楽曲で何が1番好きかというアンケートをとったら必ず上位に入るであろう【歌うたいのバラッド】

多くのアーティストにもカバーされ、斉藤和義名曲バラードといったらこれです。

この楽曲はアーティストだからこそ描くことができるラブソング

「斉藤和義自身の気持ちを歌っているのか?」と思わせる楽曲です。

恋人のことを愛しているけれど、恥ずかしくて口には出せない…。

そんなもどかしさを歌った内容で、特に男性は共感をおぼえるのではないでしょうか。

失恋ソングではないにもかかわらず、何故かちょっと切なくなってしまうラブソングです。

この楽曲はPV制作もとてもこだわっているので、下記のリンクからチェックしてみてください。

斉藤和義の代名詞とも言えるバラードの名作『歌うたいのバラッド』は、20年以上経った今でも新たなファンを増やし続けています。心に刺さるPVとあわせて作品の魅力に迫ります。