これが大炎上のトンチキフレーズだ!
繰り返されるフレーズの恐るべきパワー
イントロの「ルンルン」以上に叩かれるのが、サビのフレーズです。
I love you キミ キミ キミ キミダーケ
ギミ ギミ ギミ ギミ Give me your heart
ミーギ 右 右 ミーギを見て、ついでにボクを見て
出典: http://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=k-140226-166
語感の似てるキミ(=君)とギブ=Giveをハイテンポのリズムに乗せて、あざといまでに巧みに連呼させています。
これに続けてさらに-
クール クル クル アスガクル ボクたちめっちゃメガマワル
グール グル グル グル 地球も 回ってるよ
出典: http://www.utamap.com/viewkasi.php?surl=k-140226-166
と今度はクルクル回るの“クル”と、アスガクル(明日が来る)の“来る”を引っかけ、クルクルよりも語感が重たいグルグルをリピートさせていく。
語感の似た言葉を“確変”させながら、サビをフェティッシュにまとめあげる。
このサビはスピーディーでノリがいいので、トンチキソングと気づいても、ついつい一緒に歌ってしまうような、魔性のグルーヴ感に打ちのめされます。
まさに、クセが強い、のであります。
でも、打ちのめされるほどにクセが強い、ということは、覚えやすいにつながる。
ゆえにこの一点で「ぶつかっちゃうよ」は成功している、と言えるでしょう。少なくともアイドルポップスとしては。
正統派なのにどこか変な、作詞家・三浦徳子の世界
数々のアイドルの楽曲を手がけて、今、Sexy Zoneへ
こうなると、このトンチキな、いや奇抜な歌詞を作った人は誰だろう? と興味がわくはず。
これがなんと昭和50年代に松田聖子や早見優、沢田研二など当代一流のアイドルや歌手に楽曲を提供していた三浦徳子(よしこ)なのである。
「裸足の季節」は松田聖子のデビュー曲で、「青い珊瑚礁」は当時の大大ヒット曲。
言うなれば三浦徳子は正統派アイドルの歌詞を書くことを許された、安定感バッチリの王道を征く大作詞家といってよい。
そんな王道ライターがなぜトンチキソングともおぼしき、「ぶつかっちゃうよ」を書いたのか?
実は、三浦徳子には正統なアイドル歌謡路線の他に、トンチキソングの部類に入れられるような異相の世界があるのです。
主要作品の上の2つ、「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」と「お嫁サンバ」にその片鱗が出ていると思いませんか。
実際、三浦徳子のファンにはこれらをトンチキソングと認定している方々もいるほどで、ブッ飛ぶ時には徹底的にブッ飛ぶ“ワイルド・アット・ハート”な感性が彼女の隠し味。
「ぶつかっちゃうよ」は、そんな三浦徳子が久々に放った、特大の場外ホームランなのであります。
因みに「ぶつかっちゃうよ」の歌詞は、2014年のジャニーズ楽曲大賞の楽曲部門で第3位になったとか。ジャニーズ・ファンには好評だったようです・・・意外にも。
三浦先生がSexy Zoneに提供した楽曲は次の通り。
そうそうたる名曲ばかりですが、時にファンから「男 never give up」や「Hey You!」などはトンチキ呼ばわりされることもあるようです。
でも「King & Queen & Joker」なんかアイドルポップの傑作ですよね。
だからこういう事ではないでしょうか。
「ぶつかっちゃうよ」のようなトンチキソングと「King & Queen & Joker」のような名曲を交互に発表することで、三浦徳子はクリエイターとしてのバランスを保っている、と。
だとしたら、彼女は無類のプロフェッショナル、ということになりますね。