動画サイトから生まれたボカロPの最新アルバムが登場
2013年5月29日発売の『メカクシティレコーズ』から5年6ヶ月。
ボーカロイドプロデューサー・じんが長い空白期間を経てリリースした新作は、私たちに何を語りかけるのか。
期待を集める待望のアルバムを予想していきます。
カゲロウプロジェクトの最新作がリリース
2011年に第1曲「人造エネミー」がニコニコ動画にアップロードされたことから始まったカゲロウプロジェクト。
今ではMVや楽曲、漫画がひとつの物語を構成し、10代を中心に絶大な人気を集めています。
また全8巻の小説版は、累計900万部を突破する大ヒットを記録しました。
そんな大ヒットシリーズの第3弾アルバムとなる今作では、「失想ワアド」、リード曲「アディショナルメモリー」など新作9曲が収録されています。
それではティザー動画、そして先行公開からわかる魅力にせまっていきましょう。
先行公開『失想ワアド』のインパクト
青春のホロにがさを感じて
大人になっていく私は変わり続けていく。
変わらない想いを 大事に歩いていく
不思議なほどに この世界は
「思い出す」のが 難しくて
忘れたくない 言葉を
失くさないように 伝えていく“
出典: 失想ワアド/作詞:じん(自然の敵P)作曲:じん(自然の敵P)
10代特有の、ヒリつくような焦燥感や自意識が追いかけてくるように感じられました。
不器用だった青春時代を思い起こさせる歌詞には、誰でも共感できるのではないでしょうか。
なんでもないようなことが難しくて、器用にできる(ように見える)友人と比べてしまい、自分自身から逃げ出したくなったり。
人と人がわかりあうのは基本的に難しい。もう無理なんじゃないか。そう思うことは誰だって少なくないはず。
でも、いつまでも辛いままじゃない。大人へ向かうと同時に、変化していくこともこの曲では描かれます。
『失想ワアド』から感じられる今作のテーマ
変われないならそのままで良い。変われないところは自身の核となる部分で、本当は失くしちゃいけない。
大事なコトを伝え合って関係を作っていくしかないんだと、優しく諭してくれているようです。
じんの言葉を通して、大人になることへの希望がだんだん見えてくる気がしませんか?
大人への変化
そして、歌詞の目線は未来にあるところも特徴です。
不器用な子供時代が終わりかけ、折り合いをつけて進んで行こうという決意のようなものを感じさせます。
中高生の頃に読んだ青春小説の主人公が、思春期を卒業して大人になっていく感覚にも近く感じられました。
そんな中途半端な時期の葛藤が、思春期まっただ中の10代や卒業してまもない20代には特に生々しく響く。
この辺りの表現が、文芸に専念していた5年半を経て大きく変わった部分なのではないかと思います。
進化する歌詞世界
『失想ワアド』からもわかるように、今回のアルバムは人と人との関わりで生まれる「想い」にフォーカスしているようです。
カゲロウプロジェクトは子供たちが夏に戦うストーリーです。
できごとの合間に、また関わった人たちに対してキャラクターがどのような思いを抱いたのでしょうか。
それを紐解くような言葉が今作の歌詞にはふんだんに散りばめられています。