記憶と妄想の融合
区別がつかない
記憶探しの旅ばかり
しかしいつしかそれは妄想に変わっていく
出典: TATTOOあり/作詞:MUKAI SHUTOKU 作曲:MUKAI SHUTOKU
やはり主人公は、妄想していたのだとわかります。
過去の記憶を呼び覚ますうちに、それが妄想と区別できなくなってしまったのです。
実際にあった出来事なのか。
それとも頭の中で描き出した虚構なのか。
グラデーションのように、境目がわからなくなっているのでしょう。
一般的には、悪い記憶をしっかりと肯定することでトラウマから解放されます。
過去を思い出して苦しむことが、少なくなるのです。
しかし、この主人公はそれができていないよう。
過去を見て葛藤するうちに、記憶をどんどん悪い方向に捻じ曲げているような
記憶に打ちのめされることで、何らかのカタルシスを感じている可能性もあります。
ただ、それがいき過ぎているようです。
健全なメンタルでいられなくなる可能性すらあります。
ただ、そこにオルタナティブ・ロックの本質があることも事実です。
健全さや美しさが破壊される瞬間に、莫大なエネルギーが生まれる。
NUMBER GIRLはそのエネルギーを聴衆に浴びせたいのかもしれません。
ふとした一瞬に
風のにおいや日ざしの角度がちょうどキてあらわれる映像
瞬と瞬の間に広がるあいまいではっきりした映像
出典: TATTOOあり/作詞:MUKAI SHUTOKU 作曲:MUKAI SHUTOKU
あのときを思い出すような条件が揃うと、過去の映像が現れるのでしょう。
そしてそれはすでに、記憶ではなく改竄された妄想です。
ボヤけていてはっきりしない中で、肩のイレズミだけはくっきりと浮かび上がります。
そんな状態を歌っているのではないでしょうか。
そんなふとした一瞬、彼のメンタルは健全とは程遠い状態なのかもしれません。
しかし、言葉では表せないアート的な何かが潜んでいるようです。
TATTOOは記号となり、消えない
顔のりんかくも 髪の香りよりも
名字と名前よりも いま模様だけがぐるぐる!!
出典: TATTOOあり/作詞:MUKAI SHUTOKU 作曲:MUKAI SHUTOKU
彼はこれからも、この記憶と妄想に苛まれることになるのでしょう。
もはや浮かんでくるのはイレズミのデザインだけです。
記憶が時間と妄想のせいで、単純な記号に変化してもう忘れられないものになったのでしょう。
ハートの形=負のイメージ。
彼は一般的な感覚とはかけ離れた場所に、足を踏み入れてしまいました。
そしてその場所には、衝動的で歪んだギターサウンドが似合うのです。
最後に、NUMBER GIRLのおすすめ記事を紹介して締めくくりたいと思います。
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