また名前変わって キレイになって
あそこのビルはもう空き地になってる
新番組 新商品 新機能 新モデル 新店舗
新曲 新ネタ 新キャラ 新展開 新進気鋭 新人類
…っていやまだ味の残ってるガム 味の残ってるガム
でもそんなゴタク吐き捨てられ 世界は未来へと向かう

出典: かいこ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

古きを思い出す場面から、新しいものに目を向ける場面に移りました。

何でも「新」がついていてめまぐるしくそれを押し付けられる。

ここで、コラボ企画である「ガム」で今の気持ちを例えていますね。

新しいガムをたくさん差し出されたって、口の中にはまだ味の残ってるガムがある。

そんな状況で吐き出して食べようと思えないよ…。

過去の思い出が輝いて見える今、新しいものを受け入れる気になれない。

そんな心情を伝えようとしているのだと思います。

でも、自分を置き去りに周囲の世界は未来へと進んでしまい、ここでも疎外感が締めくくっていますね。

俺ら 劣化 退化 悪化 老朽化
でも消去しないでMr.コンピューター Hey Hey
劣化 退化 悪化 老朽化
でもショートしないでGo to the future

出典: かいこ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

古いデータを消去するように、自分達の過去の思い出も消去しないで。

年を経ることを「マイナスイメージ」の言葉で受け止めないで。

そんな、不安に満ちたメッセージを感じられるフレーズですね。

ポジティブ思考で殻を破ろうとする

楽しむのが「上級者」

とめどなくチクタク 時計は回る
世間の千変万化に目が回る
やがて経年変化 ヤキがまわる
全て楽しんでこそ上級者 Hey Hey
降りたシャッター 剥げた看板 乗り捨てられた自転車
飽きられたおもちゃ ゴミ箱の中

出典: かいこ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

この「上級者」の言葉に注目です。

この曲の「味」の部分ではないかと筆者は思いました。

時の流れや環境の変化さえ楽しんでみせる。

それが「上級者」ってものじゃないか?

そんな新しい視点での捉え方が、ここで投げかけられました。

クールなおじいちゃんR-指定ですね!

後半では廃れた店、放置された自転車、ゴミ箱に捨てられたおもちゃ…。

人が興味を亡くした末路が描かれているのでしょう。

必死についていこうとする

365日の淡白なリピートに
その残酷なスピードに 安息するアイロニー
無理矢理 前を見
揃えて歩く 足並み

追いつけ 追い越せ 蹴落とせ
振り落とされないように
それが生きる術(位置につけ!)
ついてくだけでも息切れ
日々早さを増す時計のBPM

出典: かいこ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

自分を置いてどんどんと進んでいく世界のスピード。

それに追いつこうと頑張っています。

ついていくだけでも必死な状況が読み取れるのではないでしょうか。

最後のBPMとは曲のテンポを指し示す用語。

昔は気にならなかった時計の速度が、どんどんと早く感じていく…。

大人になると体感時間が短くなっていく感覚はありませんか?

幼いころの一日や夏休みは非常に長く感じるとよく聞きます。

そのことをここで表現しているのでしょう。

その姿は「かいこ」

自分の殻や繭に潜み
時代の色に眉をひそめれば
ほら若い子らに“かいこ”と言われる
それでも孵化しきって我を出すか(who got juice now)
フカしきれずに終わるか
伸るか反るか 淘汰される 俺はどの道を行く?

俺ら 劣化 退化 悪化 老朽化
でも消去しないでMr.コンピューター Hey Hey
劣化 退化 悪化 老朽化
でもショートしないでGo to the future

出典: かいこ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

ここで登場した「繭(まゆ)」という言葉は、タイトルの「かいこ」という幼虫が作る「まゆ」のことでしょう。

新しいものを避け、自分の殻にこもってしまった姿。

それを「まゆ」の中に閉じこもった「かいこ」と言われたようです。

「まゆ」の中から抜け出すか…つまり移ろう世界についていくのか。

そのまま「まゆ」で終わるのか…つまり自分の見たい景色だけを見て殻にこもり続けるか。

どう生きていくのか、悩んでいる様子が読み取れますね。

今の自分に相応しい表現を探す

とめどなくチクタク 時計は回る
世間の千変万化に目が回る
やがて経年変化 ヤキがまわる
全て楽しんでこそ上級者 Hey Hey

アナクロ、レトロ、ヴィンテージ NO
横文字では表記不可能、I know

アナクロ、レトロ、ヴィンテージ NO
横文字では表記不可能、I know

出典: かいこ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永

先ほどまでは「劣化」などのマイナスイメージの言葉で表現していたのが変化しました。

時間の経過に対するプラスイメージの言葉が列挙されていますね。

でもこれらのカタカナ用語は、今感じている心情を表現するのに相応しくないようです。

それではどんな言葉が適切なのでしょうか?

読み進めてみましょう。

古きを重んじる日本文化