第10位
MORAL(1982)
記念すべき1stアルバムは、ツインのギターとサックスを加えた6人編成時代の作品。
タイトなビートで駆け抜ける全13曲のトータルタイムは、たった32分弱です。
レコーディング時点のバンド名の表記は、文字通り威圧感のある「暴威」。
シニカルで過激な歌詞とシャウトが混じり合う、パンク色の濃いサウンドです。
一発録りを思わせるシンプルな演奏。
カッティングが冴えるギターは、間奏もほとんどない潔さです。
短い曲の中に凝縮されているのは、驚くほどポップなメロディー。
数年後のブレイクを引き寄せるポテンシャルの高さが、早くもうかがえます。
1stには、ライブの定番曲となる「IMAGE DOWN」「NO N.Y.」を収録。
特に、ニューウェイヴに接近したアレンジの「NO N.Y.」は必聴です。
歌謡曲テイストのメロディーと都会的な歌詞は、アルバムの中でも異色。
解散後の1988年、復刻盤として未発表曲を加えた「MORAL+3」が発売されました。

1984年3月、新宿ロフトで行ったライブ。2ndアルバムのリリース後で、ホール展開を視野に入れた時期のステージですが、この日の演奏曲は「MORAL」から。初期のBOØWYならではの荒々しさをたっぷり味わえます。
第9位
BOØWY(1985)
バンド名をそのままタイトルに冠した3rdアルバムは、東芝EMIに移籍後初の作品。
ドイツ・ベルリンのハンザ・スタジオで、初の海外レコーディングを敢行しました。
プロデューサーに佐久間正英を迎え、それまでとはレベルが違う本格的な音作りを経験した彼ら。
このアルバムから、彼らの作品はより強力なポピュラリティーを志向するようになります。
歌詞は怒りや皮肉のニュアンスが薄れ、ボーカルのスケールも飛躍的にアップ。
ギターはエフェクトの厚みが増し、リフの独創性やソロの表現力も高まります。
ドラムとベースは変則性に対応しつつ、それまで以上の強固なビートを生み出すように。
活動の中・後期に花開く音楽性を確立したのが、この3rdアルバムです。
「ホンキー・トンキー・クレイジー」が、初のシングル曲として先行リリース。
「BAD FEELING」もリミックスされ、12インチ・シングルでリリースされます。
カップリングは、「NO.N.Y.」を再レコーディングした「NO.NEW YORK」でした。
3rdには、ライブで人気だった「DREMIN'」「BABY ACTION」「CLOUDY HEART」も収録。
バンドを代表することになる数々の名曲が、このアルバムから誕生しました。
第8位
LAST GIGS(1988)
バンドが解散したのは、あくまでも1987年12月24日。
最初で最後の東京ドーム公演は「再結成」、あるいは「同窓会」の意味で行われました。
とはいえ、当時のファンの多くが、まだまだ解散を受け止め切れなかったのも事実です。
本作を待つファンの心情は、2作目のライブアルバムを聴けるという嬉しさが半分。
反対に、「本当に解散してしまった」というセンチメンタルな感情も抑えられない。
そんな複雑な思いを抱かざるを得ない1枚でした。
演奏は相変わらずタイト。しかし「同窓会」らしく、どこかリラックスした雰囲気も。
メンバー4人が同じステージに立つのはこれが最後ですが、悲壮感は微塵もありません。
苦楽を共にした仲間が、心からプレイを楽しむ様子も伝わってきます。
彼ららしさを貫こうとするビートに、オーディエンスも最高のレスポンスを見せます。
2008年、全23曲のセットリストを網羅した2枚組のコンプリート盤が発売されました。

最初で最後の東京ドーム公演でも、スタイリッシュなたたずまいと心地良いビートは健在。最後までBOØWYらしさを見せてくれました。
第7位
“GIGS”CASE OF BOØWY(2001)
人気絶頂の1987年夏、横浜と神戸で行われた4時間にも及ぶ伝説の企画ライブ。
そんな前人未到とも言えるステージを収録した作品です。
後期のライブでは演奏されなくなっていた、初期の曲もプレイしています。
長時間のパフォーマンスにもかかわらず、どこまでも持続する高い演奏クオリティー。
どの曲、どのパートにも、息切れや中だるみはありません。
レコーディング音源を上回るテンポで繰り出される、強烈なビートも圧巻です。
当初リリースされたのは、全4巻のビデオと2枚のレーザーディスクのみでした。
待望のCD化が果たされたのは、解散から長い年月を経てからのこと。
当時のファンに、あの頃の興奮を思い出させてくれたのは、言うまでもありません。
2007年、収録曲の演奏を2日間のステージのどちらかから選んだコンプリート盤が発売。
2017年には、横浜と神戸のライブ音源をそれぞれ完全網羅したCDもリリースされました。