「Prover」ってどんな曲?
「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」のエンディングテーマ
「Prover」はアニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」の第2クールエンディングテーマです。
2016年12月7日配信。紀元前の古代メソポタミアに存在する、“ギルガメッシュ“統治下のウルクを含む特異点。三柱の女神による「三女神同盟」とその尖兵たる「魔獣」が、人類殲滅を企てる未曾有の脅威となっている。主人公たちは人々を束ねる王であるギルガメッシュ、そして彼に召喚されたサーヴァント・“マーリン“たちとともに、人類悪となった最古の創生の女神“ティアマト“に立ち向かう。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Fate/Grand_Order
スマホゲームである「Fate/Grand Order」、通称「FGO」内にあるシナリオをアニメ化したものです。
「Prover」では、上記アニメに登場する様々なキャラクターの心情が描かれていました。
本楽曲を真に理解するには、アニメの内容に触れることがどうしても必要となってきます。
そのためここから先はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
壮大なMVは必見
わずか4分ほどの間に「どう生きるか」という死生観が込められていました。
物語に寄り添った歌詞ですが、その死生観は現代を生きる人にも共感できるものとなっています。
舟はどこに向かっていくのか、歌詞を解釈していきましょう。
悲しみの中にも希望を
ギルガメッシュの目線
踏み込んだ shadow land 楽園なんてない
錆びる old remedies 確信なんてない
出典: Prover/作詞:milet 作曲:milet,TomoLow
上記の歌詞は、ギルガメッシュの人生を彼の視点で描いているようです。
ギルガメッシュは人と神の混血として生まれました。
「shadow land」とは、「影のような地」という意味です。
これは神から見た人の世界を表しているのではないでしょうか。
つまり1行目の歌詞は「すべての望みが叶うわけではない」という意味です。
これは不老不死を望みつつ、あと1歩のところで叶わなかった彼の人生観とも一致していました。
そして「old remedies」は、「かつての救済」という意味です。
ギルガメッシュにとってのかつての救済とは、無二の親友・エルキドゥのことだと推察できます。
エルキドゥとは、ギルガメッシュをいさめるために神が作った人形でした。
それが「錆びる」ということは、エルキドゥがすでに失われたことを意味しています。
それでも go up the river
しがみつくだけの ladder
涙にさえ灯る火が
ひとつの sign ひとつの light
出典: Prover/作詞:milet 作曲:milet,TomoLow
「go up the river」とは、「川をさかのぼっていく」という意味です。
miletはこの川に、ある意味を持たせていました。
ミュージックビデオは死から生にさかのぼっていくイメージで、三途の川のようなビジュアルがあった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Prover/Tell_me
三途の川をさかのぼるというのは、死にあらがうことを表しているのではないでしょうか。
これは、運命に立ち向かうという決意にほかなりません。
そして「ladder」は、「はしご」という意味です。
2行目の歌詞は、不格好でも目的のためなら手段を選ばないことを表しています。
このようにギルガメッシュは、エルキドゥを失っても未来のために生きる覚悟を決めていました。
それでも無二の親友を失って心が痛まないはずがありません。
ですがエルキドゥを悼む心も、彼が確かに生きていたという「しるし」になるのです。
それはギルガメッシュの人生を明るく照らす「光」でもありました。
藤丸立香の目線
上記の歌詞はギルガメッシュの目線だけでなく、藤丸立香の目線と解釈することも可能です。
人類最後のマスターとして、いくつもの特異点を旅する藤丸立香。
人類史にとって本来存在しなかった特異点とは、まさに「影のような地」といえるのではないでしょうか。
また、死後の英雄を実体化させたサーヴァントは「かつての救済」と呼ぶにふさわしい存在です。
それが「錆びる」ということは、特異点にてサーヴァントにも犠牲が出たことを表していました。
いくら犠牲があっても、歴史を修正するためには進み続けなければなりません。
藤丸立香にとって特異点とは、人理修復のために必死にしがみつく「はしご」ともいえます。
犠牲になったサーヴァントを悼む心さえも、彼らが生きたという紛れもない証といえるでしょう。
そしてそれは、終局特異点へと進む藤丸たちを明るく照らす「光」でもありました。