私の言葉で誰かがキスをした
「あなたなんかいらない」
背伸びした知らない誰かを思って泣きじゃくってたんだよ
出典: 誰かがキスをした/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
本当に好きだからこそ、嫉妬もするし、怒ってしまったのですが、そんな「私」の言葉のせいで、喧嘩になり、帰ってこない彼は、今頃誰かとキスしているのではないかと考えてしまう「私」。
別に特定の相手が浮かぶわけではないので、頭に浮かぶのは彼に向かい合う女性の足元が背伸びをする絵。
よくある演出ですが、キスしている顔が映らなくても、向かい合った足の女性側が背伸びするだけで、キスしたということはわかりますよね。
これと同じで、彼の浮気を実際に見た訳ではなくても、こうして夜中になっても帰ってこないだけで、同じくらい哀しいということを歌っているのです。
もしかしたら彼が帰ってこない理由は何か別のものがあるのかもしれません。
それでも連絡が取れず、帰ってこないというだけで本当に不安になる気持ちをわかって欲しいという女性の胸中が伝わってくる歌詞ですね。
「私」が苛立った理由も、「あなた」はきっとわかっていない
キラつく街に煙草を押し付けて煙をかいだ
頼んでもいないのに吸い寄せられる
甘い匂い
嫌いだと言ったじゃないかなんで吸ってるの?
鬱陶しい言葉でもいいから掬い上げて
出典: 誰かがキスをした/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
タバコを吸っている女性をどう思いますか?
もしかしたら、男勝りとか強い女性のイメージがあるかもしれませんね。
しかしここでは、虚しさや口寂しさから嫌いだと言っていたはずのタバコに手を出した「私」の姿が描かれています。
そうなった1つの原因でもある彼から、嫌いだと言っていたのになんでタバコなんか吸ってるのと聞かれて、うっとおしささえ感じた「私」。
わかっていない彼に、あなたがもっと「私」を見てくれれば、こんなことになっていない...と苛立つのも仕方がない気がしますね。
しかし、彼の声をなんでもいいから聞きたいと思う今となっては、記憶の中のそんな言葉も掬い上げて反芻するのでした。
きっと「私」は「あなた」のタイプの女性ではだんだんなくなっていっているのでしょう。
吸わなかったタバコを吸い出したり、急に怒り出したり。
ただ、相手には伝わっていないものの、その原因には「あなた」への想いがあるということが皮肉で、切ないですよね。
心の中で「あなた」にキスをする、それじゃ足りなくて
kiss me
私の想いはあなたとキスをしたでもそれだけじゃさ、嫌だよ
背伸びしないでも私キスできるのそれの方がいいでしょ
今すぐここに来て私を奪って
あなたは奪えない
出典: 誰かがキスをした/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
「私」の心の中で、「あなた」にキスをねだると、唇が自然と重なって。
しかし、そんな空想の中でキスを重ねるだけでは本当は嫌だという素直な心情が描かれていますね。
可愛らしく甘えられなくても、彼をいつも思っている「私」だけを見て欲しいという想いを直接伝えられればいいのですが、難しいのですね。
また、背の高い私は背伸びをしなくてもキスができることについて、「それの方がいいでしょ」と言っていますが、これは物理的なことだけではないのでしょう。
新しく出会った女性に心がなびくかも知れないけど、常に「あなた」を想っているから、「あなた」が望めばキスができる「私」の方がいいでしょ。
そう言っているのですね。
こんなことを思われているとしたら冷めてしまうという男性もいるかもしれませんね。
もしくは、こんなに思われているとしたら、もっと構ってあげたいと思う男性もいるかもしれません。
また、恋愛を上手く操っている人が幸せになるとも限らないこの世の中。
あなたはこの曲のヒロインである「私」をどう思いましたか?
おわりに
DADARAYの「誰かがキスをした」のMVと歌詞を解釈しましたが、いかがでしたか?
女性の切ない気持ちを描きあげた歌詞に、切なくも美しいメロディーが重なる本作。
楽曲も勿論いいのですが、やはりDADARAYだからこそ、この曲が成立するのでしょう。
早くもバンドの武器のようなものが見えてくるような一曲でした。
無料で音楽聴き放題サービスに入会しよう!
今なら話題の音楽聴き放題サービスが無料で体験可能、ぜひ入会してみてね