続いて2番(どんどん不穏に…)

蝋=candle が出てくる

蝋で固めた螺旋階段
神の居ぬ間に最上階まで
君の望み叶える為ならば

出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

2番の歌詞に入ると、今までに出てきた登場人物が“僕”と“君”の二人だということが分かります。

展望台といい螺旋階段といい、どこか高い場所を意識させたいような印象です。

おそらく“君”の望みをかなえるためには、高い場所へ行く必要があるのでしょう。

しかし、神の居ぬ間に行かなければならないということは、その望みは理解され難いものであると読み取れます。

砂の粒を噛み砕く音
突然口ごもって伏し目
風が止めばその背中を
押すはずだったのに

出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

そんな“君”の望みを“僕”はかなえようとしているわけですが、砂を噛むような思いでいるのでしょうか。

本来、砂を噛むようという慣用句は「味気のない、面白みのない」といった意味。

しかし最近では「悔しくてたまらない」という意味で使う人の方が増えているようです。

今回の歌詞でも、文脈から後者の意味で使っていると捉えられます。

「背中を押す」という言葉は基本的に誰かの後押しをするというようなポジティブな意味です。

しかし、ここでは違う意味で使われているように思えます。

また風の吹く展望台にいることから、風という言葉は比喩表現ではないようです。

螺旋階段を上って最上階まで来た彼らは、何をしようとしているのでしょうか。

迫るタイムリミット

照りつける水銀灯
蕩け出す展望台
睨み返せ さあ

出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

彼らは水銀灯が使われているような古い展望台にいるのでしょうか。

しかし蕩けるという比喩から、どうやら太陽が高く昇ってきたことを表現しているようです。

朝日が高く昇る前に、“君”の望みをかなえなければならない。

最後の一文は、そんな“僕”の気持ちが伝わってくるような「背中を押す」言葉に聞こえます。

美しすぎるもの

壊したくなるよ美しすぎて
君の瞳じゃ夜は明けない

出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ

“僕”が思っている、美しすぎて壊したくなるものは何なのでしょうか。

本当の色を誰も知らない世界を“僕”は憾んでいるので、彼らの周りを指しているのではないことが分かります。

仮に「君の瞳」を指しているとしたらどうでしょう。

夜は明けない=夜の標本みたいな朝しかやってこないという意味だと捉えることができます。

そんな世界を見続けるには、君の瞳はあまりに美しすぎると“僕”は思っているのかもしれません。

ここまでの歌詞でわかること

こういった解釈でこれまでの歌詞を見てみると、「君の望み」はこの世界から離れることのように感じます。

まだ朝日が昇りきる前、一緒に展望台の最上階まで上り、風が止んだら“君”の背中を押すはずだった“僕”。

それができずに、“君”の美しすぎる瞳を壊せたらと“僕”は思いを巡らせているのではないでしょうか。

激動のクライマックスへ

僕が見たもの

天使の輪模した
レンズフレア浮かぶ
小さな黒髪の上

出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ