ここで“僕”の視点がガラッと変わります。
ずっと広い視野で景色や状況が描かれていましたが、ここでは狭い視野で“君”を見ているようです。
レンズフレアというのは、逆光によって写真がぼやけて写る現象のこと。
「朝日が昇り始めた展望台で“君”の髪の上には、まるで天使の輪のように光が差し込んでいた」
そんな“僕”の記憶を疑似体験したような気持ちになる歌詞です。
作り物の瞳で見る世界
僕らの光は作りものだから
瞳を閉じて叫ぶ
出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
1番のサビでは「僕らの瞳」が作り物であると主張していましたが、今回は光も作り物であるといっています。
この“僕ら”は1番とは違い、登場人物である“君”と“僕”に限定しているようです。
天使の輪のような光をまとった“君”は、きっと一線を越えたのでしょう。
光という言葉は希望とセットで使われることもあり、どちらかというとポジティブな印象を受けます。
しかし、その光は作り物だから“僕”は現実から逃れるように瞳を閉じ、叫ぶことしかできない。
でも閉じたその瞳もまた作り物であるという、ある種の皮肉を含んでいるようにも思えます。
その後の僕
当然のようにまた
陰謀の絵の具を被った
輪郭を手放すのは恐ろしい
出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
最後の場面が描かれているこの部分。この3行はどのように分けるかによって解釈が変わる部分です。
この3行を一つの文章とすることもできますが、今回は2行目と3行目を分けて考察していきます。
“君”が一線を越える計画は、一般的には良くないことに分類されるので陰謀と呼んでも問題はないでしょう。
しかし、「また」という言葉が引っかかります。
おそらく以前から“僕”は、他人に話せないような“君”の望みをかなえる手助けをしていたのではないでしょうか。
もしそうだとしたら“君”と“僕”の関係は、ある種特別なものであったと想像ができます。
“僕”が守りたかったこと
さらにこれまでの歌詞から、“君”は自分の本心を“僕”にしか話していなかったようにも思えます。
つまり、他の人から見た“君”は一線を越えるような人間には見えてなかったということです。
“僕”が知っている“君”のことを誰かに話せば楽になったかもしれません。
ですが、“君”の印象を壊すようなことはしたくなかったのでしょう。
“僕”は何も知らなかったふりをすることで“君”が一人で一線を越えたことにしたのかもしれません。
変わらない世界
僕は君になれない
君の目になって生きてゆくから
嗚呼 濁り続ける
出典: candle tower/作詞:ナカシマ 作曲:ナカシマ
“僕”は“君”の考え方、もっといえば生き方に憧れを持っていたのではないでしょうか。
近くで見ていた“僕”には、“君”こそが本当の色であり、本当の光だった。
でも“君”のようにはなれないので、君の代わりにこの先の世界を見ようとしています。
しかしその目も作り物の瞳であることに変わりはありません。
本当の色どころか見える世界がどんどん濁っていってしまう悲しい結末を迎えます。
考察を終えて
以上が【candle tower】の考察でした。
一曲を通じて混沌とした雰囲気が立ち込めるこの曲は、おいしくるメロンパンの新たな境地であることに間違いはありません。
これまでの楽曲の歌詞考察も見てみると、よりその変化を感じられるかと思います。
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