企画段階で「青春ドラマにしたい」という意向があり、ミュージック・ビデオの限られた時間の中でドラマを見せ、歌やダンスも見せながらポエトリーリーディングを軸に音楽性も破壊しないようにする必要性に迫られた
出典: https://ja.m.wikipedia.org/wiki/世界には愛しかない
2人はインタビューの中でミュージックビデオに関して上記の様に語っています。
歌詞に迫る
ポエトリーリーディング
歌詞を紐解く
それでは「世界には愛しかない」の歌詞を紐解いていきましょう。
「歩道橋を駆け上がると、夏の青い空がすぐそこにあった。
絶対届かないってわかっているはずなのに、僕はつま先で立って
思いっきり手を伸ばした。」
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
まずは冒頭部分。夏の物語であることが見て取れます。
突き抜けるようにまっすぐで青く高い夏の空。そんな風に自分も素直でまっすぐになりたいと理想を重ね手を伸ばします。
しかし、届かないと分かっているという文からはちゃんと現実を見据えていることも感じることができます。
理想と現実の中で、それでも理想を求めたいという欲求が表現されているのではないでしょうか。
ただじっと眺め続けるなんてできやしない
この胸に溢れる君への想いがもどかしい
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
冒頭を受けて手を伸ばした理由がここで描かれています。
それは「この胸に溢れる君への想い」のせいです。その想いがあるからこそ、じっとしていることはできずに、行動を起こしているのです。
では、果たして「君への想い」はどんな想いなのでしょうか。
「真っ白な入道雲がもくもくと近づいて、
どこかで蝉たちが一斉に鳴いた。
太陽が一瞬、怯(ひる)んだ気がした。」
「複雑に見えるこの世界は
単純な感情で動いている。」
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
しかし、手を伸ばした空に入道雲が立ちはだかります。これは理想へ向かう道を阻む困難を表現しているのではないでしょうか。
その困難に対して「負けてたまるか」「何で立ちはだかるんだ」と私たちは声をあげたくなります。
そんな声を蝉の鳴き声で表現しています。その私たちの想いの強さはまるで太陽を怯ませる力があるように感じています。
その力を持ってすれば、私たちの想いだけではどうにもならないと諦めたくなるこの世界でも、声をあげれば世界を変えることができるかもしれないという希望が見て取れます。
そんな風に世界を変えたいと突き動かす想いが「君への想い」なのかもしれません。
それは自分の世界でも、誰かの世界でも、そこに救いがあれば手を伸ばす意味が見出せるのです。
最初に秘密を持ったのはいつだろう?
大人はみんな嘘が多すぎて忘れてる
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
若者の気持ちを代弁するかのような歌詞になっています。
大人に近づけば近づくほど社会の中で上手に生きていくための術が必要になるのではないでしょうか。時には嘘や秘密も必要になります。
しかし、そんな風に嘘をつくことや秘密を抱えていくことが当たり前になっていくことは非常に怖いことです。
純粋だった子どもの頃の気持ちは忘れてはいけないと歌っています。
通り抜ける風は 僕に語りかける
もう少ししたら夕立が来る
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
夏の夕立を予測できずに突然降り出して困った経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
しかし、本来は予測できないはずの夕立が来ると風は教えてくれてくれています。
この「風」は誰を表しているのでしょうか。また後の歌詞に絡んでくるのかもしれません。