世界には愛しかない
(信じるのはそれだけだ)
今すぐ僕は君を探しに行こう
誰に反対されても
(心の向きは変えられない)
それが (それが) 僕の (僕の) アイデンティティー
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
信じることの強さが表現されています。
大人の事情や経験からくるアドバイスや意見が大切なことは、もちろん子どもでも分かっています。
しかし、どうしても曲げられない想いや理想が一人一人にはあります。それこそがアイデンティティーなのです。
「空はまだ明るいのに、突然、雨が降って来た。
僕はずぶ濡れになりながら、街を走った。」
「夕立も予測できない未来も嫌いじゃない。」
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
そして、夕立の描写に戻ってきます。
ずぶ濡れになりながら走る姿からは、困難に立ち向かいながらも信じた道を進んでいく強い気持ちが表現されています。
また人生は何があるか分からないし、子どもや若者にはまだまだ見えない未来や可能性が広がっているはずです。
その中で起こる困難を乗り越えていくこともひっくるめて、人生を楽しんでいきたいと思うのが子どもや若者なのではないでしょうか。
最後に大人に逆らったのはいつだろう?
あきらめること強要されたあの日だったか…
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
曲げない信念を貫いていきたい若者たちですが、大人に逆らってばかりではないことが窺えます。
「最後に」という表現からは今は逆らっていないことが想像できます。その最後は諦めることを強要された日でした。
ということは、そこからはずっと諦めているのではないでしょうか。それは、大人に逆らうことだったり、自分の信念だったり、色々あるでしょう。
子どもと大人の狭間で信じることと諦めることの葛藤が描かれています。
そんな諦めは可能性を潰すことになります。
ここから想像するに前に出てきた歌詞の夕立が降ることを教えてくれた「風」も、もしかしたら大人の意見なのかもしれません。
アスファルトの上で雨が口答(くちごた)えしてる
傘がなくたって走りたい日もある
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
雨がアスファルトに落ちて弾かれる音を「口答え」と表現しています。
入道雲という困難から降り出した雨や、通り抜ける風、ここまでの歌詞に出てくる色んなものが大人の意見として捉えられてきていました。
それほど世の中には大人の都合が蔓延しているのです。
その一つ一つを口答えという言葉で表現し、それを受け止めるバリアとしての役割を担う傘が無くても信じた道を進んでいきたいと決意が改めて歌われています。
未来には愛しかない
(空はやがて晴れるんだ)
悲しみなんてその時の空模様
涙に色があったら
(人はもっとやさしくなる)
それが (それが) 僕の (僕の) リアリティー
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
ここでは明るい未来に向かって進んでいくことが表現されています。
明けない夜はありませんし、止まない雨はありません。つまり夕立のように一時的な困難のせいで立ち止まったとしても、雨宿りして晴れたらまた自分の道を歩き出すことができます。
そして、雨や涙など色のないもの、つまり透明で現実味を感じづらいものには振り回される必要はありません。
例えば部屋の中にいて窓から見た時は気付かなくても、外に出てみて初めて雨が降っていることに気付くことってありませんか?
他にも誰かが泣いていたとして、その涙を服で拭われたら気付くことは難しいです。
しかし、どちらも透明でなく色が着いていれば、雨の降る様子や服に着いた色で把握することができます。
何事にも振り回されずに自分にとって目にハッキリと見えて、現実味を感じられるものを大切にしていくことや、理想を現実に変えていくことが人生を明るいものにしていくのです。
君に遭った瞬間 何か取り戻したように
僕らの上空に虹が架かった
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
ここまでの歌詞は一貫して信じる気持ちが愛に例えて表現されてきました。
そもそも愛というものは誰かを想う気持ちであり、他人を想うほど力は増します。
つまり自分以外の他人が存在することで、さらにその想いや信じる気持ちは強くなるのです。それが「君に遭った瞬間」で表現されています。
しかし、「自己愛」という言葉があるように、自分だけを信じる道もあります。また大人の意見に屈する道もあります。
しかし、君に遭えたことで、自分が本当に信じる道に気付くことができました。
世界には愛しかない
(信じるのはそれだけだ)
今すぐ僕は君を探しに行こう
誰に反対されても
(心の向きは変えられない)
それが (それが) 僕の (僕の) アイデンティティー
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
つまり信じた道を間違わないように、間違えないためには「君」という存在が必要なのです。
どんな困難があっても本当の自分の道を探していくことが大切なのです。
「全力で走ったせいで、息がまだ弾んでた。
自分の気持ちに正直になるって清々しい。
僕は信じてる。世界には愛しかないんだ。」
出典: 世界には愛しかない/作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔
ここまで信じて進んできた自分を肯定しています。困難に立ち向かうドキドキした気持ちや、それを乗り越えた達成感が言い表されています。
信じることの強さ、誰かを想う気持ちが私たちを未来へ進ませてくれます。
これこそが「世界には愛しかない」ということなのです。