かなしみよ横たわってわたしを喰い尽さないで
関わり合って居ない知能と肉体だけ持て余して
出典: 絶体絶命/作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉 椎名林檎
しかしここにきて少し風向きが変わりました。
彼女の中で膨らみすぎた影はどんどんと心を侵食して行きますが追い詰められた結果とっさに思ったのです。
それが上記1行目の内容ですね。
「やめてほしい」
とハッキリと思えたのです。
これまでは為すがままに飲み込まれていました。
その間は自分を傷つけ、苦しめることで生を感じ、悦に浸り、心地よく感じていました。
しかし、それらは彼女の心身に大きな負担を強いていたのです。
もう誤魔化しが効かないほどに追い詰められたその結果、最後の最後で心が悲鳴を上げました。
限界を超えてしまったことで、土壇場で救いを求めたのです。
心は生存本能から、闇を受け入れて絶望の淵で悲劇のヒロインを演じて悦に浸る状況を拒否しました。
これが大きな転機となります。
再び浮上する心
絶望が囁く「逃した魚へ拘泥る姿勢は尊い」と
教えてよ口に出した途端言葉は裏切るものだと
唯独りにして放っといてさようならかなしみよ
出典: 絶体絶命/作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉 椎名林檎
絶望に浸る場合、過去起こったことを悔やみ続けるのは最高のエネルギー源になります。
なにせ、自分を責め続けることができるのですから、負のスパイラルが加速する原動力ですからね。
しかし今の彼女は助かろうともがいています。
おそらく、彼女は大きな裏切りにでもあったのでしょう。
だから相手の言葉が信じられなくなった。
それでとてつもない『かなしみ』に襲われてしまったのだと思います。
そうして飲み込まれている中で、その『かなしみ』が自分に答えをくれないことに気付いたのです。
よく考えたら、『かなしみ』に襲われ始めたときも何も教えてくれていなかった。
『かなしみ』は明確な何かを提示せず、ただただ暗い世界へ引き摺り込むだけ。
引き摺り込んで苦しめ、真っ暗な世界に閉じ込めてどんどん深みにはめていくだけ。
そんな中で感じる心地よさなんて本物ではない!
このままでは何の意味もないじゃないかと思い始めました。
救いを求め始めた心は、そういった小さな違和感や歪みにも気付けるようになっていました。
このままならただ辛いだけなのだから、もういっそのこと放っておいて欲しい。
意味もなく自分自身を苦しめるだけのために飲み込まないで欲しい。
飲み込まれ始めた当初は為すがままだった彼女はそこまで言えるほどに持ち直し初めています。
『かなしみ』と真っ正面から向き合うことができたのです。
これから先のことを…
もっと自分としっかり向き合おう
寝返り打って‥かなしみよ向うへ行って‥
かなしみよ押し黙ってわたしを縛り付けないで
晴れ渡る空は遠く塗り潰されて行く
出典: 絶体絶命/作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉 椎名林檎
救いのない、まさに絶体絶命な状況からの回帰。
彼女は気付きました。
ただ塞ぎ込み、マイナス思考で負のスパイラルに入りっぱなしでは何も得られないということに。
だからこその抵抗。
土壇場で見つけた彼女の最終手段でした。
人間は、窮地に追い込まれるとどうにかして助かろうとするものです。
その結果、得た答え。
それは、『過去を認めて、後悔は次への糧にして前に進んで行こう』ということでした。
過去に縛り付けるのではなく、過去を糧に未来を育てること。
そのためには、しっかりと自分自身と向かい、過去を整理して未来を見ることです。
これができれば道は開けると思えたのです。
そうしないと、脆い自分の心など今回のように一瞬で『かなしみ』に飲み込まれてしまうのですから。
これでこの歌詞の解説は終わりです。
まとめ
過去に囚われ恐ろしく巨大な『かなしみ』に飲み込まれていく文字通り『絶体絶命』の世界観。
いかがだったでしょうか。
誰でも落ち込み、悩み、過去を悔いることはあると思います。
そんな時、不安や絶望とともにひょっこり現れる大きな『かなしみ』。
これによって生きる気力を失い、再起不能になることだってあります。
それをどうすれば回避できるのか。
どうすれば追い出すことができるのか。
そういうことを歌った曲でした。
こんなに重く暗い歌詞の内容を、ポップなメロディに乗せてファンタジックに歌い上げる東京事変。
そのセンス、脱帽せずにはいられません。
そんな東京事変のオススメ曲をご紹介します。
【ご紹介】
同じくアルバム『スポーツ』に収録されている『シーズンサヨナラ』という曲です。
これもポップな曲調に乗せた悲しいストーリーが印象的な一曲になっています。
別れ際の男女の微妙な心の動きを東京事変ワールド全開で描かれています。
是非一度ご一読ください。
『絶体絶命』とはまた違った、東京事変の魅力を発見できると思いますよ!
東京事変【シーズンサヨナラ】歌詞の意味を解説!「もう結構」すがらずに別れる…いさぎよさがカッコイイ! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
東京事変4枚目のアルバムに収録されている『シーズンサヨナラ』。ギターの浮雲さんが作詞作曲を手掛けたこの曲について、歌詞の解説をしてみようと思います!別れ際の男女のやりとりが見事に描写されていますよ!
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