秋を感じている僕の恋
今回ご紹介するMr.Childrenの楽曲は絵本をめくるように歌詞が綴られています。
まずはその1ページ目の歌詞からゆっくりと見ていきましょう。
香りとビジュアルで感じる秋
風の匂いもいつしか 秋のものになってた
カーディガン着た君の 背中見てそう思う
出典: 秋がくれた切符/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
歌は主人公である僕が秋を感じるシーンから始まります。
まず「空気」から秋を感じたようです。
秋が進むと花が咲く金木犀のかすかな香りを感じたのかもしれません。
そしてその後はビジュアルから秋を感じます。
より秋を感じることができたのは今日君が着ている「カーディガン」。
半袖から長袖そして気温が下がると羽織ものが欲しくなります。
君の装いにプラスされた1枚から感じる秋。
夏の君も知っているからよけいに今日の姿が心に刺さるのでしょう。
2人が夏より前から付き合っていることも想像できますね。
でも僕は君に今心に思っていることをここでは口にしないようです。
それは僕が今見ているのが君の後ろ姿「背中」というところから分かります。
秋の空気の中で2人は無口になっているようですね。
僕の所に来た秋は…
公園の緑は その葉落としはじめて
カバンの中に一枚そっと着地した
出典: 秋がくれた切符/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
会話もしないまま2人は秋の空気の中にいます。
葉が落ちる音も聞こえるような静かな時間です。
落ちてきた葉の情景が歌詞に綴られました。
葉が落ちたところが「カバン」落ちた様子は「着地」。
1枚の絵が浮かぶ歌詞ですがここでは何を表しているのでしょう。
わざわざ子供のようにカバンを広げて葉っぱを受け止めたのでしょうか。
それとも落ちてくることを知って自分から手を伸ばしたのか…。
「カバン」を僕のハート、落ちる葉は君からの愛としたらどうでしょう。
葉は地面に落ちません。愛は心に優しく舞い降りてきます。
でも落ちてきた葉を愛と思うことに戸惑っているようにも見えるのです。
君が僕に背中を見せたまま歩いていることも影響しているようにも思えますね。
空から落ちてきた切符が
落としてくれたのは…
神様が僕らにくれた
何かの切符みたいだ
出典: 秋がくれた切符/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
僕と背中を向けたままの君はまだ秋の公園にいます。
僕は独りで葉を見ながらふと落ち葉が2人のために落ちてきたように思えてきました。
この葉が「僕ら」に与えられたものという歌詞がそれを示していますね。
そしてこの落ち葉を僕らに空から落としたのは「神様」であると思ったのです。
神様が本当にいれば間違いなくそうなのでしょうが、現実的にはあり得ないこと。
それならばこの「神様」は誰なのでしょうか…。
合わせてこの葉を「切符」と思ってしまったのは何故なのか。
答えを出すためにもう少し歌詞を進めてみたいとおもいます。
手のひらの上の葉は…
でも どこへ行けというんだろう
この葉眺めて思う
出典: 秋がくれた切符/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
僕らのために落ちてきた葉なのにここでも葉を見ているのは僕独りのようです。
せっかく手にした葉を見てもポジティブになることができずに「でも」とつぶやきます。
落ち葉は勝手に送り付けられた「切符」。これを使ってどこかに出かけるなんて考えられない。
ここでもまだ「神様」と「切符」に関しては答えは出ていません。
それでも落ち葉を地面に捨ててしまうことは無いようです。
手のひらの上にのせた落ち葉を見続けています。