日が暮れる時間が早くなるのも秋を感じさせます。
気が付けば青から赤へ変わる空の色。
僕は手のひらの落ち葉から空へ視線を移しました。
今がずっと続けば…
茜色の夕日は 綺麗で切なくて
このまま時間が止まればいいのにな
出典: 秋がくれた切符/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
手にした葉を見てもどこか素直になれなかった僕。
ここでは見上げた空の色に目を奪われています。
沈む太陽に染められた空に感じた「切なさ」。ここにはどんな思いがあるのでしょう。
僕らに渡された「切符」もそれが誰のおかげなのかここでも答えは出ていません。
それでも秋の澄んだ空気のおかげで美しさを増した夕焼けに心動かされた僕。
燃える空がずっと続くことも願っています。
僕は変わる空の色の下で時間まで止めようとしている。
「切なさ」は君に対する嘘偽りのない愛と思いたいですね。
でもストーリーも愛も大きくなり過ぎた気がするのですが…歌詞を追っていきましょう。
でも君は背中を見せたまま…
神様が僕らにくれた
何かの切符みたいだ
でも なんの褒美なんだろう
今日も喧嘩したのに
出典: 秋がくれた切符/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
赤い空に視線を移したままの僕の手のひらにまだ「切符」はあります。
そしてこれはまだ「神様」がしたことと思っているようです。
落ち葉の切符は行きたいと思う場所に連れて行ってくれるのでしょうか。
切符は本来の目的である乗り物に乗る以外の「何か」を持っている。
しかもそれは何かを否定するのではなく肯定感でできているのは確かなようです。
でも今は本当はそんな気分では無いことを僕は良く分かっています。
僕は背中を見せている君と「喧嘩中」だったのですね。
君とのすれ違いが今日のデートでも起こってしまったようです。
今日のあとにある「も」の1文字も僕と君の関係を語っています。
喧嘩を繰り返してもまた普段通りの会話ができる間柄なのでしょう。
お互いのことを分かり合っているからできることですね。
この歌詞から「神様」と「切符」の答えを紐解いてみたいと思います。
神様は本当はもう僕の顔を見たい「君」。
切符は今日も2人の時間を幸せなものにしたい「言葉」。
こんな答えを出してみましたがいかがでしょう。
謝りたいことを気づいて欲しいけれど上手く口にできない。
だから代わりに葉を落として終わりにしたいことを気づいて欲しかった…。
僕もそんな心を分かっていて、憎めない行動に出た君への愛おしさも増しているでしょう。
広がる夕焼けと時計を止めるという大きな願いの正体は「恋人との仲直り」だったようです。
歌詞に起承転結があるとすればこの部分は「転」ですね。
作詞家桜井和寿さんの愛のマジックに今回もやられちゃった気がします。
でもこんな胸キュンな歌詞の展開。
夕焼けを見た「切なさ」はここへつながる伏線だったのでしょうか。
2人は黄昏時から夜へと向かいます。
君はいつもの君だから…
神様が僕らにくれた
何かの切符みたいだ
君はまだ気付いていないんだな
その贈り物に
出典: 秋がくれた切符/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
空から落ちてきた葉っぱに気が付いていない君が出てきます。
先程の落ち葉は「君」からの「言葉」という見解から矛盾をするように思えますね。
でも自分から謝ることをしたくないのであれば「切符」を落としたことは口にしないでしょう。
この歌詞には僕から見た君の性格も読み取れます。
自分の意見を持っていて信念は曲げたくない…負けず嫌いなタイプと分かっているのでしょう。
でもその少し勝気なところは常にそうであるわけでも無いようです。
それを示しているのが「贈り物」というワード。
落した葉がギフトならそこには贈る側の心があるはずです。
君が僕への愛をそっと落ち葉に込めたのは間違いないでしょう。
言い争いをしても気持ちを切り替えてまた話しかけてくる、これがいつもの君です。
会っている時間を無駄にしたくない君は、恋愛にもプラス思考で臨みたいのでしょう。
秋の恋に必要なものは
風の匂いもいつしか 秋のものになってた
寒そうにしてる君に 駆け寄り手を繋ぐ
出典: 秋がくれた切符/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
お互いに口では謝らない2人はまだ別々に歩いているようです。
僕の前を黙って歩く君。陽が沈むと秋は気温が急速に下がります。
ここでの歌詞で注目したいのは「寒そう」です。
まずは僕の目から見て君が寒がっているように見えると解釈できます。
もう1つは「君が意識して寒そうなそぶりを見せた」と解釈することもできますね。
そして僕が足を速めたのはこの両方が一致したからでしょう。
横に並んで手を握れば伝わる温もり。秋の恋はこの温かさで心もつながります。
夏から秋へ気温が変化するように2人の恋も進展していることも示しているのでしょう。
最後に
Mr.Childrenの『秋がくれた切符』、不思議感を忘れない桜井和寿さんらしい楽曲でしたね。
デート中に通った秋の公園を2人で通り抜けるまでの時間。
時間にすれば数分の心の動きを落ち葉にのせて歌詞に綴りました。
どちらにも「葉」がある落ち葉と言葉。そんなところもメッセージになっているのでしょう。
人間は神様にはなれなくても、言葉にして伝えることはできます。
2人のもとに黄色い銀杏の葉が落ちてきたらそれは幸せの予感。
愛へ向かう切符を落とさないように2人で受け止めてくださいね。