あらゆる音楽を吸収し続けるRADWIMPSの魅力
アーティストは新しいアイデンティティを持って登場してきます。
彼らのその音楽がこれまでにないものであればあるほど、新しい息吹を吹き込まれ、祝福される部分があると思います。
RADWIMPSの初期の音楽は、90年代のインディーズミュージックを存分に吸収したところから生まれていたように思います。
Dragon Ashのミクスチャーロックなど、影響を受けたバンドは多数あると思いますが、そういった先輩格のバンドの音楽から、日本のロックを大きく前進させている。
それがRADWIMPSの魅力だと思います。
90年代末から2000年代にもあった音楽の大きな変化
90年代の最初に海外ではロックのオルタナティヴな進化があったように、90年代末から2000年代にかけて、音楽はさらに大きく変化しました。
その変化を大きくコンピュータ技術の発展による変化ということができるかもしれません。
ロックはハードロックからパンク、ハードコアを経てオルタナティヴという変化にたどり着きました。
さらに現在ではエレクトリックなサウンドとの融合、ポストロックと呼ばれる音楽の進化、ジャズ的なアプローチ、ヒップホップと融合したミクスチャーサウンドなど音楽が多様になっています。
細分化したそれぞれの音楽を吸収しながらRADWIMPSは進化しています。
RADWIMPSはバンドサウンドがメインですが、くるりやスーパーカーといった日本のバンドがテクノを吸収したように、この「謎謎」では、ロックとエレクトリックサウンドを融合させた見事な1曲を披露しています。
野田の歌詞はサウンドのバリエーションの多様さに対して、言葉も様々なアプローチをとっています。
この「謎謎」では、人々に子どものようになぞなぞを出しながら、深いメッセージを発しています。
タイトルの読み方は"なぞなぞ"。
彼らの凄さは音楽性だけではないと思います。
「謎謎」のなぞに迫る
なぞなぞとは?
なぞなぞ(謎謎、なぞ)は、問いかけに対して、とんちを利かせた答えを要求する言葉遊びを用いたクイズである。ただし普通のクイズとは違って正解は事実に基づくものではなく、言葉の意味をこじつけた駄洒落・洒落が多い。韻を踏んでいたり、何かに見立てられたりする[1]。転じて、言葉によって婉曲的にわからせる事についてもなぞなぞという。
この歌はなぞなぞでありながら、愛のメッセージでもあります。
なぞなぞに答えられるか不安ですががんばります。
内側からは君にだけしか見えないのに
外からは僕にしか見えないものはなーんだ
君からは決して離れようとはしないのに
僕からは平気で離れてくものはなーんだ
僕が嘘をついてもきっと分からないのに
君が嘘をつくとすぐ分かるものはなーんだ
悲しい時は無理して笑ってみせるのに
嬉しい時は涙を流すものはなーんだ
出典: 謎謎/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
子どものようになぞなぞが出題されます。
実は筆者は子ども時代からこのなぞなぞが苦手で、答えを出すのに苦労しました。
正直に申し上げて、様々なサイトも閲覧しました。
でもなかなかぴんとくる答えがありませんでした。
歌詞は様々な解釈が許されます。
でもなぞなぞは答えがあるもの。
だからもし間違っていた場合は、なぞなぞが苦手だからということでお許しください。
まず、"内側からは君にだけしか見えない"というものでありながら、"外からは僕にしか見えない"という問いかけが難解です。
内側から君にしか見えないというものは、大きくは心だと思います。
でも、外からは僕にしか見えないということは心ではないということになります。
"君からは決して離れようとしない"けれど、"僕からは平気で離れていく"という部分はなぞなぞを超えて、この歌のメッセージの核心に触れるものです。
ここで、答えは"君"なんじゃないか?と思いました。
でもそれだけではない。
様々な答えが浮かびますが、僕の答えは"yourself"、つまり"君自身"というものです。
これだと、ネット上でみられる"君"という答えよりもしっくりきます。
"yourself"という言葉の意味
日本語だと"あなた自身"という意味です。
でも"self"という言葉には、自己という意味があります。
この自己というものは捉え方が様々です。
自分自身を認識する時には、内側からみえるものです。
でも自分自身の全容は自分ではよくわからない。
だから、外側である僕からみえる部分がある。
最初のなぞなぞでは、"外からは僕にしかみえない"と言っているので、ひょっとすると間違っている可能性があります。
でも、ここで歌われている"yourself"が、愛する人のことだったなら、僕にしかみえないあなたがいるんだという意味だと思います。
仮にこの歌の答えが"yourself"であり、野田自身が愛している人だと仮定します。
すると、"君からは決して離れようとはしないのに 僕からは平気で離れてくものはなーんだ"という部分で、君という存在が僕から離れようとしていることがわかります。
プライベートにはあまり踏みこみたくないのですが、どうしても愛する人との関係が気になります。
それは光っていた
見上げると光っていた
眼の前に降ってきた
それはまるで それは 君は
真夜中に架かる虹のように
昼間に輝く星のように
夏に降り注ぐ雪のように
それは それは 新しかった
砂漠で観るシロクマのように
都会で観るオーロラのように
火星で観る生命のように
それは それは 美しかったから
出典: 謎謎/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
次の部分では、野田の愛の言葉が続きます。
野田の愛の表現は素晴らしいですね。
決定的に君との出会いが描かれていて、そこにあった愛が響いています。
エレクトリックなサウンドが祝祭のように響き、美しく融合しています。
僕は声に出してしか伝えられないのに
君は口にせずとも話せる人はだーれだ
君は生まれた時にはすでに出会ってるのに
僕はやっとこの前出会えたものはなーんだ
君とは死ぬまで別れる事はないと思うけど
僕にはいつ別れがくるかわからないものはなんだ
だけどそれでもいいと思えるものはなんだ
だってそれだからこそ出会えたものはなんだ
出典: 謎謎/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
なぞなぞをを通して、君自身と出会えた喜びを歌い、君自身だったから僕は君と出会えたと歌っています。
愛する人を肯定する言葉がとても美しく響きます。
あなたはあなた自身だから、出会えてよかったんだよという強い愛のメッセージが伝わります。
歌に愛している人、愛していた人への肯定のメッセージがこめられています。
ここまで踏みこんでいくと、ひょっとすると"yourself"という答えより、野田が愛した人自身というのがきっと謎謎の答えでしょうね。
君はそいつを嫌いになってしまったと言う
もう一緒にはいられない
消えてほしいと言う
内側から見たそいつを僕は知らないけど
外から見たそいつならよく知っているから
半分しか知らないままに答えを出すのは
なんかすごくとても あまりに 勿体ないから
外からずっと見てた僕の話を聞いてよ
一番近くにいた僕が見てた
出典: 謎謎/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎