主人公と向き合う人物が現れました。

この曲をラブソングと捉えると相手は「主人公が愛する女性」になります。

ただ本音と建前の間にある真実は2人だけのものであり、他の全員が反対しても譲れないと強く主張しています。

ドラマの内容や山村隆太さん自身の心情も重なるようですが、この曲単体ではもっと大きな意味かもしれません。

つまり、1対1で向き合う人間関係こそが真実であり、そこには本音も建前も混ざっているという話です。

第三者が批判しても、微妙な機微は対峙する当人同士しか共有できない。

そういう意味かもしれません。

あるいは「flumpoolとリスナー」が向き合う間柄とも考えられます。

その場合、批判的な第三者がいたとしても、もがきながら生み出す音楽は譲れないという話になるでしょう。

どちらにせよここで歌われているのは、1対1の関係性です。

「リスナー」との関係だとしても、バンドは「リスナー」個々人と対話しているのでしょう。

この歌詞は、自分たちと「リスナー」との信頼関係は誰にも傷つけられないという意味にも捉えられるでしょう。

当人同士にしかわからないことが沢山あるのに、私たちは憶測で何かを分かった気になってしまいます。

主人公はそうした人々のことを批判しているのかもしれません。

2番の歌詞をチェック

過剰な正義が横行している

flumpool【素晴らしき嘘】歌詞の意味を徹底解釈!あなたと僕だけが知る「奪えないもの」とは?の画像

正直さばかりが
正しいわけじゃないこと
みんな分かってるのに
正論を求めるんだ

出典: 素晴らしき嘘/作詞:山村隆太 作曲:阪井一生

コンプライアンス(法令遵守)の意識向上を図る為、ガバナンス(統治、管理体制)を効かせる。

ビジネスの現場で使われる言葉です。

違反はダメに決まっています。

ただし「物は言いよう」でしょう。

厳しくダメと目くじらを立てるほど、逆に過ちは増えるかもしれません。

むしろ、たまには間違うこともあると大らかに構えると、失敗を経験しながらも道を見つける可能性があります。

ところがゆるい時代は過ぎ去り、何もかも厳しくなる一方の現代社会。

こうした状況を把握しつつも過剰な正義が横行するのは、防衛本能の裏返しなのでしょうか。

本音を口にすることばかりが正解ではないと知っているはずなのに。

そう主人公は嘆いています。

正論を振りかざす人たちによって傷つけられる人々がいるということを彼は伝えたいのでしょう。

正しさばかりを追い求めることで、社会全体として間違った方向へ進んでいるのではないか。

皆間違いに気が付きながらも、それを止めることができないことに主人公は疑問を覚えているのでしょう。

過剰な正義は圧力

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モラルでさえ押し付ければ
ナイフのように
誰かを傷つけるんだ

出典: 素晴らしき嘘/作詞:山村隆太 作曲:阪井一生

例えば校則が厳しい学校ほど違反が多いといった逆転現象が考えられます。

それは圧力に対する反発

倫理にかなったことでも、無理強いされると不快に感じるものです。

これが主人公の主張になります。

ただ、誇りがあるから本音を口にできないという前置きがありました。

その点を踏まえると、過剰な正義を振りかざす第三者の言葉でダメージを受けた経験があるのかもしれません。

ただし、具体的な出来事については触れてほしくないはずです。

もちろん、自分や身近な相手だけが辛い思いをしたと不満を述べているわけでもありません。

幅広い立場の方に当てはまるよう、俯瞰する視点に昇華されています。

言葉というのは暴力になり得るということをいいたいのでしょう。

正論だからといってその正しさを振りかざして、他者をなりふり構わず批判するというのはいけないことです。

批判するのにも、言い方や振る舞い方というのが存在しているといいたいのではないでしょうか。

どうしたら他者が傷つくのか、どうしたら平気なのかということを私たちは考えていかなければいけません。

何故なら相手はロボットではなく、人間だから。

相手も自分と同じように生きているのだと理解することで、相手の気持ちも想像できるはずです。

タイトルの意味

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そっと悲しくないと
誤魔化すほうが
誤魔化さないよりも痛い
分かってる
それなのに互いに強がり合って
『大丈夫』とおどけて笑う
あなたの優しき嘘に
気付いてるから救われるんだよ

出典: 素晴らしき嘘/作詞:山村隆太 作曲:阪井一生

主人公だけでなく、向き合う相手も本音を偽り、建前で通しています。

ただし、辛くても笑顔を浮かべ、何でもないフリをするという偽り

しかも主人公は、相手が頑張って平気なフリをしているとわかっています。

例え偽りであっても、笑っている顔を見ると癒されるという話。

もしお互いに悲しい、辛いという本音を出し合ったら、ネガティブな感情が倍増するでしょう。

ただし、相手のことを思っても本心を偽るのは決して簡単ではありません。

それでもというところに価値があり、「素晴らしき嘘」というタイトルにつながります。

悲しいのに悲しくないと言うことは、決して良いことではありません。

それは正しいことばかりをいうのとは逆のことだと考えて良いでしょう。

しかしながら、そうした嘘というのはそこに優しさがあるからできることなのです。

正しさばかりを追い求めてしまえば、正直に話すことの方が良いに決まっているでしょう。

しかしたとえそれが嘘だとしても、そこに思いやりが存在していたらそれは悪いこととはいえないのではないでしょうか。

相手のことを考え、相手を傷つけたくないからこそ嘘をつくという選択肢もあるのです。

奪えないものとは?

大切な人間関係は様々ある

flumpool【素晴らしき嘘】歌詞の意味を徹底解釈!あなたと僕だけが知る「奪えないもの」とは?の画像

ひとつの答えじゃ
生きづらい時代だろう
絆のカタチだってさ
人それぞれだろう
だからこそ僕ら
歩み続けるんだよ

出典: 素晴らしき嘘/作詞:山村隆太 作曲:阪井一生

結局この歌物語の主人公と相手はどのような関係?という謎が解決します。

何パターンも考えられるという結論。

男女の恋愛flumpoolとリスナー、この曲を聴く方自身の大切な人間関係を当てはめることもできます。

登場人物の設定や背景が曖昧なままという意味でも、本音を表に出さない偽りと考えられるかもしれません。

何重にも解釈できるところが詩的!

この歌詞パートでは、そうした曖昧さを良しとする気持ちと、正しさばかりを求める時代に対しての反抗が表現されています。

何が正しくて何が間違いということだけで判断してしまうのではなく、それぞれの解釈を持つことの大切さ。

それを彼らはここで伝えたいのではないでしょうか。

そしてその価値基準というのは、時代と共に変わっていくものです。

未来に向かって進みながら私たちは柔軟にその価値観をアップデートしていくべきなのでしょう。

彼らはそうした物事の見方を、この楽曲を通して私たちに教えたいのではないでしょうか。

偽りも含む、本当の感情