情熱的なひと時を
気紛れを許して
今更なんて思わずに急かしてよ
もっと中迄入って
あたしの衝動を突き動かしてよ
出典: 本能/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
サビで綴られるのは、大人の関係を想像させる官能的な表現です。
「本能」のままに相手を求めるその描写は、何にも縛られない限られた夜のひと時を艶やかに描き出しています。
世間から離れた時間
全部どうでもいいと
云っていたい様な月の灯
劣等感 カテゴライズ
そういうの 忘れてみましょう
終わりにはどうせ独りだし
此の際虚の真実を
押し通して絶えてゆくのが良い
鋭い其の目線が 好き
出典: 本能/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
欲に任せる夜のひと時は、普段考えている面倒なことから開放される時間でもあります。
世間から離れた2人だけの時間。その間には余計なしがらみはなく、2人はただ本能のままにつながるだけの関係です。
そんな中にいるからこそ主人公は「人」ではなく、本能をむき出しにした「生命」そのものになれるのでしょう。
そこには普段の自分の姿はありません。
「本能」をただ描くエンディング
約束は要らないわ
果たされないことなど大嫌いなの
ずっと繋がれて居たいわ
朝が来ない窓辺を求めているの
気紛れを許して
今更なんて思わずに急かしてよ
もっと中迄入って
あたしの衝動を突き動かしてよ
出典: 本能/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
最後には冒頭と1番のサビの歌詞がくり返されます。
そこには、ただ欲でつながるのをくり返すだけの2人の関係が表れているように思えます。
大きなストーリーもなく、変化もなく、ただ変わることのない本能のつながりを続けるだけの関係。そこには何の発展も救いもありません。
しかし、そんな関係こそが、疲れきった大人には心の逃げ場として必要となることもあるのでしょう。
決して明るいつながりではないその中には、背徳的で艶やかな美しさすら見えます。