大事な存在だと気付いた彼女も、スミレのように謙虚で可憐な人なのでしょうか。
スミレという花は道端にひっそりと咲いていて、周りの景色に溶け込んでいます。
だから、そこに花が咲いていることにも気付かず通り過ぎてしまうのです。
時には靴で踏まれてしまうことだってあります。
でも、スミレは少々踏まれても何事もなかったかのように起き上がり咲き続けます。
僕はそんなスミレの花が好きなのです。
そしてスミレに気付かなかったように、いつもそばに居た人が大事な存在だということにも気付いていなかったのです。
ずっとそばに居ることが当たり前のように思っている人が、実は捜し求めていた人かも知れません。
童話の青い鳥もそうでした。
あなたにも気付かずに見過ごしているスミレや青い鳥は居ませんか?
史上初「シングルCD4週連続発売」
4週連続でリリースしたシングル最後の曲
スミレは4週連続で発売された4部作CD最後の曲として2003年2月26日リリースされました。
2月5日から毎週水曜日4週に渡り、各10万枚限定生産で発売されたシングルの1枚です。
このシングルCD4週連続発売という試みは、ゆずが史上初めてでした。
発売日と曲名を紹介しておきますね。
1週目 2/5 青
2週目 2/12 呼吸
3週目 2/19 3番線/水平線
4週目 2/26 スミレ
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/スミレ_(ゆずの曲)
4部作CDを出した理由
現在シングルCDの値段は1200円前後。
2003年当時も同じくらいの価格だったとすると半額以下ということになります。
後のインタビューで北川さんは雑誌の感覚で買ってもらいたかったと答えていました。
あまりお金を持っていない若い人にも聴いてもらいたかったのだと思います。
この4部作のジャケットは和をイメージした紙ジャケットを使用し、懐かしさを覚える仕上がりになっています。
ゆずの曲の特徴は岩沢さんの突き抜ける高音ですね。
でも、「スミレ」のサビは少し低めに抑えているのでおとなしいイメージになっています。
これもスミレという花の特徴に合わせているんじゃないかと思っています。
それでは、歌詞の内容を考えてみましょう。
タイトル
「スミレ」はタイトルにしか出てこない
花になろう 風になろう 君の瞳に映る景色
その全てが悲しみで滲む時は
空になろう 雲になろう そして君を照らす太陽
心の根が枯れてしまわぬように
出典: スミレ/作詞:ゆず 作曲:北川悠仁
この曲のタイトルは「スミレ」ですが、歌詞には一度もスミレという言葉が出てきません。
花という言葉は出てきますが、スミレを特定してはいませんね。
だから、この曲のどこが「スミレ」なのか初めは分かりませんでした。
スミレという花について調べて初めて納得しました。
スミレという花は、道端や都会のアスファルトの切れ目からだって芽を出し花を咲かせる強い花です。
地中には地下茎があって、地上に出ている茎や葉を支えているそうです。
だから、ちょっと踏まれたくらいではビクともしないんですね。
また、この地下茎は冬の間に養分を蓄えて春の訪れとともに早々に芽を出すのです。
小さくて地味な花ですが、地中にしっかり張った地下茎を外には見せず、ひっそりと可憐に咲いています。
作詞はゆずの共作なので2人のうちどちらが花を「スミレ」にしたかは分かりません。
でも、どちらかがそんなスミレの花を好きだったんでしょう。
ここで「君」が指すものは?
踏まれては立ち上がる君に憧れて 君になりたくて
僕ら行こう 自由の旅路へ この手を離さないで
出典: スミレ/作詞:ゆず 作曲:北川悠仁
探していたものはすぐ近くにある
ここから「君」が指すものが変わる
過ぎ去っていった恋や夢のカケラを見付けて
大切なもの どこにあるか分からなくなるけど
探してたものはわりと近くにあって
気付かずに通り過ぎていたんだ
出典: スミレ/作詞:ゆず 作曲:北川悠仁
冒頭のフレーズで「君」は道端でしっかり根を張り、可憐に咲くスミレでしたね。
ですが、このフレーズ以降、「君」が指すものが変わります。
ここで「君」が指すのは、大事な存在だと気付いた彼女のことです。
僕は地味だけど都会の片隅でたくましく咲く可憐なスミレの存在に気付きます。
スミレの存在に気付いた僕は、ずっとそばに居たスミレのような彼女の存在にも気付いたのです。
スミレの花言葉には色々ありますが、「愛」「小さな幸せ」「誠実」「謙虚」といった言葉がならんでいます。
僕が彼女に抱いている想いは、紛れもなく「愛」です。
控えめで静かに咲いているから気付かずに素通りしていたスミレ。
いつも僕のすぐ近くに居たのにその大切さに気付かなかった彼女。
このスミレと彼女がリンクしています。
僕がスミレの存在に気付いたのは、何が契機か分かりません。
でもスミレが視界に入ってくるようになったから、同じように静かに生きていた彼女も見えてきたのでしょう。