矛盾する気持ち
「戻れない境界線」を越えてしまった2人。
彼は何度も振り返りたくなる気持ちを抑えて歩き続けます。
でも、後ろ髪をひかれる思いだったのでしょう。
本当は僕は君に会いたいんだ…そんな声も聞こえてきそうですね。
彼女の視線を背中で感じながら、連れて帰れない後ろめたさも自分を責めてしまっていたかもしれません。
歌詞には申し訳なさ、不甲斐ない気持ちさえも感じとれます。
この歌詞には二つの気持ちが存在するように思われます。
まだ離れたくない、ここにいたい、もっと君と一緒にいたいんだ。
でも、早くここを去らなければならないこと、痛いほどに気付いています。
矛盾している気持ちですが、どちらも本当の気持ちなのです。
これは夢だったのか、幻だったのか…ただ残ったのは罪悪感と絶望だけ。
涙を浮かべて夢を振り返り、もう一度戻りたい、という強い気持ちに駆られるのでしょう。
辺りは明るいのに、目の前は真っ暗です。
人々は忙しそうに1日を始めるのに、自分はここで一体何をしているのだろう。
きっとそんな虚しさを感じていたのではないでしょうか。
サビで急に具体的な表現になるのに注目
マリンルージュで愛されて
大黒埠頭[だいこくふとう]で虹を見て
シーガーディアンで酔わされて まだ離れたくない
早く去かなくちゃ 夜明けと共にこの首筋に夢の跡
出典: https://twitter.com/sas_bot/status/657514899543691264
Bメロまで抽象的だった歌詞が、サビになると突然リアルさを帯びます。これが「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」の魅力でしょう。
歌の物語がリアルな描写によって輪郭を持ち、多くの人にとって感情移入しやすい状況を作っているのです。
最後の「この首筋に夢の跡」は、この歌の雰囲気には最高の〆ですね。
首筋というリアルと、夢の跡という比喩が、不倫の合間で揺れ動く心を象徴しています。
いけない恋だと互いに気付いているという意味の歌詞でしょう。
気付いているのに離れられない、でも行かなくちゃいけない…。
矛盾がここでも渦巻きます。
棄てることも失くすこともできない、優柔不断な僕。
そんな彼に虚しさだけがこみ上げます。
飾らない僕を見て
好きになればなるほど飾りたくない、飾らない自分を知ってほしいと思うものです。
ここではそんな気持ちを表現しているのではないでしょうか。
心の壁や扉を取っ払って開きたい、解放したい、なんでも知っていて欲しいという気持ちが伝わってきます。
また、ありのままの自分を受け入れてほしいという願いが込められているようにも思います。
きっと君の前では自然体の"僕"になれるのでしょう。だからこそ"君"の存在を愛してやまないのかもしれません。
他の人ではダメな理由はきっといくつもあるはずです。
でもその中でも特にこの理由は大きな意味を持つのではないでしょうか?
愛に溺れて
甘い甘い一瞬の夢。
夜が明けると何事もなかったかのように離れ離れになり、虚しい気持ちに襲われます。
そのほろ苦い想いが大人の恋路を色濃くなぞっているかのようです。
子供のころは苦いコーヒーはあまり飲めませんが、大人になると飲めるようになるものです。
大人になって酸いも甘いも知った後、ほろ苦い恋にはひたすら耐えるしかありません。
もし大きな声で泣くことができたなら、また違っていたのでしょう。
涙は隠すしかありませんし、誰かが慰めてくれるわけでもありません。
それが不倫という恋の代償なのかもしれませんね。
PVはライブ風?
歌詞の世界観とライブを同時にPVへ
「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」のPVは、恋愛ドラマとライブ映像の合わせ技で作られています。
歌詞の舞台にもなっている横浜みなとみらいと、本楽曲が発売された前年の年越しライブ映像を合体させることで、サザンオールスターズらしさを全開にしているのです。
ドラマのタイアップということで、まだサザンオールスターズのライブまでは知らない人へのサービス的な意味合いもあったのでしょう。
また、比較的おとなしめな「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」が、ライブでも十分に映えるというアピールも考えられていたのかもしれません。
ドラマファン・サザンファンにもメリット
ドラマファンもサザンファンも同時に楽しめるPVは貴重ですね。
またドラマファンがサザンのライブに行ってみたい!と思うきっかけになるかもしれません。
またサザンファンがドラマを観てみよう!という気持ちになるかもしれません。
そういった点で相互にメリットのあるPVといえます。
ここからもサザンのファンへの愛情がうかがえますね。
きっと愛情のこもったサービス精神で作られているのでしょう。
素敵な楽曲はこれからも健在!
「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」は、これからも多くの人の心に刺さっていくであろう曲です。
この曲には不倫というテーマだけでなく、男女の恋愛が持つ普遍の要素がふんだんに盛り込まれています。
いつの時代になっても、変わらない良さがしっかりと持続しているのです。
歌詞とメロディが織りなす「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート」の魅力は、聴けば聴くほど理解できるようになるでしょう。
ぜひ日常のいろいろな場面で、サザンオールスターズの世界に浸ってみてください。
サザンの名曲は数々ありますが、正直どこから聞いていいのか分からないと思ったなら有名どころから攻めてみるのはいかがですか?
またはCMソング、ドラマの主題歌縛りでその世界観を紐解いていくならきっと新しい音楽の扉に出会えることでしょう。
その中から今回はおすすめをいくつかご紹介いたします。
「愛と欲望の日々/サザンオールスターズ」の大人の歌詞に注目!PV&コード譜情報あり♪【ドラマ主題歌】 - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
記念すべきサザンオールスターズ50枚目のシングル「愛と欲望の日々」はフジテレビ系ドラマ「大奥〜第一章〜」の主題歌として大ヒットしました。ドラマのイメージを反映させ絢爛豪華な江戸時代を彷彿とさせるPVは必見です。桑田佳祐が紡ぎ出すちょっとエロい大人の恋を歌の歌詞から紐解きましょう。
こちらはドラマ「大奥~第一章~」の主題歌にも起用された「愛と欲望の日々」です。
妖艶な雰囲気の楽曲はドラマの世界観ともピッタリでした。
サザンの世界観でありながらもドラマの世界観は決して壊すことなく、うまく融合している作品となっています。
是非聴いてみてください。