主人公の回想は移り変わっていきます。
今度は、「貴方」に繋がって自分自身のことを考えているようです。
主人公は涙もろい心の持ち主なのかもしれません。
目に涙が溜まった時、視界が潤んで周りのことが見えなくなります。
いろいろなことに涙できるというのは、ある種の優しさや共感力の表れです。
とはいえ主人公は、自分の涙もろさを未成熟な部分と感じています。
傷つかないために
それならもとより愛しい仕草を
知らないままがいいなあ
出典: それを愛と呼ぶだけ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
好きな相手のことを知れば知るほど、愛情が深まっていきます。
相対的に、大切な相手を失った時の悲しみも増すものです。
ならばいっそのこと……と、主人公は願ってみます。
何も知らなければ、傷つくことも、悲しくなることもないからです。
知ってしまえば、好きになることを自分で分かっているのでしょう。
好きになれば、失った時の悲しみも運命づけられてしまいます。
悲しみを避けて、誰とも深く関わらずに生きる人生は、味気ないものかもしれません。
そちらの方が良いと思えるくらい、貴方への想いが深いと分かります。
貴方への想い
命をかけて想う
過ぎ去る生涯を 変わらぬ後悔を
命というから
どうしようもないほどに
貴方に惹かれているのだろう
出典: それを愛と呼ぶだけ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
上にある歌詞から、主人公の別の思いも読み取ることができます。
もしかすると「貴方」は、ずっと過去に亡くなった人物なのでしょうか?
そして「貴方」との関係の中に残る悔いがあるのかもしれません。
主人公は己の一生をかけて、「貴方」を忘れられずに生きているのです。
過去にとらわれているわけではありません。
現在形で、今も「貴方」を大切に思い続けています。
人は、時間を巻き戻して過去を生き直すことはできません。
過去を振り返り、当時に対する印象を変えることができるだけです。
悔やみ続けることは、足を止めることにも、思い出を大切にすることにもなります。
主人公にとって、「貴方」の魅力や想いは変わることがありません。
何度思い返しても、自分の全生命を懸けるほどの愛情を抱いているようです。
愛情の向かうところ
この手を伸ばせど届かぬ向こう
夢を見るより遠くまで
去り行く貴方を求めたこと
それを愛と呼ぶだけ
愛と呼ぶだけ
出典: それを愛と呼ぶだけ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
結果的に、「貴方」は主人公を置いて先に亡くなってしまいました。
互いに物理的な肉体を持った状態では、会うことが出来なくなってしまったのです。
2人の間には、主人公の死まで越えられない垣根が生まれてしまいました。
しかし、感情はその垣根を超えることができます。
主人公の想いは、変化の中にあっても変わることがなかったのです。
もしかすると主人公は、「貴方」との別れの後に誰かと出会ったかもしれません。
しかし、その人に「愛」は感じなかったのでしょう。
主人公にとって、両面的な「愛」という感情を起こさせたのは「貴方」だけでした。
「愛」という言葉を口にするのは簡単です。
難しいのは、その意味に心の底から感じ入ること。
主人公は「貴方」への想いを振り返ることで、「あれが愛だった」と気づいたのです。
まふまふさんを楽しもう!
多才なアーティスト!
いかがでしたでしょうか。
今回は、まふまふさんの楽曲「それを愛と呼ぶだけ」を解釈してきました。
抽象的で深いテーマのこの曲は、人によって感じ方が分かれる1曲だと思います。
ご存知の方も多いかもしれませんが、まふまふさんは非常に多才。
おひとりで、グループで、様々な音楽活動を展開しておられます。
すでにファンだという方も、まふまふさんを知ったばかりという方も。
この機会に、他の楽曲、他の活動に触れてみませんか?
新たな魅力や、新たなイメージが起こるかもしれません!