記念すべき1枚目のシングル
1997年に結成し、いまでは世界を股にかけて活躍しているDIR EN GREY。
そんな彼らがインディーズ時代最初にリリースした作品が、今回ご紹介する【JEALOUS】です。
その後リリースしたアルバムには未収録ながら、2000年発売のシングルにリアレンジバージョンが収録されました。
【JEALOUS-reverse-】と名付けられたこのバージョンでは、歌詞の一部も書き換えられています。
今回はリアレンジバージョンの歌詞をとりあげ、そこに描かれている悲しい男女の物語を読みといていきましょう。
女性目線で描かれる恋物語
彼を拒絶する理由
彼に迷いだしたアノ日から
何故か心が拒絶していた
出典: JEALOUS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY
冒頭で相手を「彼」と呼んでいることから、この楽曲の主人公は女性だとわかります。
1行目にある「迷う」という表現から想像すると、主人公は君に恋しているのでしょう。
誰かを好きになった時に経験する心の揺れ動き。
まるで迷宮に迷い込んだかのように、自分の中で感情が複雑に絡み合っているような感覚です。
しかし2行目を見ると違った解釈もできそうですね。なんと主人公は想いを寄せる彼を避けようとしているのです。
彼女の本能。女のカンといえばいいでしょうか。
素敵な彼に惹かれつつも、本能的に「彼はダメだ」「彼に恋してはいけない」と感じているということです。
彼と恋の駆け引きをする以前に、自分自身の心の中で葛藤しているのでしょう。
その理由は直後の歌詞から察することができそうです。
嫉妬が歪ませる
彼の姿が変形してゆく
遠くあまりにも近すぎて
出典: JEALOUS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY
本能的に彼との恋を避けている理由。それは彼に本命の彼女がいるからでしょう。
彼と親密な関係になることを願いながらもそれが叶わないこと、そして叶えようとしてはいけないことを理解しています。
それでも簡単に忘れることができないほど、主人公は彼に夢中なのでしょう。
彼の横にいる女性が邪魔だ。あいつから彼を奪い取ってしまいたい。
そんな衝動にかられながらも理性は主人公をしっかり押さえつけています。
想いの強さに比例して彼の姿が歪んでいくのは、主人公の嫉妬心が膨れ上がっているから。
彼への想いと理性の狭間で苦しむ主人公は、嫉妬心のせいで彼の姿がまともに見えなくなっています。
彼にはよく見られたい
仮面を被ろうか?彼の前では
引き攣る顔を隠せるから
出典: JEALOUS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY
しかし嫉妬に狂った姿を彼に見せるわけにはいきません。主人公は膨れ上がった嫉妬心を醜いと感じているのです。
嫉妬心は2行目にあるとおり、表情を歪ませます。
彼の前では笑顔でいたい、素敵な自分でいたいとどんなに願っても、嫉妬がそれを許してはくれません。
醜い本心を悟られないように。彼には素敵な自分を見てもらえるように。
そう願っているからこそ彼の前でも上手に振舞えるような仮面を求めるのです。
いつまでも好きでいたいから
好きだから離れる
彼に迷う私の心は
いつの日にか離れてゆく
出典: JEALOUS/作詞:京 作曲:DIR EN GREY