人生は「鮮やかで短い幻」
時を止めて 君の笑顔が
胸の砂地に 浸み込んでいくよ
甘い言葉 耳に溶かして
僕のすべてを汚してほしい
正しい物はこれじゃなくても
忘れたくない 鮮やかで短い幻
それは幻
出典: ホタル/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
曲名にもなっている蛍の寿命は成虫になってから5日から10日だそうです。
夜のうちに光で相手を見つけて交尾して、卵を産んだら死んでしまうあっけない生き物です。
そんな子孫を残す行為以外することのない蛍の成虫は、何も食べず、水だけを飲んで命を繋ぐそうです。
「君の笑顔」も「僕」の命を繋ぐ水であるかのように、「僕」の「胸の砂地」に「染み込んでいく」と表現されていたのでしたね。
子孫を残すために光り、死んでいく蛍の生き方は「鮮やかで短い幻」のような一生といえるでしょう。
そして、「僕」の命を繋いだ「光」でもあり水でもある「君の笑顔」に縋り、一晩のうちに「君」に「汚してほしい」と願う僕の一晩も、その一晩にかけてしまうような人生も、「鮮やかで短い幻」のような時間なのでしょう。
「ホタル」は鮮やかな幻であり、現実でもある
以上のように解釈すると、「ホタル」という曲は、蛍のように一瞬に恋を燃やす人々の姿を描いた曲だということができます。
一見幻想的な響きの曲だと思っていたのが、「なまぬるい優しさを求め変わり続ける」という社会観や、「生まれて死ぬまでのノルマ」という諦めが伺える人生観から、一晩の恋に全てを燃やす人々がいるという、儚げで鮮やかに描かれた、あまりにもリアルな世界が見えてきますね。
スピッツについてこんなイメージがないという人もいるかもしれませんが、作詞をしている草野さんが、死とセックスは自分の詩の永遠のテーマというようなことを以前のインタビューで語っていたことがあることからも、この解釈の可能性も受け入れていただけたらと思います。
ネット上ではスピッツの曲は意味がわかるようでわからなくてなんとなくしか共感できないという意見をよく見かけますが、この「ホタル」という曲が、こんなことを描いているとしたら、共感できる人もいるのではないでしょうか。
最後に「ホタル」の解釈をしているブログを検索してみた!
禁じられた恋なのに前世から続く運命の導きで「君」という光に惹かれてしまう「僕」というロマンチックな解釈です。
筆者は現実に寄せた解釈をしたので、対照的な解釈で印象に残りました。
「甘い言葉」、「汚してほしい」、「正しいものはこれじゃなくても」という歌詞から、禁じられた恋を連想している解釈です。
「どこか遠いところまで」の部分は、禁じられた恋に苦しんで逃亡してしまうと解釈しているようです。
禁じられた恋愛に限らず、スピッツの「恋は夕暮れ」でも歌われているように進んで不幸になるような、正しいとはとても思えない道にでも自分から平気で進んでしまうのが恋愛だと思っているので、他のサイトでも、正しくないことと恋愛を結びつけて不倫という結論を出している方が意外と多くて興味深かったです。
みなさんはどの解釈がしっくりきましたか?
また、次聴くときは自分ならどう解釈するか、考えながら聴いてみてはいかがでしょうか。
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