アルバム「YANKEE」について
バンドからソロへ
米津玄師さんは、2013年に「サンタマリア」というシングルでメジャーデビューしたシンガーソングライターです。
とは言え、大学卒業後にはバンドを組んで、ボーカルとベースをやっていた時期もあり、非常に多才な人です。
そんな米津玄師さんと言えば、2014年にリリースされた、メジャーデビュー後初となるアルバム「YANKEE」が話題になりました。
特に、この中に収録された「アイネクライネ」は非常に話題になりましたよね。
アルバムタイトルの意味は?
米津玄師さんの楽曲は、ジャケットが印象的なことも多いですね。本人のアーティスト写真を使わず、いつもキレイな配色や個性的なイラストを使っています。
今回のアルバムも、1度見たらなんだろう?と思わずクリックしたくなるようなジャケットでした。
タイトルの「YANKEE(ヤンキー)」には、いわゆるヤンキーではなく、「アメリカの移住」というような意味があるようですね。
米津玄師さんはメジャーデビュー前、ニコニコ動画などで音楽を発信していた人です。
だからこそ、音楽を発信する場所をインターネット中心から少し違うアプローチに遷したという意味で、自分に合っていると思ったそうです。
インタビューで言っていましたが、米津さん自身「YANKEE」という言葉が好きなんだそうです。なんとも面白い感性ですね。
「KARMA CITY」の意味は?
今回ご紹介する「KARMA CITY」は、アルバム「YANKEE」に収録されています。これは、米津玄師さんがメジャーデビューを果たして1枚目のアルバムに当たりますね。
楽曲のタイトルは「カーマシティ」と読みますが、意味としては「カルマ」と同じです。よく、自業自得だとか因果応報などといった意味で使われますね。
悪いイメージが強いですが、実はマイナスの意味だけでなく、自分の行いが巡り巡って自分に帰って来るという意味合いもあります。
これは、いいことにも言えますよね。
では、「KARMA CITY」は一体どのような意味なのでしょうか?歌詞から読み解いていきましょう。
1.リビングデッド・ユース
2.Mad Head Love
3.Wooden Doll
4.アイネクライネ
5.メランコリーキッチン
6.サンタマリア (ALBUM VER.)
7.花に嵐
8.海と山椒魚
9.しとど晴天大迷惑
10.眼福
11.ホラ吹き猫野郎
12.Toxic Boy
13.百鬼夜行
14.Karma City
15.ドーナツホール (COVER)
出典: YANKEE/米津玄師
謎めく歌詞の世界
沈んでいく街の中溶けていったあの子は
その髪を小さく結いながら 退屈な顔で笑った
出典: Karma City/作詞:Kenshi Yonezu 作曲:Kenshi Yonezu
まず、このフレーズですが、楽曲を通して何度も登場します。沈んでいく街というのが何を示しているのか分かりませんが、何となく不穏な感じがしますね。
「退屈な顔で笑った」という、マイナスの感情とプラスの表情の組み合わせも面白いです。
思い出せなくなっちゃう前に僕と遊びに行こうぜって
ついにはもう言えないまんま あの子は消えていったんだ
出典: Karma City/作詞:Kenshi Yonezu 作曲:Kenshi Yonezu
どうして、一体何を思い出せなくなるのかは不明ですが、遊びに行くことはないまま、彼女はいなくなってしまったようですね。
「あの子は消えていった」という言い回しが、もう二度と会えないことを予感させます。一体、彼女に何があったのでしょうか?
この感情は生まれ持っていたって
気付いた頃に 君は何処にもいないなんて
寄る辺なく夜に落ちていく
ここは一瞬を繋いで作った
過去と未来の 僅かな隙間 カーマシティ
君はほら街を外れて 消えていく
出典: Karma City/作詞:Kenshi Yonezu 作曲:Kenshi Yonezu
時空を越えた空間「カーマシティ」
「この感情は生まれ持っていて」というのは、おそらく彼女に対する愛情でしょう。初恋だったのか、歌の主人公は「あの子」に想いを伝えることなく別れてしまったようです。
ここで、初めて「カーマシティ」が登場しますね。「一瞬をつないで作った」と言っていますから、過去と未来をつなぐ異空間、時を超えた存在のようです。
しかし、「君は街を外れて」消えていってしまいます。カーマシティにいれば、彼女と触れ合うことができるかも知れないのに、です。
(今を掴もうとして握りしめた手に掴んだのは
僕が掴もうとした今とはまた違った今だ)
出典: Karma City/作詞:Kenshi Yonezu 作曲:Kenshi Yonezu