Mr.Children【もっと】歌詞を徹底解説！「もっと」どうなりたい？つい気にしてしまうあなたへ

「理不尽」という言葉には、不条理、無茶苦茶、道理に合わないという類語があります。

また、馬鹿馬鹿しい、あほらしい、滑稽のようなものも。

不条理で矛盾だらけの世界でも、滑稽だ、馬鹿馬鹿しいと笑い飛ばすことができたなら…。

きっとこの世界から争いごとはもしかしたらなくなるのかもしれません。

「どうか怒りではなく、許しを。報復ではなく、優しさを。」

そんな、祈りがこの歌詞には優しく添えられているようです。

「世界は広い。その広い世界に生きている者みんながそんな大きな優しい心を持てたなら。」

4行目の曲のタイトルとなっている「もっと」の繰り返しはそんな願いが込められているのでしょうか。

今、生きていることが特別なのです。

大切な人と日常を当たり前に過ごす、それこそが実は特別で幸せなことなのでしょう。

毎日が同じことの繰り返しで、うんざりしてすることもあります。

そんな中でつい忘れがちで置いてきぼりになってしまっている「日常という名の幸せ」。

何てことのない日常が、長い間積み重なって特別な絆になることもあるでしょう。

しかし、そのささやかな日常を誰かによって理不尽に壊されたとき。

突然絆を引き裂かれたとき。

その悲しみや怒りは計り知れないものとなっていくのでしょう。

辛くて悲しい事しか見当たらないような日々だとしても。

飽き飽きするような毎日だったとしても。

自分の中に決して枯れることも、吹き飛ばされることもない。

そんなものがあれば、それだけで生きていけるのです。

1行目にある「花火」というワード。

これはふたつの意味で解釈することができるのではないでしょうか。

ひとつ目は「戦火」や「爆弾」という解釈。

冒頭でもあったように、この曲はアメリカ同時多発テロがきっかけとなり作られた曲です。

多くの命が理不尽に奪われてしまった悲しい事件。

そんな理不尽に対して激しい報復も行われさらに多くの命が失われました。

もう報復の戦火を散らすのはやめよう。

争いなんか望んでいない。

望んでいるのはひとつでもいいから生きる希望を咲かせること。

そんな叫びを描いた歌詞なのではないでしょうか。

そしてふたつ目は「特別な日」。

「特別な日」というものを打ち上げ花火のような華やかなものと表現しているようです。

毎日が特別で、華々しいものでなくていい。

日常こそが幸せなんだと知っているから。

優しい言葉に、心がゆっくりと温められていく感覚に包まれます。

涙に暮れる日々が、いつか笑顔が溢れる毎日になりますように…。

そんな日が訪れるまで、空も、海も、大地も優しく微笑みを届けてくれるのです。

どんなに理不尽な世界でも、その世界を乗せて時間を刻む地球は優しく受け止めてくれるのでしょう。

涙も悲しみも、そして怒りや憎しみさえも。

大きな優しさを受け入れることができたなら…。

きっと笑える日が、もっと優しくなることができる日が誰にでも平等に訪れるのです。

「きっと」は希望のような一筋の光を表しているようにも感じます。

そして、「もっと」は、願いと祈り。

もっと優しくなれたなら。

もっと心を広く持ちたい。

そして、もっと分かり合えますように。

願望などではなく、多くの人へ向けられた強く、静かな願いと祈りの声が聴こえてくるような言葉なのです。

ミスチルならではの優しいサウンドと、桜井独自の感性を言葉にした歌詞表現。

時に残酷で理不尽な世界ではあるけれど、それは絶望ではないんだ。

漆黒の暗闇の中に強く静かに差す一筋の光を見ているような気持ちになる曲です。

ただの光のはずなのに、怒りや憎しみが涙とともに透明に浄化されていくような感覚を覚えるのです。

「もっと」と同じアルバム「HOME」に収録されている「Another Story」。

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