『誰にも言わない』の歌詞世界
宇多田ヒカルの歌詞世界の深遠さ
宇多田ヒカルは15歳の時に『Automatic』でデビューしました。
楽曲の良さ、歌のうまさと声の美しさに衝撃を受けた方が多かったのではないでしょうか。
次々とヒット曲を飛ばし、カリスマ的な人気になりました。
宇多田ヒカル本人はプレッシャーを感じて一時活動休止をしています。
しかし活動再開後次々に発表したのは大人の女性らしい作品群です。
宇多田ヒカルは若いときから若者らしからぬ歌詞世界を描いていました。
例えば『First Love』。恋の終わりの女性の清々しさはどうでしょうか。
『Wait & See~リスク~』。痛みやリスクを受け入れる覚悟は?
『Addicted To You』。傷つけられても恋に向き合いたい女性心理も秀逸です。
そして活動再開後はさらに繊細な大人の女性の感情を描いた楽曲が増えています。
ある程度の年齢を迎えて『初恋』と歌う心理は?
今までの恋が本物でなかったということでしょうか。
宇多田ヒカル本人は親しみやすいキャラクターです。
その歌詞世界は闇を感じてしまうほどに深遠といえます。
『誰にも言わない』の世界とは
本楽曲『誰にも言わない』はサントリー天然水のCMソングに起用されています。
この新曲は、美食探偵明智五郎の主題歌にもなった前作『Time』のわずか3週間後に発売されました。
CMの雰囲気に合う、気分を浄化させるような大人の女性らしい歌詞です。
何回かの恋を経験している女性が新しい恋に落ちます。
恋愛経験があるとはいえ、恋で傷つけられるのは女性のほうです。
女性は恋愛において搾取されることもあります。
女性は恋愛するときにそれに気づいていなくてはなりません。
古いかもしれませんが不用意に恋愛してはならないのです。
本楽曲の女性は、それに気づいていながら新しい恋に踏み出します。
そしてそれをやたらに人に言いふらさず「誰にも言わない」というのです。
そんな女性の心理を探っていきましょう!
1番の歌詞を紐解いてみましょう
前提:多くの出会いと別れを経験した女性
いくつもの出会いと別れ
振り返って、思う
出典: 誰にも言わない/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada
この歌い出しで、本楽曲の女性がいくつかの恋を経験してきたことがわかります。
おそらく大人の女性です。
ところで、多くの恋愛経験があれば得るものがある場合もあるでしょう。
しかし女性でも男性でも、数多く経験すればよいものでしょうか。
何かがすり減っていくという考え方もできます。
恋の痛みや恐れに鈍感になっていくからです。
しかしながら、多くの出会いや別れを経験してこそわかることもあるのかもしれません。
本楽曲の歌詞を紐解いていきましょう!
恋で傷つくという感覚
一人で生きるより
永久(とわ)に傷つきたい
そう思えなきゃ楽しくないじゃん
過去から学ぶより
君に近づきたい
今夜のことは誰にも言わない
出典: 誰にも言わない/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada
おそらくこれは女性にとって何回目かの恋なのです。
今夜恋に落ちたのでしょう。
恋することは傷つくことが多いと女性は感じています。
1人で生きる方が女性にとって確かに楽です。
恋は基本的に女性にとって受け身です。
恋は女性の何かを蝕みます。
肉食女性などと最近はいわれます。
しかしながらそれは特別なタイプで、男性から何かを得ようとして行なうものです。
結局は心がすり減り、多くの場合失うものが大きいでしょう。
例えば女性は依存心が大きいです。
それに反して男性は浮気性の人が多かったりします。
それで男性の心が離れてしまい傷つくこともあるのです。
それでも多くの女性は恋して傷つくほうを選びます。
過去から学んで新しい恋から逃げるよりも傷つくリスクを承知で君に近づこうとするのです。
女性が恋に向き合うときの覚悟とは
I won’t tell my friends
‘Cause I know they’re gonna worry
I won’t blame anyone else
For what happens to me
出典: 誰にも言わない/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada
歌詞が英語なので日本語訳を掲げます。
友達にも言わない
なぜならみんなが心配するから
私に起こる全てのことに対して
誰のことも責めない
出典: 誰にも言わない/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada