あーあ
僕らはまだ先の長い旅の中で
誰かを愛したり 忘れたり
色々あるけど
あーあ
いつの間にかこの日さえも懐かしんで
全てを笑うだろう
全てを愛すだろう

出典: 旅路/作詞:藤井風 作曲:藤井風

同じ教室で青春を共に過ごした人の中に愛した人の姿が浮かんでくるようです。

それは必ずしも自分ではなくて、友人の恋愛に関わったり助けてあげたりするあの頃のよくある日常です。

その時はまだ愛がどんなものかを本当に理解してはいなかったことでしょう。

10代だけど等身大の恋愛を一生懸命しています。

それが忘れたいけど忘れられないにじいろの1ページとなるのです。

藤井風自身が経験した恋愛のエピソードに基づいているのかもしれませんね。

きっとそれはいい思い出になっているのであろうと想像させてくれます。

母校にて

藤井風の出身地である岡山県の母校がMVの中に登場します。

母校にたどり着くまでの通学路や友人たちと寄り道して笑いあっていた場所が笑顔とともに映し出されています。

MVでは本当に笑顔のアップが多いです。

陽気な藤井風の様子から高校時代にのびのびと過ごした思い出の詰まった母校であることが伝わってきます。

青春時代を満喫できたからこそ、この温かい歌詞が紡ぎだされているのでしょう。

だから2020年のコロナ禍でまともに卒業式をあげられない後輩たちにやるせない気持ちを抱いていたのかもしれません。

普通に友人たちと肩を組んだりふざけてじゃれあったりすることもできない…。

大好きな人の顔がマスクで見られない…そんな毎日を強いられるなんて誰が予想したでしょうか。

それを仕方ないと簡単に片づけるのではなく「旅路」という楽曲を通して後輩たちに伝えたいものがあったのかもしれません。

全てがここにある

愛すること

藤井風の「旅路」はドラマ「にじいろカルテ」主題歌として用いられました。

歌詞の中に青春という言葉が登場するので、楽曲のターゲットは10代の若者に限定されるのではと思われがちです。

ですが歌詞全体を通してこの楽曲人生全てが当てはまることがわかります。

誰かを愛したり何もかもを全部愛すことは、言葉にすることは簡単です。

でもそれを行動に移すことはとても難しいことだと思います。

人は皆、年齢に関係なく生きている限り全てを愛す旅を続けているのだと希望を持たせてくれています。

一方で「忘れたり」という歌詞も含めることは、さすがとしか言いようがありません。

決してわざとではなく、人は重要なことでもぽっかりとその時の記憶が抜けてしまうことがあるからです。

やはり、正直で純粋な彼の性格がこの歌詞にも表れているといえるでしょう。

なぜ可能に?

過ぎ去ってしまうとその当時笑えなかったことや愛せなかったことが意外と簡単に解決できてしまうことがあります。

時が解決するとはまさにこのことでしょう。

将来に対する漠然とした不安と向き合いながらもただ進み続けていくしかないのです。

青春時代に確実に成長できた場所に思い入れが強くなるのは当たり前のことだと思います。

若さゆえにどうしようもない環境のせいで悩み苦しんだこともあるでしょう。

それに終わりがないように見えてもその経験は無駄ではないと心に訴えかけています。

目にして触れてきたものを愛することで人生に無駄なことがなかったと実感していくのです。

友に呼びかける

お元気ですか
この町は相変わらず青春です
誰もがみな走ってます
まだ見えない旅路の先へ

出典: 旅路/作詞:藤井風 作曲:藤井風

今何している?とさりげない言葉で友人に呼びかけるフレーズが印象的です。

それまで自分と一緒に思い出を作ってくれた最高の友人へ優しく届けるメッセージのようにも感じます。

思い返せば学生の時は常に走り続けていました。

何かに追われているわけでもないのに何故か時間があっという間に過ぎてしまいます。

映像にもいつも通っていた通学路を自転車で走り去る姿、運動部の部員が走る様子などが映し出されていました。

その当時は何気ないいつもと同じ光景ですが、過ぎ去った今だからこそとても貴重で大事な時間だったと痛感させられます。

確かに年齢は関係なくその人それぞれの気の持ちようであることを伝えている言葉です。

それが自分の勘違いだったり、他人から否定されたとしても人間の本質を凝縮している部分であると思います。

まだ今より若い時は、限られた知識や経験が全てだと考えていたことでしょう。

果てしないと思ってた
ものがここには無いけど
目にしてきた
手に触れてきた
全てに意味はあるから

出典: 旅路/作詞:藤井風 作曲:藤井風

時が過ぎて今振り返ると大切なものを忘れていたことに気付かされます。

僕らはまだ先の長い旅の中で
何かを愛したり 忘れたり
色々あるけど

出典: 旅路/作詞:藤井風 作曲:藤井風