DEENの歴史
DEENは1993年にボーカルの池森秀一、キーボードの山根公路を中心に結成されたバンドで、デビューシングルと1stアルバムの双方でミリオンヒットの偉業を達成しました。
また、これまでのCD総売り上げは1,500万枚を記録しています。
DEENの出発点
1993年、音楽制作やアーティストマネージメント等を手掛ける“ビーイング”社内では、NTT DoCoMoのCMタイアップが決定していました。
そして、その楽曲「このまま君だけを奪い去りたい」(作詞・上杉昇/作曲・織田哲郎)を歌うボーカリストを探していました。
その時ちょうどソロデビューを目指して上京していたのが、後にDEENのメインボーカリストとなる池森秀一でした。
試験的に「このまま君だけを奪い去りたい」を歌わせてみたところ高い評価を受け、池森秀一をこの曲のボーカリストとして起用しました。
さらにキーボードとして山根公路を加えて「DEEN」が結成されます。
スタジオからライブへ
DEENでは、カップリングやアルバムの曲はメンバー自身が制作していました。
しかしシングル曲については、「このまま君だけを奪い去りたい」から6thシングルまでは、上杉昇(WANDS)・坂井泉水(ZARD)が作詞を手がけています。
そしてそこに織田哲郎・栗林誠一郎等が曲を提供するというスタイルで楽曲を発表していました。
しかし、7thシングル「未来のために」以降は徐々に自作の曲へと移行していきました。
その後1999年に発表された18thシングル「JUST ONE」からは(一部の作品を除いて)自作へと完全移行しました。
また、この頃からスタジオを中心に活動していたDEENですが、ツアー活動も活発に展開するようになり、ライブバンドとしてのイメージも定着していきます。
たくさんの心を震わせた美しい歌詞
君の瞳にはボクがにじんで…
静かに佇む街並み
はしゃぎ疲れただ優しく
忘れたはずのこのさみしさ
ムネの扉たたいた
君の瞳にはボクがにじんで
消えゆく愛を知った
このまま君だけを奪い去りたい
やがて朝の光訪れる前に
そしてまたあの日見た
夢を叶えよう二人素直なままの瞳で
いつまでも信じていたいよ
心震えるほど愛しいから
出典: このまま君だけを奪い去りたい/作詞:上杉昇 作曲:織田哲郎
この歌詞の主人公は、男女数人のグループがあって、その中での片思いの恋愛に悩んでいる男性の歌なのでしょうか。
みんなではしゃいで疲れ切った体。街並みが静かに優しく佇んでいる。
また一人になって忘れていた(君のいない)寂しさに胸を締め付けられた。
君の瞳に映る僕はいつの間にかにじんでしまっていた。それを見て僕は君の愛が消えていることを知った。
このまま君だけを奪い去りたい。朝が来る前に。
そしてまた二人でいた頃に抱いていた夢を叶えよう。お互いに愛している相手が映る、素直なままの瞳で。
いつまでも僕と君の愛を信じていたい。心が震えるほど君が愛しいから。
この部分を通して見ていくと、もしかしたら過去に終わってしまった彼女への思いなのかもしれない、という気がしました。
“君の瞳にはボクがにじんで”という表現がとても美しいです。彼女の瞳の中でにじんでいく自分を感じて愛が消えていることを知ることになります。
消えゆく愛を知った後での“このまま君だけを奪い去りたい”という言葉に、もうだめだと分かっているけど…という気持ちが含まれていると思います。
“いつまでも信じていたい”という部分は、君がいつか戻ってきてくれると信じていたいという意味なのかもしれません。そう捉えるとやっぱり過去の恋愛に対する思いなのかなと思ってしまいます。
心が震えるほど愛しいというのは、“愛しい”の最上級でしょう。これ以上ないくらい愛しい相手を思っている歌詞です。
時は永遠に戻らない
懐かしいブルーの雨傘
ざわめく街で君に会った
うつむき歩くそのくせは
今もあの日のままだね
ふいに呼び止めて笑いあえたら
言葉さえもいらない
このまま君だけを奪い去りたい
胸の奥でそう叫んでいるようだ
誰一人わからない
遠い世界で君を守ろう心燃やして
いつまでも抱きしめあいたい
永遠に戻ることのない時の中で
出典: このまま君だけを奪い去りたい/作詞:上杉昇 作曲:織田哲郎
ざわめく街で懐かしいブルーの雨傘をさした君に会った。うつむいて歩くくせはあの日のまま変わっていないね。
ふいに呼び止めて自然に笑い合うことができたら言葉はいらないね。このまま君だけを奪い去りたいと胸の奥で叫んでいるように強く思う。
誰一人わからない遠い世界で心を燃やして君を守りたい。永遠に戻ることのない時の中でいつまでも抱きしめ合いたい。
そんな切ない想いが描かれるこの部分の歌詞。
街でうつむいて歩く彼女に会った(見かけた)。呼び止めて笑い合えたらということは、呼び止める勇気がなかったのでしょうか。
叫びたいほど「このまま君だけを奪い去りたい」という気持ちが強いことがわかります。
“誰一人わからない遠い世界で”という部分は、今の状態をリセットして過去に戻りたいという気持ちを表現していると思います。
いつまでも抱きしめ合っていたいけど時は永遠に戻らない。叫びたいほどの思いがあってもどうすることもできないのでしょう。とても切ないですね。