我も行く 心の命ずるままに
我も行く さらば昴よ

出典: 昴 -すばる-/作詞:谷村新司 作曲:谷村新司

ここにも決然とした主人公の姿が描かれています。

“我も”となっているのは、これまでにも“昴”を宿命と想い定めて生きていた人たちがいたからでしょうか。

先人たちも彼と同じように荒野を前に立ちすくみ、足を踏み出すかどうか迷っていたのでしょう。

自分が生きる意味はいったい何なのか、人生の目標や終着点はどこにあるのか。

“昴”とはこれまでの人生で自分を縛っていた古い価値観の象徴なのかもしれません。

答えの出ない疑問や悩みを解決してくれるのは、夜空に輝く星なのでしょうか。

彼の出した答えはそうではなく、自分の意思で一歩足を踏み出すことでした。

“荒野”とは様々な困難が立ちはだかる人生の象徴なのでしょう。

そう考えれば、この曲が歌う壮大なテーマが見えてくるような気がします。

無名の星たちとは彼と同じように悩んだ多くの人達の象徴です。

たとえ先は見えず苦しい人生が続いたとしても、前へ進むことで最後は美しく終わりたい。

彼はそう願っているのではないでしょうか。

「昴」に隠された壮大なテーマとは、人生そのものなのだと思います。

無名の人々を勇気づける歌

最高潮を迎えるエンディング

谷村新司【昴】歌詞の意味を考察!壮大なテーマが隠されていた?宿命の星“昴”に別れを告げる理由を深読みの画像

ああ いつの日か 誰かがこの道を
ああ いつの日か 誰かがこの道を
我は行く 蒼白き頬のままで
我は行く さらば昴よ
我は行く さらば昴よ

出典: 昴 -すばる-/作詞:谷村新司 作曲:谷村新司

間奏に入るのは雄々しい男性コーラスです。

普通は楽器がメインになるのですが、苦しくとも前へ進もうと決意した彼を励ます声に違和感はありません。

先人たちが彼と同じ悩みを抱えていたように、後に続く若者たちも悩み多き人生を歩むことになるでしょう。

「昴」は数多くの無名の人々を勇気づける歌でもあるのだと思います。

無名の人々とは、“昴”の明るい輝きに隠れるように瞬く無数の星たちです。

最後に荒野を行く主人公の姿をもう一度描くことで、困難に立ち向かおうとする勇気と悲壮感が伝わってきます。

間奏から続く男性コーラスにストリングスとホーンも加わって、最高潮に盛り上がるところです。

谷村新司の歌唱力も遺憾なく発揮されて、壮大なバラードはエンディングを迎えます。

深くて艶のある谷村新司の声

谷村新司【昴】歌詞の意味を考察!壮大なテーマが隠されていた?宿命の星“昴”に別れを告げる理由を深読みの画像

アリスの曲が独特の味を持っていた理由は、谷村新司と堀内孝雄のツインボーカルの声質にあります。

彼らの声はどこかしっとりとしていて、“和”を感じさせるところがあったのです。

同じような声質と明るいキャラクターを持った2人が出逢ったことでアリスは成功したのだと思います。

彼らがソロで成功したのも同じ理由なのでしょう。

谷村新司の声は深くて艶があり、静かな曲や壮大なバラードでより一層の輝きを放つところがあります。

ソロになってからのヒット曲だけでなく、他の歌手に書いた曲でも彼の声は輝きを放っていました。

山口百恵に提供してセルフカバーもした「いい日旅立ち」が、その良い例です。

彼の声にも馴染みが良く、自分の持ち味が出るメロディーを書いたのかもしれません。

シンガーソングライターならば当然そうなるのでしょうね。

「昴」はもちろんそうですが、あの素晴らしい声があったからこそ多くの名曲が生まれたのだと思います。

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