それから放課後の音楽室は
私と先生の秘密基地になった
先生は時々私に
ピアノの弾き方を教えてくれた

出典: https://twitter.com/510maro/status/835365480206512129

「秘密基地」と言えば、子供にとって、誰にも邪魔されない自分の居場所ですよね。

つまり、「私」にとって「音楽室」はクラスの子達にも邪魔されず、不安や孤独も忘れられる、自分の居場所のような場所だったのですね。

きっかけは「ピアノ」だったものの、時々教えてもらっていたという歌詞から、「私」は、「ピアノ」を習う為に音楽室にいたわけではなく、きっと毎日、その日にあったことを話したり、悩み事を「先生」に相談したりしていたのでしょう。

しかし、そんな幸せな日々は長くは続きませんでした。

「先生」との日々を楽しんでいたそんなある日...!

ある日の全校集会
先生はどこか遠くへ行っちゃうらしい
知らなかったよ 先生 知らなかったよ
言えてないことがたくさんあるんだ
先生聞いて

出典: https://twitter.com/SHISHAMO_kashi/status/910257075791347713

「ある日の全校集会」で、「私」は「先生」の転勤を知ることになるのです。

あんなに仲良くなったのに、毎日一緒にいたのに、「知らなかったよ 先生 知らなかったよ」という歌詞から、

突然の別れに、教えてくれなかった先生への寂しい気持ちも伝わってきます。

そして、先生に自分の気持ちを伝える決意をするのでした。

最初はクラスにも馴染めず、自分の想いなど伝えようともせずに周りの悪口を言っていた「私」が...?!

いったいどのような思いを伝えるのでしょうか。

続きの歌詞を見てみましょう。

先生のおかげで学校に行くのが楽しくなったよ...!溢れ出す想い

まだ先生のピアノ聴きたいよ
先生の笑顔大好きだよ
先生のおかげで学校に
行くのが楽しくなったよ

出典: https://twitter.com/510maro/status/835366676589748224

自分が嫌われるのが怖いから声もかけられないまま、他の子を嫌いなふりをしたりと、自分の感情を伝えるのが下手な「私」。

そんな「私」がそれでも必死で「先生」に想いを伝えようとしたのは、それだけ「先生」のことが好きで、それだけ寂しかったからでしょう。

突然の別れに成す術もない子供の悲しさが痛いほど伝わってくる「私」の言葉が続きます。

「先生」も「私」がそれだけ自分を頼りにしてくれているということがわかっていたからこそ、全校集会で「私」が知るまで、伝えることができなかったのかもしれませんね。

大人の「先生」にも、どうすることもできなかったのでした。

ピアノも夕焼けも変わらずここにあるのに、先生はもういない...

先生はもう秘密基地には
きっときっと来ないけれど
ピアノも夕焼けもここにあるよ

出典: https://twitter.com/bibi_kashi/status/877903558997364736

「初めまして ピアノ、好きなの?」
そう言って声をかけてくれたこと
大人になっても私 きっと忘れないよ
だから先生も忘れないで

出典: https://twitter.com/bibi_kashi/status/871329952603320321

「先生」と「私」の「秘密基地」に一人取り残された、「私」の寂しそうな姿が浮かぶ歌詞。

ピアノも夕焼けも、「先生」がいない今は、「先生」を思い出すきっかけにしかならずただ悲しみが増すばかりなのでした。

「音楽室」にいると、「初めまして ピアノ、好きなの?」と言った「先生」の声が、今にも聞こえてきそうで。

「私」は辛い気持ちを押さえ込んで「先生」が声をかけてくれたことはずっと忘れないと、思い出に変えようとするのでした。

「だから先生も忘れないで」と心の中でつぶやいたのは、「私」の素直な気持ちでしょう。

「私」の心細そうな小さな背中がピアノの椅子にひとりぼっちで座り、夕焼け色に染まる姿が見えるようですね。

思い出は楽しければ楽しいほど、別れは辛いもので、皮肉にも「私」をひとりぼっちから救ってくれた「先生」に、

一緒にいたい人がいるのにいられないというひとりぼっちの辛さを経験させられてしまった「私」。

そして、「秘密基地」は思い出になったのでした。

そして「私」は大人になり...

あれから私は大人になったけど
今も先生がくれたキラキラをカバンに入れて
毎日生きてる
来週会えるの 楽しみにしてます

出典: https://twitter.com/sussun69/status/847012693563236352

「あれから大人なったけど」という歌詞から、ここまでの歌詞は大人になった「私」が子供の頃を思い出していたのだとわかりますね。

「私」にとって「先生」との別れは悲しいものでしたが、それ以上に、「私」の人生にとっては大きな意味があったというのがわかるのが次の歌詞です。

「今も先生がくれたキラキラをカバンに入れて 毎日生きてる」、つまり、周りと距離を置いていた「私」にとって「先生」が優しくしてくれた経験が救いとなったのですね。

そして、「来週会えるの 楽しみにしてます」という歌詞によって、大人になった「私」が「先生」と再会できるということがわかり、曲はハッピーエンドで幕を閉じるのでした。

おわりに