現実味の欠如
さすらうのは
予備の心
本当はもう
此処にあらず
あまりにも切ないけど
君とはもう
出典: 夜漁り/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
彼の心はもう恋人の元を離れ、さすらい始めました。
しかし主人公の心にはまだ一緒に彼女と過ごした時間が残っており、別れを受け止めきれていないのでしょう。
自分から別れを切り出しておきながらも、まだ現実味の無いふわふわとした感覚を持っているようです。
歌詞の節々には、どこか未練を感じさせる言葉が漂っています。
サビで恋人ともう会えないことを歌いながらも、その言葉の中には会いたいという正反対の気持ちも内包されているようです。
「夜漁り」とは
もう会わない
癒えないし
飾れない
電話したら夜が曲がるだけだし
そんな二人はもう
はなればなれ
このまま時は過ぎる
出典: 夜漁り/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
この歌詞パートの1、2行目では2人の関係性が既に修復不可能なものであることが示唆されています。
3行目ではまたしても主人公の未練が感じられる表現です。
彼女に対して電話をしたい気持ちがありながらも、そうしても以前までの2人には戻れないことを知っている。
だからこそ、もう会わないでおこうと考えているのでしょう。
近しい関係であった2人の間に入った亀裂は、明確に2人を遠ざけていきます。
そして6行目から分かるように、これ以上会うこともなく時間が流れていくのを待とうと主人公は決心しているようです。
負の感情は餌となる
止まない
夜の餌
君はどこで悲しみに耽るのか
会えない
もう燃えない
寂しそうな転がり方見てると
出典: 夜漁り/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
ここでは「夜漁り」というタイトルとの関連性が窺える言葉が用いられています。
それは2行目の言葉です。
「漁る」というのは、餌を探し求めることを表す言葉としても使われます。
この歌詞は、夜にとっての餌であるということを指す言葉だと解釈するのが妥当でしょう。
つまり夜という存在を擬人化するなら、別れや恋の終わりといったものが餌になるのだと主人公は考えているようです。
別れに伴って生まれる悲しみや切なさといった感情は、決して明るいものではありません。
だからこそ、そうしてもたらされる負の感情というのは夜の暗闇と親和性の高いものなのでしょう。
「夜漁り」という造語はそうした夜にもたらされる感傷的な感情を言い換えたものなのではないでしょうか。
2人の恋の結末
未練を振り切るかのように
恋はきっとわがままだし
夜の底は途方もない
グッバイ グッバイ
会えぬ人よ
出典: 夜漁り/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音
まずこの歌詞パートの1行目において表されているのは、主人公の恋に対しての考えです。
主人公にとって恋は、個人の感情によって左右される身勝手なものだと考えていることが分かります。
「君」との関係の終わりも、お互いの気持ちがぶつかり合った結果であると考えているのでしょう。
そして2行目からは、夜の深い闇のなかで彷徨う主人公の姿が浮かびます。
それは彼の心もその暗闇の中で彷徨っていることを意味しているのでしょう。
彼が別れを謳いながらも、心の中ではこの恋の終わりに対してショックを受けているであろうことが推察できます。
彼がもう彼女と会うことができないと歌うのは、そう自分に言い聞かせている面もあるのではないでしょうか。
つまり自分の未練を吹っ切るためにそういう風に自分自身を納得させている。
歌詞中に何度も出てくる3行目の言葉も、これでもう「さようなら」だと言い聞かせていると考えることができます。
彼にとってこの恋が特別なものであったことが分かる言葉たちです。
最後の言葉の意味とは
流体みたいだ
出典: 夜漁り/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音