アルバムのタイトルにもなっている「ワンルーム叙事詩」

「ワンルーム叙事詩」は問題作?


今回紹介する「ワンルーム叙事詩」は、発売するやいなや超問題作として話題をかっさらった作品です。

問題作にも様々な定義があるとは思いますが、amazarashiらしいというか、多少ショッキングな内容だったために、問題作と言われているようです。

問題作と言われているのは、「ワンルーム叙事詩」が収録されているアルバム自体も指してはいますが、特に「ワンルーム叙事詩」が問題作。

暗くて引きずり込まれるような内容の中に、生きるとは何かが刻み込まれた「ワンルーム叙事詩」。

今回は歌詞を中心に、「ワンルーム叙事詩」をチェックしていきたいと思います。

amazarashi2枚目のミニアルバム「ワンルーム叙事詩」

スクラッチ仕様が話題を呼んだミニアルバム

「ワンルーム叙事詩/amazarashi」は超問題作!?歌詞の意味&収録情報はこちらから!の画像

「ワンルーム叙事詩」は2010年11月に発売されたミニアルバムの表題曲です。

ミニアルバム「ワンルーム叙事詩」には、「ワンルーム叙事詩」を含めた7曲が収録されています。

その全てが生と死に関わるような内容であり、amazarashiらしさが詰まったミニアルバムとなっています。

また、このアルバムは初回プレス分に限り、アルバムジャケットがスクラッチ仕様になっており、削ると下からイラストが現れる面白い仕様。

隠された絵柄はネタバレになってしまうので伏せますが、世界は見えているものだけではないという意味が込められているように思います。

部屋に炎を放つ問題作の歌詞の意味って・・・?

自分の手で世界を終わらせる

これは先に書いておこうと思いますが、amazarashi歌詞は、生々しさがあるところが魅力です。

一度聴くだけ、一度考えるだけでは一向に答えの出ないような、難解な歌詞が特徴であり、様々な解釈の仕方ができます。

「ワンルーム叙事詩」も問題作であり、生々しさが出ている歌詞ですが、受け取り方によっては全然違う解釈ができそうな内容です。

ぜひ記事を読みながら、一緒に歌詞の内容を考えてみてください。

家賃6万のアパートで僕らは世界を旅する 燃える都市 干上がった運河 呆然と立ち尽くす老人
僕らのワンルーム叙事詩は無線LANで 半永久的に加速する

出典: ワンルーム叙事詩/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

ネットが普及し、どこにいても世界の情報を手に入れることができるようになりました。

世界のどこで戦争が起こっていて、誰かが奇跡の体験をしている。

ニュースも動画もネット記事も、ワンルームの中で全て事足りてしまう。

当事者にはとんでもないような事件も、家賃6万のワンルームにいる僕には他人事。

過激なニュースほど注目され、拡散されるスピードも加速するような世の中なのです。

その遠心力で横転した 原型をとどめていない幸福
そいつを僕に売ってくれよ 笑える心を売ってくれよ 本日天気は終末型 頼みの理想もしなびたか
世界が終わる もうすぐ終わる 空しい 寂しい が流行

出典: ワンルーム叙事詩/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

そんな過激なニュースを見て笑えるような、歪な形の幸福を僕は求めているのです。

笑う心を買いたいほど、僕の心が擦り切れていることもわかります。

ネットが普及しているからこそ、人の悲しさも虚しさも寂しさも目立つようになってしまった世界。

もう全部嫌になったから この部屋に火をつけた

出典: ワンルーム叙事詩/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

そんな世界を終わらせるために、ワンルームに火を付けるのです。

比喩でも何でもなく、ただ自分の部屋に火を付ける。

「ワンルーム叙事詩」が問題作と言われる理由は、ここにあります。

燃えろ 燃えろ 全部燃えろ
この街の美しい朝日も そいつに不釣合いの思い出も 再戦の明日に勇む夢も
雨にも負けて 風にも負けて 雪にも夏の暑さにも負けて
それでも 人生って奴には 負けるわけにはいかない
一人立ち尽くす そこはまるで焼け野原

出典: ワンルーム叙事詩/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

火を付けたのは自分の部屋、なのに燃えて欲しいのは、この世にある綺麗なものなのです。

誰もが目を奪われるような朝日も、美しい思い出には似つかわしなくない人の思い出も、希望に満ちた夢さえも。

雨にも風にも雪にも夏の暑さにも負ける、けれど人生には負けるわけにはいかない。

世界を終わらせようとしているのに、人生には負けるわけにはいかない。

まるで世界が終わったあとも生きることを望んでいるような、力強ささえ感じる歌詞です。

全部燃えてしまえと思っているのに、燃えて欲しいのは綺麗なものだけ。

素直でわがままで、真っ直ぐな僕の気持ちなのでしょう。