歌詞

さて、それではそんな雨の匂いの歌詞を見ていきましょう。

米津玄師さん曰く、なんのフィルターも目的もなく作った曲なんだそう。

ということは、限りなく彼の本音に近いということでしょうか?

これは夢かもしれない 深く霧の立ちこめた場所で 
一人歩き続けた 何処へ向かうのかわからないまま

出典: ペトリコール/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

夢か現実化曖昧なその場所で、主人公は目的地もなく歩き続けているようです。

深く霧の立ち込めている場所だそう。

このあたりはBOOTLEGに収録されたFogboundにも通じる箇所ですね。

ということは、曲を作っている彼の心象風景なのかもしれません。

(ちなみに「Fogbound」については以下のリンクでそこそこ詳しく書いてますので、良かったら見てみてくださいね!)

発売以降、セールスを伸ばし続ける米津玄師の最新アルバム「BOOTLEG」。 そんなアルバムの中から、「Fogbound」に迫っていきたいと思います!

心象風景

今何の当てもなく意味も見つからず迷いだす 心は揺れる ビアンコの海
レインコートを這う水滴が弾けては落ちていく 虚しさはまだ 募っていく

出典: ペトリコール/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

ビアンコ(biancoはイタリア語で「白」という意味。

朝靄がたつ海は白く見えることもありますから、朝も明けきらない時間の海なのかもしれません。

前述の通り、この曲は何か明確な目的を持たずに作った曲だそう。

だからこそ、意味も見いだせず迷い揺れているという歌詞に繋がってくるかもしれません。

また僕は大事なことを忘れて彷徨う亡霊 
いつまで経っても歌えない 間違いさえもわからない
ここは今空虚な夢の世界とそう思い込んで
僕は歩いてくんだって 叫び疲れたまま

出典: ペトリコール/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

「大事なこと」とはなんでしょうか?人生の目的のようなものでしょうか?

後発にある「歌えない」という歌詞とリンクして、これはスランプに陥った心象風景なのかもしれません。

叫び疲れた、とは、歌に想いを込めることに疲れている様子に聞こえます。

そんな霧の中を抜けた先で、彼は素晴らしい音楽を生み出すのでしょうか?

これは夢かもしれない だとすればいつ目が覚めるのか
もしも覚めぬ夢なら それは夢と呼べるだろうか

出典: ペトリコール/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

冷めない夢のような微睡みの中で、新しい音楽のヒントを探す彼。

しかし、いつ目覚めるとも知れないその時間は、永久のように息苦しくも感じます。

重たい体に噎せ返る雨が降りきっとまだ 心は揺れる 弛んだ空気
泰山木の莟は息をつき眠っている 虚しさはまだ 募っていく

出典: ペトリコール/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

「ペトリコール」(米津玄師)とは意外と好きな人が多い○○の匂いのこと!?気になる歌詞の意味を徹底解釈の画像

泰山木とはもくれん科の常緑樹。

雨は、彼にとって創作意欲のようなものの比喩かもしれません。

こんなものを作りたいだとか、こんなものはどうだろうとか、そんなアイデアがまるで雨のように降りしきっている情景が想像されます。

しかし雨粒は当然「水」ですから、掴めないもの。

どうにかため込んで、曲というひとつの完成品にしなくてはならないのです。

怖がって躊躇してどうしようもなく彷徨う亡霊
誰かのせいにしてしまいたい それすらどうも難しい
ここは今空虚な夢の世界とそう思い込んで
ただただそう思い込んで 虚しさがのしかかる

出典: ペトリコール/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

「亡霊」とは、自分自身を皮肉った言葉ではないでしょうか。

もとよりネットを介し音楽を発表していた彼は、どんなに大きな声援を浴びても、どこか現実味のない、“亡霊”のように感じるかもしれません。

日々、憂鬱の中を生きる彼は、そんな人生に時にうんざりしています。

しかしそれを誰かのせいにすることも出来ず、そんな鬱屈した想いの全てをなんとか「音楽」として絞り出しているのかもしれません。

「ここ」とは、今の自分の人生のこと。

人生も夢のようにいつか終わるなら、憂鬱にも終わりがあるのです。

だからこそ、音楽を作って生きていくのです。

終わりに

いかがでしたか?

これはもちろん筆者の妄想にまみれた解釈ですが、たったひとりでゼロからイチを作り出すってきっと大変なことなんだろうな、と想像するのです。

だからこそ、こんな風に鬱屈とした気持ちの夜を乗り越えたりもするのかな、と想像してしまうのです。

まあ暗い曲ではあるけどね。

ではまた次回!

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