三月の風が窓のすき間 光る頃に
少しずつ 片付けたこの部屋 広いんだね
出典: 雪の降らない街/作詞:小渕健太郎 作曲:/小渕健太郎
いつも一緒だったから気づかなかった部屋の広さ。
本当だったらソファーに座る彼女がいるはずなのに、そのスペースが喪失感を高めます。
2人でいたときは「もう少ししたらもっと大きな部屋に引っ越そうか」なんて話もしてたのに。
1人になって持て余す部屋の広さが憎らしいくらいです。
またいつもの時間になったら「ただいま!」と元気よく帰ってくるような気がしてなりません。
全てが1つに…
二つずつの物が一つになれば
心さえも いつか一つずつに
そっと笑いかける君の顔
今は小さなフレームの中
壁にもたれたレコードの裏
戻らない時の記憶
出典: 雪の降らない街/作詞:小渕健太郎 作曲:/小渕健太郎
「ペアでおそろいのものをそろえるなんて気恥ずかしくて絶対にしない!」
なんて考えていた頃が懐かしく感じます。
絶対に嫌だといっていたにもかかわらず、彼女とならと気持ちが変化するのです。
そうしている間にいつの間にか、「おそろいじゃなきゃ嫌だ!」なんていったりもして。
そんな自分自身の変化に気づくのは、彼女が置き去りにしたものを片付けているとき。
季節は瞬く間に過ぎてしまう
彼女と一緒にいられた季節とは真逆の猛暑が襲いかかる夏。
彼女が離れてから、すでにこんなにも時間が経っていたのです。
時間が経っても彼の気持ちは全く変わることがなく、ただ会いたいと願い続けます。
夏から秋へと
ざわめく夏が 色づく秋をこえて
やりきれない静けさの中で 曇る窓に君想えば…
出典: 雪の降らない街/作詞:小渕健太郎 作曲:/小渕健太郎
賑やかな夏が過ぎると、これまでの猛暑ではなく少し肌寒い季節を迎えます。
秋の夜長は彼の寂しさを一層強めて、ガラス越しにうつる自分の隣に彼女がいない違和感が残るのです。
いつになれば1人に慣れるのか検討がつきません。
寒さが増すにつれて、彼女が恋しい気持ちも増していきます。
どうしても手放せないもの
白い冬が街に降りてくる
璧に並んだ二つのコート
そでが重なり まるであの日の
僕とあなたの様です
出典: 雪の降らない街/作詞:小渕健太郎 作曲:/小渕健太郎
これまでにたくさんのものを処分してきた彼ですが、どうしても手放せないものがありました。
それは2人の関係を温かくしてくれたあのコート。
いつしか彼はそのコートを眺めるのが習慣となっていました。
眺めているとまるで目の前に彼女がいるような気がします。
気持ちは消えぬまま
いつも同じ言葉で結んだ
届くはずの無いこの手紙を
今日も机の奥にしまった
出来る事なら今すぐ
この冬空を駆け抜け
あなたに会いに行きたい
出典: 雪の降らない街/作詞:小渕健太郎 作曲:/小渕健太郎
あっという間に息も白くなりはじめて、彼女と別れてからもうすぐ1年になります。
実は彼にはどうしても決心できないことがありました。
彼女と別れたすぐ後に、彼が必死になって気持ちを綴った手紙。
これをみてはしまいの繰り返しで、1年が経とうとしています。
素直にポストに入れられたのならどんなに楽か。
彼の彼女に対する気持ちは別れた当時のままに、いやそれ以上に増しているのです。