「色褪せた絵の古ぼけたベンチ」とはなんのことでしょうか?

実際に「古ぼけたベンチ」の絵があるということでしょうか?

それだと少し意味が通じないのでおそらく「絵」とは過去の記憶の映像のことではないでしょうか。

そこに「はにかむ少年」がいます。

それは過去の自分でしょう。

そんな頃の自分が抱いていた希望があります。

ほったらかしにしてしまって、朽ち果てたその頃の希望を掲げようとゴッチさんは投げかけます。

蔑むこともなく驕ることもなく花開くヒマワリの
タネにもなぬような胸の奥の秘密にささやかな光を

出典: マーチングバンド/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文

ヒマワリとは夏の暑さにも負けず、空に向かって高く伸びる力強い花ですよね。

そんなヒマワリを若者に比喩しているのではないかと思います。

青春の頃の純粋で真っ直ぐな心の部分を例えているのだと筆者は考えます。

そんな純粋な心にある「種にもならぬような胸の奥の秘密」とはなんのことでしょうか?

本来種は新しい芽を出すために必要不可欠なものですよね。

新しい芽とは新しい自分と解釈できます。

若者の「胸の奥の秘密」とは「青春の悩み」の類ではないかと思います。

青春の頃の悩みというものは、無意味にずっと悶々と考えてしまうものです。

そしてそれを誰にも言えない秘密のように胸にしまってしまうものですよね。

このことから「種にもならぬような胸の奥の秘密」とは、

「新しい自分になるためにもならない不毛な悩み事」のことを表しているのだと思います。

そんな青春の悩み事に、ささやかな光を当てようと投げかけます。

助走を始めて飛び出そう

静まり返る夜のミュージアム
忘れられたいつかの君は笑うんだろう

出典: マーチングバンド/作詞:後藤正文作曲:後藤正文

「ミュージアム」とはこれも心の比喩ではないでしょうか。

色々な考えや悩みなどが連なって展示されている多感な時期の心のことだと思います。

ミュージアムというものは、お昼は賑わっていて楽しいものですが

閉館した後の夜のミュージアムというものは不気味で怖くも感じます。

そんな不気味で怖い、不安、などの心の状態を比喩しているフレーズなのでしょう。

「忘れられたいつかの君」は先ほど出てきた「はにかむ少年」のことではないでしょうか。

ほら 誰彼となく集まった広場を過ぎるマーチングバンド
今 裸足のまま駆け出した少女にこの曲を捧げよう

出典: マーチングバンド/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文

ここでタイトルである「マーチングバンド」というワードが出てきます。

マーチングバンドとは様々な楽器を行進しながら演奏し、統一された演奏と動きが魅力の演奏形態です。

これも筆者は心の中を比喩しているのだと捉えています。

色々な悩みや考え事の一つ一つがマーチングバンドメンバーなのです。

自分の中の悩みなどが気がつけばマーチングバンドを組んで動き出したのです。

そのメンバーの中の一人の少女(心の中のある一つの考え)が裸足で駆け出したのです。

その考えにこの曲(「マーチングバンド」)を捧げようと言っています。

具体的にその考えは何かというと、それはきっと人それぞれ違いますよね。

とにかく裸足で駆け出してしまうような、衝動的な強い考えであることは間違いないでしょう。

それを後押しする為にある楽曲「マーチングバンド」であると言っています。

まさに応援歌ですよね。

静まり返る青いプールの
薄い膜に映る空に飛び込む

出典: マーチングバンド/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文

ここは歌詞の言葉通りの情景をそのまま目をつむって想像しましょう。

「薄い膜に映る空」というのはプールの水面のことですね。

このような表現の仕方に、ゴッチさんの文学的な才能を感じずにはいられません。

裸足で駆け出した少女が勢いよく、空が写ったプールの水面にジャンプして飛び込みます。

きっとキラキラと水飛沫が上がり「バシャーン」と大きな音をたてるでしょう。

想像するとそんな爽やかなイメージが膨らみますよね。

盛り上がるサビに入る前の最高の助走です。

どこまでも行け

開け
心よ
何がやましくて
何故 悩ましいんだ 僕ら

光れ
言葉よ
それが魂だろう
闇を照らしてどこまでも
行け

出典: マーチングバンド/作詞:後藤正文作曲:後藤正文

サビの歌詞はこれまでのメロとは打って変わり非常にストレートです。

人それぞれ色々な悩みや迷いがありますが、

心を開いて、魂からの言葉を発すると光が生まれ闇を照らしてくれます。

そしてその光を頼りにどこまでも行けと力強く背中を押してくれます。

悲しくなったり
切なくなったり
ため息吐いたり
惨めになったり
いつかは失ういのちを思ったり
それでも僕らは息をしよう

出典: マーチングバンド/作詞:後藤正文作曲:後藤正文

本当に私たちの生活の中では色々なことがあります。

ここの歌詞があるおかげで限定的な歌詞でなくなることがポイントだと思います。

少年や少女というワードと、進研ゼミのCMソングということで若者限定に向けられた楽曲かとここまでは思います。

しかしここの歌詞は全ての人に向けて歌われています。

実際にこの年2011年3月11日に東日本大震災がありましたが、

その被災者の方から非常に勇気をもらったという声がたくさんありました。

ゴッチさんの歌詞の難解さや曖昧さは「限定さ」を回避する為でもあるのだろうと筆者は思います。

全ての人に向けて

開け
心よ
何がやましくて
何故 悩ましいんだ 僕ら

光れ
言葉よ
それが魂だろう
闇を照らしてどこまでも
行け

出典: マーチングバンド/作詞:後藤正文作曲:後藤正文