主人公たちがくり出した「の海」。これは、厳しい社会のことを歌っているのではないでしょうか。

「正義の雨」というのも、降り注ぐ批判や中傷などの言葉を指しているように思えます。

挑戦をくり返す過程で、何かと賛否両論を巻き起こしてきたSEKAI NO OWARI。そんな彼らの苦難の道が表れているような歌詞です。

ぼろぼろになった記憶・傷ついた記憶もあり、それも彼らにとっては大切に思えるものとなっているのでしょう。

今まで目を背けてきたもの

Hey Ho Stormy Seas
誰かからのSOS
ずっと耳を塞いできたこの僕に Whoa-oh

Hey Ho Stormy Seas
誰かからのScream Of Silence
この嵐の中、船を出す勇気なんて僕にあるのかい

出典: Hey Ho/作詞:Saori,Fukase 作曲:Nakajin

「誰かからのSOS」というのは、「遠い世界」から届いた助けを求めるメッセージでしょうか。

それは直接助けを請う形でなくとも、メディアでの報道という形で私たちの目に入ってくるものです。

そんな沈黙の叫びに耳を塞いできた「僕」。そこには罪悪感や負い目を感じる気持ちが見えます。

SEKAI NO OWARIの楽曲「Hey Ho」作詞Fukaseの歌詞に迫るの画像

自己中心的な人間らしさの肯定

例えば君がテレビから流れてくる悲しいニュースを見ても心が動かなくても
それは普通なことなんだと思う
誰かを助けることは義務じゃないと僕は思うんだ
笑顔を見れる権利なんだ 自分のためなんだ

出典: Hey Ho/作詞:Saori,Fukase 作曲:Nakajin

SEKAI NO OWARI自身のことが色濃く描かれている前半と比べ、後半はメッセージ性の強い歌詞が続きます。

テレビ番組などでこの曲が歌われる際、2番の歌詞から歌われることが多いことからも、彼らが世間に訴えたい言葉はこの2番からの歌詞に多く含まれているのだと思われます。

「悲しいニュース」を耳にしても、多くの場合私たちはそれを遠くの無関係な出来事だと考え、傍観者として頭から流してしまいます。

わざわざ「助けよう」と動かなかったとしても、それは普通の反応です。

平和で何不自由ない世界に生まれ、そこで生きている。それは自分の権利なんだと考え、その立場を守っていくのがほとんどの人の生き方です。

君が誰かに手を差し伸べる時はイマじゃないかもしれない
いつかその時がくるまで それでいい

出典: Hey Ho/作詞:Saori,Fukase 作曲:Nakajin

いつでも誰かに手を差し伸べて生きることはできません。それが現実でしょう。

SEKAI NO OWARIは、それを理解した上で、「それでいい」と肯定し、助けられるときに助けられる人が助ければいいと答えています。

それは私たちに対する救いの言葉でもあり、社会に対する諦めの言葉のようにも聞こえます。

SEKAI NO OWARIの楽曲「Hey Ho」作詞Fukaseの歌詞に迫るの画像

自嘲気味なエンディング

Hey Ho Stormy Seas
誰かからのSOS
きっとこのまま「誰か」のまま放っておけば
忘れてしまうだろう

Hey Ho Stormy Seas
また聞こえるSOS
この嵐の中、船を出す勇気なんて僕にあるのかい

Hey Ho Stormy Seas
誰かからのSOS
ずっと耳を塞いできたこの僕に Whoa-oh

Hey Ho Stormy Seas
誰かからのScream Of Silence
この嵐の中、船を出す勇気なんて僕にあるのかい

出典: Hey Ho/作詞:Saori,Fukase 作曲:Nakajin

最後のサビのくり返しで歌われるのは、「誰か」がSOSを求め続けるこの世界に対する諦めと、そんな現実から目を逸らすことへの罪悪感が入り交じった感情です。

くり返される皮肉な言葉が、今まで耳を塞いできた私たちに問いを投げかけ、SEKAI NO OWARI自身にも疑問をぶつけています。

まとめ

SEKAI NO OWARIの楽曲「Hey Ho」作詞Fukaseの歌詞に迫るの画像

プロジェクト「ブレーメン」を立ち上げたSEKAI NO OWARI。彼らにとって、誰かからのSOSに対して手を差し伸べる「いつかその時」が今だったのでしょう。

動物の殺処分という遠くの世界のことから目を逸らさず動き出すために作られた曲だからこそ、その歌詞には今まで傍観者として生きてきた私たちや、同じように生きてきたSEKAI NO OWARI自身にも刺さるような言葉が用いられているのではないでしょうか。

自虐的でシニカルな歌詞の世界には、強いメッセージが込められています。

そんな「Hey Ho」という曲、歌詞に注目しながらじっくりと聴いてみてください。

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