未読にした 美学でよかった
だいじょばないって言えた程
些細な痛み 割り切ったけど
君に出会って 赦されてく
出典: 暗く黒く/作詞:ACAね 作曲ACAね
LINEなどのSNSを「未読」というのは、「(わかっているけどあえて)見ない」ことです。
つまり霊が見えているけど見えないフリをしてきた三角の姿を表しているように感じました。
それが彼の美学だったのでしょうか。
「大丈夫」と強がるわけでもなく、霊が見えることが「だいじょばない」状態だった三角は、彼の能力を認めて必要としてくれる冷川と出会います。
「だいじょばない」は実際に原作漫画の中に出てくる三角のセリフでもあります。
やつの正体とは
全然取れやしない
やつが暗く黒く 塗り潰したとしても
決して奪われない
インスタントな存在でも
見えなくても 此処にある
出典: 暗く黒く/作詞:ACAね 作曲ACAね
物語の謎の鍵を握る人物ヒウラエリカは、呪いをあやつる力を持っています。
そして映画や原作の漫画を読むと、呪いは「黒」で表現されています。
つまり、暗く黒く塗りつぶす「やつ」というのはいくつもの呪いを重ねるヒウラエリカのことではないでしょうか。
またはその背後にいる宗教団体「掌光の教え」やその教祖である「先生」のことを指しているとも考えられます。
奪われることのない尊い存在
インスタントな存在
見えなくても…という歌詞はやはり、霊の存在を想起させます。
他の人には見えなくても、三角には「此処にある」と言えるほどはっきりと見えている霊の存在。
また、インスタントは「即席」という意味で、簡単、お手軽なものというイメージがあります。
呪いを「インスタント」に作り出すことができるヒウラエリカの存在を指している、というふうにも読み取れるでしょう。
霊が見える能力に悩まされてきた三角と同様、エリカも特殊な能力を持っているために葛藤や苦しみを抱えていたのです。
決して奪われない
インスタントな存在をそのように読み解くと、こう解釈できます。
全然取れやしないほど「先生」に黒く暗く塗りつぶされているエリカは、インスタントな存在であるかもしれない。
けれど、決して何者にも奪われない尊いひとりの存在である、という意味にも捉えられます。
またその奪われない存在とはエリカだけではありません。
霊が見えるけれど何もできなかった三角や、実は壮絶な過去を持っている冷川のことでもあるのです。
信じてる必要もない
疑う必要はない 信じてる必要もない
疑う必要はない 信じてる必要もない
連鎖よ続け
出典: 暗く黒く/作詞:ACAね 作曲ACAね
この作品では、「信じること」または「信じないこと」がひとつのテーマになっています。
例えば、霊を信じていない刑事の半澤には、霊は見えないし作用しません。
また、エリカは冷川や三角たちと関わることによって、それまで疎んできた自分の力を「誰かを守るための力にしたい」と思うようになります。
誰かを守るための力にしたいと思い、そうできると信じることで、実際にエリカの力はそれができるようになっていくのです。
連鎖よ続け
人との出会いの中で、疑うことも信じることも、時には難しいことです。
ですが、本当はそんなに悩む必要はなく、疑ったり信じたりする必要もないのかもしれません。
この物語に出てくる人物は、みな心に何かしらの闇を抱えていました。
ですが人との出会いの中で、みなそれぞれに変化や成長を遂げていきます。
人と人が出会うことによって変化していく、その連鎖がずっと続いていくことを指しているように感じました。