フォルクローレ

この曲で何度も歌われている”フォルクローレ”という言葉には、次のような意味があります。

フォルクローレ(folclore)は、英語のfolkloreがスペイン語化したもので、言葉本来の意味としては、音楽のみならず民俗学、民俗的な伝承一般を指すが、日本では、ラテンアメリカ諸国の民族音楽、あるいは民族音楽に基礎をおいた大衆音楽を特に指して、このように呼ぶ。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/フォルクローレ

”フォルクローレ”の意味を考えながら次の歌詞をみてみましょう。

*さあ ヴェールをあげて 初めての瞳で
誓いのキスに 高くはばたかせて
さあ ページあけて 名前綴ったなら
愛の証は フォルクローレになる*

出典: 輪舞曲/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実

いよいよ誓いのキスです。 

神様の前で永遠の愛を誓い約束のキスを交わす……これは昔からの習わし、フォルクローレですね。

ドラマ『たたかうお嫁さま』の中でも主人公の敦子が、昔からの習わしにこだわる婚約者俊平の母親とドレスや引き出物選びでたたかっていました。

幼い頃から夢見ていた結婚式も、決して綺麗ごとだけではすまないという現実をシニカルに表現した歌詞ですね。

奏でて消えないメロディー 想い出かき消すくらいに
誰ともできなかったほど 幸せに踊りましょう
私を愛したことを 後悔はしていないかしら
あなたと紡ぐ年月が たったひとつのタピストリィ

出典: 輪舞曲/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実

 昔の想い出を消すようにあなた(新郎)との人生を選ぶ決心をしたお嫁さま。ここで初めて新郎であるあなたの気持ちがどうなのか心配になります。

”タピストリィ”というのはタペストリーのことで、石造りの家が多い西洋では壁をタペストリーで覆うことで寒さ対策をします。

ここでいう”タピストリィ”には、これから送るあなたとの人生で昔の想い出を覆い隠してほしいというお嫁さまの願いを歌っているのでしょう。

ここでもう一度フォルクローレ

あなたに抱かれ まわるまわる輪舞曲
涙も夢も めくるめく フィエスタ
もう神様しか 二人を離せない
語り継がれる フォルクローレになる

歓びとは 溶けて落ちる 哀しみの上にゆれる炎 Ah...

(*繰り返し)

出典: 輪舞曲/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実

 ここでもう一度「さあ ヴェールあげて……」と続きます。

結婚式にたどり着くまでにいろいろな現実とたたかってきたお嫁さま。本当に結婚式が終われば、婚姻届を提出したらその先は安泰なのでしょうか?

あなたに抱かれ まわるまわる輪舞曲
涙も夢も めくるめく フィエスタ
もう神様しか 二人を離せない
語り継がれる フォルクローレになる
 
(*繰り返し)

出典: 輪舞曲/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実

繰り返されるこのフレーズ。

幼い頃は、ただしあわせなお嫁さまになりたかっただけなのに。

やっと手にしたお嫁さまになるという夢、今度は周囲から羨まれるしあわせな夫婦になってやる!なんてお嫁さまの野心を感じませんか?

あなたに抱かれ まわるまわる輪舞曲
涙も夢も めくるめく フェイスタ...

出典: 輪舞曲/作詞:松任谷由実 作曲:松任谷由実

ドラマ『たたかうお嫁さま』では、主人公とその婚約者の他にもう一組の夫婦が描かれています。

布施博さんと高木美穂さんが演じる結婚して4年の夫婦。誰もが羨む結婚で主人公の理想の夫婦だったのに、現実は離婚の危機を迎えています。

そんな理想と現実をシニカルに表現したドラマだからこそ、『輪舞曲(ロンド)』が主題歌として起用されたのでしょう。

最後に

ユーミンが歌う『輪舞曲(ロンド)』いかがでしたでしょうか?

一見ウェディングソングのように感じるこの曲。

よくよく歌詞をみてみると結婚式なんて昔からの風習で、永遠の愛なんて誓っても人間は変わるもの……そんなシニカルな曲だということがわかります。

しあわせなお嫁さまになりたい!って思っている女の子の夢を壊してしまったらごめんなさい。

でも、そんな現実をわかって結婚した夫婦は、きっとどんな問題に直面しても二人で乗り越えていけるはずですよね!